「公立と私立、どちらを受けるほうがいいのだろう」「欠席が多いと、どちらでも難しいのでは」。そんな迷いを抱えて、夜に検索している方も多いと思います。

先に書いておくと、この記事は「公立のほうがいい」「私立のほうがいい」とは言いません。文部科学省の資料で確認できるのは、公立と私立では入学者選抜を決める主体が違うこと、授業料の支援制度は公立・私立どちらにもあること、そして国が、不登校の経験がある生徒を出席状況だけで不利に扱わないよう通知していることです。個々の学校の入試の中身は、都道府県と学校ごとに違います。ここでは国の資料で確認できた範囲だけを整理します。

調査書の扱いは別の記事で、受験の全体像や中学卒業後の選択肢もそれぞれ別の記事で書いています。この記事では、公立と私立の違いに絞って概要を書きます。受験は選択肢のひとつで、通信制や定時制などの道もあります。

公立と私立で違うのは「誰が選抜の方法を決めるか」

文部科学省の2026年(令和8年)6月30日付の通知「高等学校入学者選抜等における配慮事項等について」(8文科初第882号)には、高校入学者選抜の実施方法等は「実施者」が決める、と書かれています。入学の許可は、各学校の校長が、その学校・学科で学ぶ能力や適性を判定して行います。

この通知の宛先には、公立高校を所管する都道府県教育委員会・指定都市教育委員会のほか、私立学校を所轄する都道府県知事も含まれています。通知は、公立の実施者である教育委員会などに加えて、私立学校にも周知するよう求める形になっています。私立の選抜は、各私立学校が行うものとして扱われています。

公立高校と私立高校で、入学者選抜を決める主体が違うことを示した図。公立は都道府県などの教育委員会が方法を決め、私立は各学校が選抜を行う"“

実際の方式は次のように分かれます。ここで挙げるのは国の資料で確認できる範囲で、細かい方式は書いていません。

  • 公立: 都道府県(または指定都市)の教育委員会などが実施方法を決めます。選抜の資料には調査書、学力検査、面接などがあり、何をどの割合で使うかは都道府県や学校によって異なります。
  • 私立: 学校ごとに選抜を行います。推薦や一般といった方式、出願の条件、事前相談の有無は学校ごとに違うため、国の資料からは一括して書けません。志望校の募集要項で確認してください。

1993年(平成5年)の文部事務次官通知「高等学校の入学者選抜について」は30年以上前の古い通知です。現在の運用は2026年の通知や都道府県の最新の募集要項で確認する必要がありますが、この通知でも、公立については各学校・学科の特色に応じた多様な選抜方法を、私立については各私立学校と私学団体の自主的な改善努力を促す、という書き分けがされています。公立と私立とで日程の調整が必要なことも、同じ通知に出てきます。

不登校の経験がある生徒について、国は何と言っているか

前述の2026年6月の通知には、不登校の生徒への配慮が書かれています。要約すると、次の内容です。

  • 教育支援センター等の公的機関、フリースクール等の民間施設、自宅などで学習を続けている生徒もいる。学ぶ意欲や能力のある生徒について、そうした学びの場での日頃の努力を適切に評価することが望まれる。
  • 在籍する学校での出席状況だけで不利な取扱いをしない(例として、欠席日数だけで出願を制限しない)。
  • 自己申告書や、家庭でのオンライン学習を含む学校以外での学習状況の資料を、選抜で適切に勘案する。不登校の生徒が志願しやすいように、募集時の内容を工夫する。

これらは「望まれる」「お願いする」という書き方の通知で、各実施者に配慮を求めるものです。どの学校でも同じ扱いになる、という意味ではありません。通知の宛先には公立の実施者だけでなく、私立学校を所轄する都道府県知事も含まれていますが、私立学校で実際にどう扱うかは、学校に確認する必要があります。

公立の入試は、都道府県によって配慮の形が違う

文部科学省は毎年、公立高校の入学者選抜の改善状況を各都道府県に尋ねる調査を公表しています。令和7年度(2025年度)の調査結果(2026年2月17日更新版)には、不登校の経験がある生徒への配慮として、次のような項目が並んでいます。

  • 調査書等に、学校以外の場(家庭を含む)での学習状況を反映するよう求めている
  • 中学校長から、副申書など学習状況を記載した書類の提出を求めている(提出できることとしている)
  • 本人から、自己申告書の提出を求めている(提出できることとしている)
  • 調査書に出欠の記録を求めない

自治体ごとの記載を見ると、都道府県によって対応がさまざまなことが分かります。たとえば京都府は調査書に出欠の記録欄を設けていない、岡山県は不登校の生徒を対象に学力検査を行わず、志望理由書を踏まえた面接などで総合的に判断する入学者選抜(フレックス制)を実施している、という記載があります。これは令和7年度調査に載っている例で、年度によって変わることがあります。お住まいの県の最新の取り扱いは、都道府県教育委員会の公式ページで確認してください。

不登校経験者が受検しやすい学科やコースを設けている県もあります。ただし、そうした学校を探す場合も、募集の内容は毎年の募集要項が正確です。

授業料の支援制度は、公立にも私立にもある

授業料の支援は、公立か私立かだけで決まるものではありません。文部科学省の「高校生等への修学支援」ページ(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/mushouka/index.htm、2026年10月時点で確認)によると、授業料の支援は「高等学校等就学支援金」で、2026年度(令和8年度)から新しい制度になりました。

文部科学省の資料で確認できた内容は次のとおりです。

  • 所得制限は撤廃された。世帯年収に関わらず、高等学校等に通う日本人等の生徒が対象になる。
  • 申請手続きが必要。学校からの案内に従って手続きをする。
  • 国籍・在留資格などの要件がある場合や、新制度の対象外になる場合がある。
  • 支給限度額は年額で、学校の種類や課程によって異なる。

授業料の支援を受けるまでの流れを示した図。学校の案内を受け取り、申請の手続きをし、支援が授業料に充てられるという3段階"“

支給限度額(年額)は、同ページの資料「高等学校等就学支援金・新制度の概要」(https://www.mext.go.jp/content/20260616-mxt_shuukyo03-100002595_7.pdf)に次のとおり載っています。2026年度の額です。

区分 公立 私立
高等学校 全日制 11万8,800円 45万7,200円
高等学校 定時制 3万2,400円 45万7,200円
高等学校 通信制 6,240円 33万7,200円

この額は「支給の上限」です。実際の授業料や、授業料以外の費用がいくらになるかは、学校ごとに違います。同じ資料には、新制度について法施行後3年以内に検証して見直しを行う、とも書かれています。制度は今後変わる可能性があるため、受験する年度の最新情報を文部科学省のページか学校で確認してください。

授業料以外の教科書費や教材費などには、返還不要の「高校生等奨学給付金」があります。申請の方法や時期は都道府県ごとに異なるので、お住まいの都道府県か学校に問い合わせます。都道府県などが独自に行う支援については、今回の確認では国の資料から具体的な内容を確認できなかったため、書いていません。

公立・私立のほかにも選択肢がある

高校受験は、進路のひとつです。文部科学省の資料で確認できる範囲で、ほかの道も並べます。

  • 定時制・通信制の高校: 高等学校には、全日制のほかに定時制と通信制の課程を置くことができます。通信制は、添削指導、面接指導(スクーリング)、試験で学ぶのが基本で、インターネット等を活用した指導も行えます。定時制と通信制の修業年限は3年以上です。公立にも私立にもあります。
  • 高等専修学校: 中学校卒業者を対象にした専修学校の課程で、実践的な職業教育を行う学校です。高等学校とは別の制度の学校です。就学支援金の新制度の対象校種には専修学校高等課程も含まれますが、対象になるかは学校で確認してください。
  • 高等学校卒業程度認定試験(高卒認定): その年度の終わりまでに満16歳以上になる人が受験できます。高校に在籍していても受験できます。

それぞれの詳しい内容は、中学卒業後の選択肢の記事で整理しています。

志望校を決めるときに、確かめておきたいこと

どちらが良いかは、お子さんの状況や地域、通える範囲で変わります。比べるときは、次の点を、都道府県教育委員会と志望校の公式な情報で確かめるのがおすすめです。

  1. 募集要項に、調査書以外にどんな資料(自己申告書など)を出せるか書いてあるか
  2. 欠席が多い場合の相談窓口や、事前の説明会があるか
  3. 授業料の支援制度の申請の手続きと時期
  4. 通学の負担(通学時間、通学の頻度)や、登校日数の決まり

まずは、中学校の先生、または教育委員会に「不登校の場合の受験の配慮について、資料はありますか」と尋ねる方法があります。学校に話しにくいときは、後ろの相談窓口も使えます。

今日できる小さな一歩

  • お住まいの都道府県教育委員会のページで「高校入試 不登校 配慮」「自己申告書」などを検索し、1枚だけ印刷するか、保存しておく。
  • 文部科学省の「高校生等への修学支援」ページをブックマークして、授業料の支援について、いつ何を申請するのかをメモする。
  • 気になる学校の募集要項の入手方法(ホームページ、説明会)だけを調べる。見学や出願を決めなくて構いません。

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相談窓口

番号・名称は、いずれも運営機関の公式ページで確認した内容です。受付時間や対応内容は変更されることがあるため、かける前に各公式ページをご確認ください。

  • 学校・教育委員会: お住まいの市区町村、または都道府県の教育委員会に問い合わせてください。電話番号は自治体ごとに異なるため、公式サイトで確認します。公立高校の入試の取り扱いは、都道府県の教育委員会が窓口です。私立高校の入試は、志望校に直接確認します。
  • 24時間子供SOSダイヤル(文部科学省): 0120-0-78310。受付時間は公式ページで確認してください(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/06112210.htm)。
  • 児童相談所虐待対応ダイヤル「189」: 虐待かもと思ったとき、お近くの児童相談所につながります。匿名でも相談できます(https://www.cfa.go.jp/policies/jidougyakutai/gyakutai-taiou-dial)。
  • よりそいホットライン(一般社団法人社会的包摂サポートセンター): 0120-279-338(フリーダイヤル)。受付時間などは公式サイトで確認してください(https://www.since2011.net/yorisoi/)。

お子さんや親御さん自身が「死にたい」と口にしている、自分や他人を傷つけるおそれがある、命や安全に関わる状況だと感じる場合は、上の窓口を待たずに、まず110番または119番に連絡してください。

まとめ

公立と私立の大きな違いは、入学者選抜の方法を決める主体です。公立は教育委員会などが、私立は学校ごとに選抜を行います。国は、不登校の経験がある生徒を出席状況だけで不利に扱わないよう通知していますが、実際の扱いは都道府県と学校で異なります。授業料の支援制度(高等学校等就学支援金)は2026年度から所得制限がなくなり、公立にも私立にも通信制や定時制にも仕組みがあります。受験は選択肢のひとつです。比べるのは、お子さんが安心して通える場所を探すためで、急いで決める必要はありません。まずは志望校と都道府県教育委員会の公式情報から、分かるところを確かめていきましょう。

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出典

  • 文部科学省「高等学校入学者選抜等における配慮事項等について(通知)」令和8年6月30日 8文科初第882号(https://www.mext.go.jp/content/20260630-mxt_koukou01-000026790_01.pdf)
  • 文部科学省「高等学校の入学者選抜について(通知)」平成5年2月22日 文初高第243号(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kaikaku/04120702/001.htm)
  • 文部科学省「令和7年度 高等学校入学者選抜の改善等に関する状況調査(公立高等学校)」令和8年2月17日更新版(https://www.mext.go.jp/content/20251226-mxt_koukou01-000026790_02.pdf)
  • 文部科学省「高校生等への修学支援」(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/mushouka/index.htm)
  • 文部科学省「高等学校等就学支援金・新制度の概要」令和8年度(https://www.mext.go.jp/content/20260616-mxt_shuukyo03-100002595_7.pdf)
  • 文部科学省「高等学校制度の概要」(https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/047/siryo/__icsFiles/afieldfile/2011/12/15/1313846_03.pdf)
  • 文部科学省「高等専修学校とは」(https://www.mext.go.jp/a_menu/shougai/senshuu/kotosensyu00961.html)
  • 文部科学省「高等学校卒業程度認定試験」(https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shiken/)
  • こども家庭庁「児童相談所虐待対応ダイヤル「189」について」(https://www.cfa.go.jp/policies/jidougyakutai/gyakutai-taiou-dial)
  • 一般社団法人社会的包摂サポートセンター「よりそいホットライン」(https://www.since2011.net/yorisoi/)

いずれも2026年10月2日に確認しました。この記事は公的情報をもとに編集部が作成したもので、専門家の監修は受けていません。