「高校は義務教育ではないから、休み続けたら退学になるのでは」。そう考えて、夜になっても眠れずにスマホを開いている方は少なくないと思います。中学までとは違う心配が増えるぶん、不安も重くなりやすい時期です。

先に結論を書きます。高校の単位や進級のルールは、学校ごとに違います。まず在籍校に具体的な数字と選択肢を聞くことが、最初の確かな一歩です。そのうえで、学校の外にも相談先や学びの場があり、通信制や転学のような道もあります。親ができる関わりは、子どもの休養と安心を守りながら、情報を集めて選択肢を増やすことです。登校を目標にしなくても構いません。

在籍校の先生と保護者が向かい合い、出席の扱い・単位・進級・転学の4点を確認している様子を描いた図"“

高校生の不登校は、どれくらいいるのか

文部科学省の令和6年度調査(「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」)では、高等学校の不登校生徒数は約6万8千人で、前年度から減少したと報告されています(文部科学省「令和6年度調査結果及びこれを踏まえた対応の充実について(通知)」)。

減ったとはいえ、約6万8千人という数は、同じ状況の家庭が全国にたくさんあることを示しています。お子さんだけ、ご家庭だけに起きていることではありません。

この数字は、調査で「不登校」として学校が報告した生徒の数です。休みの理由や、いま本人が置かれている状況までは分かりません。数字は参考にとどめ、目の前のお子さんの様子から考えていきましょう。

高校は義務教育ではない。何が中学までと違うのか

小・中学校は義務教育ですが、高校は義務教育ではありません。そのため、欠席が続いたときには、単位・進級・卒業、場合によっては転学や退学といった制度が関わってきます。ここでは、公的な資料で確認できた範囲を整理します。

卒業には、決められた数以上の単位の修得が必要

学校教育法施行規則第96条は、校長が高等学校の全課程の修了を認めるには、学習指導要領の定めるところにより74単位以上を修得した者について行うこと、と定めています(e-Gov法令検索で確認)。

つまり卒業の条件は「出席日数」だけではなく、単位を修得できるかどうかに関わります。ただし、各科目の単位をどのような基準で認めるか、進級をどう判断するかは、この条文だけでは分かりません。学校が定める規則によります。国の統一基準は、今回の調査では確認できませんでした。

出席日数・進級の基準は、学校ごとに違う

一般的に言われる話として、「授業時数の何分の1以上欠席すると単位が認められにくい」といった基準を設けている学校は多いようです。しかし、具体的な割合や、基準を満たさない場合の扱い(補習、追試、レポートなど)は学校ごとに異なります。公立か私立か、全日制か定時制か通信制かによっても違います。

インターネットで見かける「出席が3分の2を下回ると留年」といった説明は、あくまで一部の学校の例です。お子さんの学校に当てはまるかどうかは、在籍校に確認しないと分かりません。

学校外の相談・指導が「出席扱い」になる場合がある

文部科学省は、平成21年の通知で、高等学校の不登校生徒が学校外の公的機関や民間施設で相談・指導を受けている場合に、在籍校の校長が指導要録上「出席扱い」とできる仕組みを示しています。

条件の一つは、保護者と学校の間で十分な連携・協力が保たれていることです。通う場所は、教育委員会などが設置する適応指導教室(現在の教育支援センター)などの公的機関が基本です。公的機関に通うことが難しい場合などで、本人や保護者の希望もあり適切と判断されれば、民間の相談・指導施設も考慮されると書かれています。民間施設が適切かどうかは、校長が設置者の教育委員会と連携して判断するとされています。

この通知には、もう一つ大事な点があります。指導要録上の「出席扱い」は、科目の履修の認定で考慮される授業への出席とは異なるものだと明記されています。履修の認定は、在籍校の履修要件に照らして行われます。つまり、学校外の施設に通って出席扱いになっても、それだけで単位が認められるとは限りません。出席扱いと単位の関係は、在籍校に具体的に聞いておくと安心です。

全日制・定時制でも、通信教育で単位を取る制度がある

学校教育法施行規則第88条の4は、学校生活への適応が困難であるため相当の期間欠席し、引き続き欠席すると認められる生徒などを対象に、教育上有益と認めるときは、授業に代えて通信教育を行うことができると定めています。文部科学省の令和6年の通知でも、全日制・定時制に通う不登校生徒等が、自宅等で通信教育を受けて単位を取得できる制度が紹介されています。

ただし、実際にこの制度を使えるかどうかは、学校の判断と体制によります。「うちの学校でも使えますか」と尋ねてみてください。

家を中心に、相談する場、学ぶ場、静かに過ごす場、働くことを考える場へ道がのびている風景。どれか1つを選ぶ必要はなく、順番もないことを表した図"“

親ができる関わり

ここからは、親の関わりについてです。公的な資料で確認できる考え方を軸に、一般的に言われることを分けて書きます。

目標を「登校」だけにしない

文部科学省の通知には、不登校の児童生徒への支援は「学校に登校する」という結果のみを目標にするのではなく、本人が自らの進路を主体的に捉えて社会的に自立することを目指す必要がある、という趣旨の記載があります。また、不登校の時期が休養や自分を見つめ直す等の積極的な意味を持つことがある、とも書かれています。

高校生は、進路や将来を自分で考え始める年齢です。親が先回りして道を決めるより、「いまは休んでいい」と伝えたうえで、本人の考えを聞くほうが、一般的にうまくいきやすいと言われます。

親が先に、学校の情報を集める

単位や進級の話は、子どもにとって重く響きやすい話題です。本人に確認を迫らず、まず親が在籍校に聞いておく方法があります。担任、学年主任、養護教諭、スクールカウンセラー、教育相談の担当者などが窓口になります。聞いておきたいことは、次のとおりです。

  • 欠席が続いた場合の、出席・単位・進級の具体的な基準(いつまでに何を満たせばよいか)
  • レポートや補習など、欠席中の学習で単位につなげられる方法があるか
  • 学校外の施設に通う場合に、出席扱いにできるか
  • 通信教育や、別の課程・学校への転学の相談を学校で受けられるか

聞いた内容は、日付とあわせてメモに残すと、後から見返すときに役立ちます。

子どもへの声かけは、情報を渡す形で

「このままだと進級できないよ」と伝えると、本人は責められたと感じることがあります。一般的には、「学校に聞いてみたら、こういう選択肢があるそうだよ。考えたくなったら話そうね」というように、情報を渡して、決めるのは本人に残す言い方が勧められます。急いで答えを求める必要はありません。

親自身も相談してよい

お子さんの休みが続くと、親も眠れなくなったり、自分を責めたりします。原因を親の側に求める必要はありません。親御さんが話を聞いてもらえる場所を持つことは、結果としてお子さんの安心にもつながると一般的に言われています。相談窓口は、後述の「相談窓口」にまとめました。

居場所の選択肢

居場所は、家以外にもいくつかあります。ここでは公的な資料で確認できたものを中心に紹介します。どれか1つを選ぶ必要はなく、順番もありません。

教育支援センターなど、学校外の公的機関

先ほどの文部科学省の通知では、学校外で相談・指導を受ける場の例として、教育委員会などが設置する適応指導教室等の公的機関があげられています。高校生が利用できるかどうかや、対象年齢は自治体によって違うため、お住まいの教育委員会に聞いてください。

都道府県教育委員会の相談会

自治体の中には、高校生本人と保護者に向けた相談の場を設けているところがあります。たとえば埼玉県教育委員会は、進路や卒業に不安を抱える中学生・高校生と保護者、中途退学した方を対象に「高校生活に関する相談会」を開催しています。通信制・定時制高校の担当者や、進級・進路を担当する課が相談を受ける形で、令和8年度第1回の案内(開催日は令和8年8月9日)が掲載されています。2026年10月時点で開催日は過ぎているため、次回の予定は同サイトで確認してください。ここでは取り組みの一例として挙げたもので、特定の自治体をすすめるものではありません。他の都道府県の同様の取り組みは、各教育委員会のサイトで確認してください。

ひきこもり地域支援センター

厚生労働省は、都道府県・指定都市に「ひきこもり地域支援センター」を設置しています(平成30年4月までに全ての都道府県・指定都市に設置)。社会福祉士、精神保健福祉士、公認心理師などの資格を持つ支援コーディネーターが、ひきこもりの状態にある方やその家族の相談に応じるとされています。

「ひきこもり」という言葉に抵抗があるかもしれません。ただ、家族からの相談も受けつけているため、お子さんが外出を避けるようになったとき、親御さんがまず電話で話を聞いてもらう先の一つになります。市町村にも居場所づくりを含む相談の取り組みがあるため、お住まいの地域の窓口を調べてみてください。

地域若者サポートステーション(サポステ)

サポステは、働くことに悩みを抱えている15歳から49歳までの方の就労を支援する機関で、全ての都道府県に設置されています(令和7年度4月現在、全国179か所)。支援の中心は就労です。進路や社会とのつながりの相談にどこまで応じてもらえるかは、地域のサポステに確認してください。在学中の方が利用できるかどうかは、地域のサポステによって確認が必要です。厚生労働省のページでは、15〜49歳という対象の記載以外は確認できませんでした。

進路の選択肢(概要)

居場所と並んで、学びの場を変える選択肢もあります。詳しくは別の記事で扱うため、ここでは概要だけを書きます。

  • 通信制高校・定時制高校への転学: 在籍校を変えて、自分のペースで単位を取る道です。転学の手続きや時期は、学校や設置者によって異なります。
  • 高卒認定試験: 文部科学省が実施する試験です。受験年度内に16歳以上になる、大学入学資格のない人が対象で、現在高校に在籍している方も受験できます。合格すると、大学・短大・専門学校の受験資格が得られます。
  • 全日制・定時制のまま通信教育を受ける: 先ほど書いた第88条の4の制度です。

どれを選ぶかは、本人の状態や希望によって変わります。急いで決めなくて構いません。

今日できる小さな一歩

  1. 在籍校に電話かメールで、欠席が続いた場合の単位・進級の基準を聞く。 担任でも養護教諭でも構いません。聞くことをメモしてから連絡すると、落ち着いて話せます。
  2. お子さんに「いまは休んでいいよ」と一言伝える。 返事がなくて大丈夫です。
  3. お住まいの地域の教育委員会かひきこもり地域支援センターの連絡先を調べておく。 今日は調べるだけで十分です。

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相談窓口

番号・名称は、いずれも運営機関の公式ページで確認した内容です。受付時間や対応内容は変わることがあるため、かける前に公式ページをご確認ください。相談窓口の詳しい選び方は、別の記事でまとめています。

  • 在籍校・教育委員会: まず在籍校(担任、養護教諭、スクールカウンセラー、教育相談担当)に相談できます。私立か公立か、都道府県立か市立かで窓口が変わるため、学校に聞いてください。
  • ひきこもり地域支援センター: 各都道府県・指定都市に設置。住所・連絡先は厚生労働省のページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/hikikomori/index.html)から確認できます。
  • 地域若者サポートステーション: 15歳から49歳までの就労に関する相談。所在地は厚生労働省のページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/saposute.html)から確認できます。
  • 24時間子供SOSダイヤル(文部科学省): 0120-0-78310。24時間受付(年中無休)です。
  • 児童相談所虐待対応ダイヤル「189」: 虐待かもと思ったとき、お近くの児童相談所につながります。匿名可、通話料無料です(https://www.cfa.go.jp/policies/jidougyakutai/gyakutai-taiou-dial)。
  • よりそいホットライン(一般社団法人社会的包摂サポートセンター): 0120-279-338(フリーダイヤル)。電話のほか、チャットやSNSでの相談にも対応しています。受付時間は公式サイト(https://www.since2011.net/yorisoi/)で確認してください。

お子さんや親御さん自身が「死にたい」と口にしている、自分や他人を傷つけるおそれがある、命や安全に関わる状況だと感じる場合は、上の窓口を待たずに、まず110番または119番に連絡してください。

まとめ

高校生の不登校では、単位・進級・転学といった制度が関わり、親の不安は大きくなりがちです。ただ、その基準は学校ごとに違うため、まず在籍校に聞くことから始められます。登校だけを目標にしなくても、学校外の相談先、通信教育、転学、高卒認定など、選べる道があります。令和6年度の調査では、高校の不登校生徒は約6万8千人と報告されていて、同じ状況の家庭は全国にあります。ひとりで抱え込まず、聞ける場所に聞いてみてください。

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出典

  • 文部科学省「令和6年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果及びこれを踏まえた対応の充実について(通知)」(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1422178_00006.htm)
  • 文部科学省「高等学校における不登校生徒が学校外の公的機関や民間施設において相談・指導を受けている場合の対応について」(平成21年3月12日)(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/04121502/1309943.htm)
  • 文部科学省「不登校児童生徒が欠席中に行った学習の成果に係る成績評価について(通知)」(令和6年8月29日)(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1422155_00002.htm)
  • 文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」(令和元年10月25日)(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1422155.htm)
  • e-Gov法令検索「学校教育法施行規則」第88条の4・第96条(https://laws.e-gov.go.jp/law/322M40000080011)
  • 文部科学省「令和7年度高等学校卒業程度認定試験について」(https://www.mext.go.jp/content/20250410-mxt_syoto01-000040905_10.pdf)
  • 厚生労働省「地域若者サポートステーション」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/saposute.html)
  • 厚生労働省「ひきこもり支援に関する取組」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/hikikomori/index.html)
  • 埼玉県教育委員会「不登校の子供たちとその保護者を支援するためのサイト」(https://www.pref.saitama.lg.jp/f2209/futoukoshien/index.html)
  • こども家庭庁「児童相談所虐待対応ダイヤル「189」について」(https://www.cfa.go.jp/policies/jidougyakutai/gyakutai-taiou-dial)
  • 一般社団法人社会的包摂サポートセンター「よりそいホットライン」(https://www.since2011.net/yorisoi/)

いずれも2026年10月2日に確認しました。この記事は公的情報をもとに編集部が作成したもので、専門家の監修は受けていません。