お子さんが家にいる時間が長くなり、「どこに相談すればいいのだろう」と調べている方へ。窓口の名前が多くて、どれが自分の家の場合に合うのか分かりにくいと感じる方も多いと思います。
先に結論を書きます。ひきこもりに関わる公的な相談先は複数あり、いくつかは本人が来られなくても、ご家族だけで相談できると公式の情報に書かれています。全部に連絡する必要はありません。話しやすそうな1か所を選べば、そこから別の窓口につないでもらえることもあります。
この記事では、厚生労働省、こども家庭庁、自治体の公式ページで確認できた範囲で、支援の種類と探し方を整理します。窓口は目的が違い、最終的に目指すのは、お子さんが安心して過ごせることと、ご家族が一人で抱え込まないことです。
“
まず知っておきたいこと 家族だけの相談でも始められる
相談というと、本人を連れて行かなければならないと思われがちです。公式の情報では、そうとは限りません。
埼玉県の精神保健福祉センターのページには、「ご家族のみの来所相談もお受けしております」と書かれています。同じページでは、ご家族の気持ちが楽になることで、本人への接し方が自然に変わることがある、とも説明されています。
厚生労働省が令和元年に自治体へ出した通知(後述の自立相談支援機関に関するもの)でも、ひきこもりの状態にある方やその家族からの相談をしっかり受けとめること、本人やその家族を中心とした支援を継続することが示されています。
ただし、どの窓口でも同じ対応とは限りません。電話で状況を伝えるだけの窓口もあれば、予約が必要な窓口もあります。最初の連絡では「本人は今、相談に来られる状態ではありません。家族だけで相談できますか」と聞いてみてください。
ひきこもり地域支援センター ひきこもりに特化した窓口
厚生労働省の「ひきこもり支援に関する取組」のページによると、都道府県と指定都市にひきこもり地域支援センターを整備し、平成30年4月までにすべての都道府県と指定都市(67自治体)に設置されました。
厚生労働省の通知(令和元年6月14日付)では、このセンターはひきこもりに特化した第一次相談窓口と位置づけられています。また、厚生労働省のサイトに載っている大学教員作成の研修資料(2021年掲載)には、ひきこもり支援コーディネーターが電話や来所による相談、訪問支援を行い、適切な関係機関につなぐ、という説明があります。支援の内容は自治体によって異なります。
たとえば山梨県のひきこもり地域支援センターのページには、本人や家族等からの電話相談に応じること、相談は無料で個人の秘密は固く守られること、メール相談のフォームがあることが書かれています。対応する曜日や時間、電話番号は自治体ごとに違います。
各センターの連絡先は、厚生労働省のページから一覧のPDFで確認できます。お住まいの地域の番号は、そこから探すのが確実です。
市町村の身近な窓口 ひきこもり支援ステーション事業とサポート事業
都道府県のセンターだけでなく、市町村単位の支援も広がっています。厚生労働省のページには、次の2つの事業が挙げられています。
- ひきこもり支援ステーション事業: 相談支援、居場所づくり、ネットワークづくりを一体的に実施する事業で、令和7年度は129自治体
- ひきこもりサポート事業: 8つのメニューから自治体が選んで実施する事業で、令和7年度は164自治体
厚生労働省は、ひきこもり当事者やご家族がより身近なところで相談でき、必要な支援が受けられる環境づくりを目指しているとしています。居場所づくりや、当事者会・家族会の開催もその取組に含まれます。
これらの数は、事業を実施している自治体の数です。お住まいの市町村が実施しているかどうかは、このページだけでは分かりません。「市町村名 ひきこもり 相談」で検索するか、役所の福祉担当課に問い合わせて確認してください。
生活困窮者自立支援制度の自立相談支援機関
自立相談支援事業は、生活に困りごとや不安がある方が対象です。厚生労働省のページでは、支援員が相談を受けて、どのような支援が必要かを相談者と一緒に考え、支援プランを作り、寄り添いながら自立に向けた支援を行う、と説明されています。仕事が見つからない、働きたくても働けない、社会に出るのが不安といった困りごとが例に挙がっています。
ひきこもりとの関わりでは、令和元年6月14日付の厚生労働省の通知が参考になります。この通知は、経済的な困窮が明らかでない場合でも、身近な相談窓口である自立相談支援機関が、ひきこもりの状態にある方やその家族などからの相談をしっかり受けとめるよう求めています。お金の心配がなくても、相談してよい窓口です。
窓口の名称は自治体によって異なります。厚生労働省のページには、令和7年度の自立相談支援機関の窓口情報の一覧(https://minna-tunagaru.jp/ichiran/)へのリンクがあります。
なお、このページで費用についての記載は確認できませんでした。費用は窓口で確認してください。
地域若者サポートステーション(サポステ)
サポステは、厚生労働省のページで、働くための一歩を踏み出したい15歳から49歳の若年無業者を支援する機関と説明されています。コミュニケーション講座、就活セミナー、パソコン講座などの支援があり、これらは無料と記載されています。
同じページに、就労を希望する本人だけでなく、ご家族からの相談も受け付けている、とあります。
ここで気をつけたいのは、サポステは「働くこと」に向けた支援だという点です。お子さんがまだ働くことを考えられない時期には、先に挙げた他の窓口で、まず安心して過ごすことを話題にするほうが合う場合もあります。どれが合うかは、お子さんの状態やペースによって違います。
精神保健福祉センターと保健所
精神保健福祉センターは、都道府県と指定都市に置かれています。厚生労働省のホームページに掲載されている資料では、ひきこもりを含め、心の悩みを持つ本人やその家族を対象に、電話相談や来所相談を行い、同じ悩みを持つ人や家族のグループ活動も行っていると紹介されています。保健所でも、ひきこもりの相談を受け付けており、希望により保健師や精神保健福祉士が家庭訪問をして相談できる、との説明があります。
なお、この資料は大学教員が作成した研修用の資料で、厚生労働省のサイトに掲載されているものです。実際の対応は自治体で異なるため、利用する際は窓口に確認してください。
この記事では診断や治療には踏み込みません。医療が必要かどうかの判断は、実際に会った専門の機関が行うものです。
子ども・若者総合相談センター
こども家庭庁のページによると、子ども・若者育成支援推進法第13条で、地方公共団体は、子ども・若者育成支援に関する相談に応じ、関係機関の紹介や情報の提供・助言を行う拠点としての機能を担う体制を、単独で、または共同して確保するよう努めるものとされています。この拠点が「子ども・若者総合相談センター」です。
「努めるものとされている」という書き方のとおり、どの自治体にもあるとは限りません。名称も自治体によって違うことがあります。こども家庭庁のページには、所在地一覧(令和7年4月1日現在)が掲載されています。
幅広い相談を受け、必要な窓口を紹介してもらえる入口として、使い道を考えておくとよいでしょう。
家族会・当事者会、ひきこもりVOICE STATION
窓口に相談するのとは別に、同じ立場の人と話せる場もあります。厚生労働省は、居場所づくりや当事者会・家族会の開催を支援の取組に含めています。ご家族だけが参加できる家族会が開かれている地域もあります。お住まいの地域の開催状況は、ひきこもり地域支援センターや市町村に聞いてみてください。
厚生労働省のポータルサイト「ひきこもりVOICE STATION」(https://hikikomori-voice-station.mhlw.go.jp)は、令和7年7月1日にリニューアルされました。「全国の相談窓口」から、お近くの支援機関を探せます。家族会に参加している家族へのインタビューも載っています。
“
今日できる小さな一歩
- 「ひきこもりVOICE STATION」か、厚生労働省の一覧で、お住まいの地域の窓口を1つ見つけて、連絡先をメモする。連絡はまだしなくて大丈夫です。
- 電話するときの最初の一言を決めておく。「本人は来られないのですが、家族だけで相談できますか」で十分です。
- 相談しても、今すぐお子さんに何かを変えてもらう必要はありません。窓口に話すこと自体が、ご家族にとっての一歩になります。
ひとりで抱え込まず、話してみませんか
- 1回30分・無料
- オンライン・電話
- 入力は2分ほど
不登校支援の専門カウンセラーが、お話を伺います。1回30分まで無料です。
※医師・公認心理師などの資格を持つ専門家ではありません。診断・治療などの医療的な助言は行いません。緊急のときは、記事内の「相談窓口」へご連絡ください。
相談窓口
電話番号は自治体ごとに異なるため、公式の一覧から探してください。
- ひきこもり地域支援センター(都道府県・指定都市): 厚生労働省「ひきこもり支援に関する取組」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/hikikomori/index.html)から連絡先一覧(PDF)を確認できます。
- ひきこもりVOICE STATION: https://hikikomori-voice-station.mhlw.go.jp の「全国の相談窓口」。
- 自立相談支援機関: 令和7年度の窓口一覧 https://minna-tunagaru.jp/ichiran/
- 精神保健福祉センター・保健所: お住まいの都道府県・指定都市(保健所は市区町村)の公式サイトで「精神保健福祉センター」「保健所 ひきこもり」と検索してください。
- 子ども・若者総合相談センター: こども家庭庁の所在地一覧(https://www.cfa.go.jp/policies/youth/kyougikai-soudancenter)。
- 地域若者サポートステーション: 厚生労働省のページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_45191.html)から探せます。
- よりそいホットライン(一般社団法人社会的包摂サポートセンター): 0120-279-338(フリーダイヤル)。受付時間は公式サイト(https://www.since2011.net/yorisoi/)で確認してください。
自傷や「死にたい」といった言葉があるとき、暴力や虐待が疑われるときは、すぐに相談してください。お子さんが18歳未満で虐待が疑われるときは、児童相談所虐待対応ダイヤル189に連絡してください(番号は厚生労働省・こども家庭庁の公式ページで最新の案内を確認してください)。
まとめ
ひきこもりに関する公的な相談先は、ひきこもり地域支援センター、市町村の事業、自立相談支援機関、サポステ、精神保健福祉センターや保健所、子ども・若者総合相談センターなど、複数あります。本人が来られなくても家族だけで相談できると明記している窓口もあります。窓口ごとに対象や得意なことが違うので、最初の1か所で合わなくても、そこから別の窓口を教えてもらえます。お子さんのペースを大切にしながら、ご家族もご自身を支える場所を持ってください。
ひとりで抱え込まず、話してみませんか
- 1回30分・無料
- オンライン・電話
- 入力は2分ほど
不登校支援の専門カウンセラーが、お話を伺います。1回30分まで無料です。
※医師・公認心理師などの資格を持つ専門家ではありません。診断・治療などの医療的な助言は行いません。緊急のときは、記事内の「相談窓口」へご連絡ください。
出典
- 厚生労働省「ひきこもり支援に関する取組」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/hikikomori/index.html)
- 厚生労働省「ひきこもりVOICE STATION」(https://hikikomori-voice-station.mhlw.go.jp/)
- 厚生労働省「地域若者サポートステーション」(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_45191.html)
- 厚生労働省「生活困窮者自立支援制度」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000059425.html)
- 厚生労働省「ひきこもり地域支援センターによる生活困窮者自立支援制度の自立相談支援機関への積極的な支援について(令和元年6月14日 社援地発0614第2号)」(https://www.mhlw.go.jp/content/000518570.pdf)
- 厚生労働省サイト掲載(執筆者は大学教員)「ひきこもりの状態の人への相談支援に関わる社会資源(研修資料・久留米大学 門田光司)」(https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/000930635.pdf)
- こども家庭庁「子ども・若者支援地域協議会、子ども・若者総合相談センター」(https://www.cfa.go.jp/policies/youth/kyougikai-soudancenter)
- 埼玉県「ひきこもり相談(埼玉県立精神保健福祉センター)」(https://www.pref.saitama.lg.jp/b0606/health/hiki.html)
- 山梨県「山梨県ひきこもり地域支援センター」(https://www.pref.yamanashi.jp/seishin-hk/hikikomorisoudan.html)
いずれも2026年10月2日に確認しました。この記事は公的情報をもとに編集部が作成したもので、専門家の監修は受けていません。



