「同じような悩みの親御さんと話せる場がある」と聞いて、家族会や当事者会について調べている方へ。気になってはいても、どんな人が集まるのか、行ったら何を聞かれるのか、続けなければならないのか、分からないことが多いと思います。
この記事の結論を先に書きます。家族会・当事者会は、国の資料でも「家族や当事者の交流の場」として紹介されている、相談先の選択肢のひとつです。参加は義務ではありません。合うかどうかは会によって違うので、合わなければ別の相談先を使っても構いません。
この記事では、厚生労働省の「ひきこもり支援ハンドブック」「ひきこもり支援に関する取組」「ひきこもりVOICE STATION」と、KHJ全国ひきこもり家族会連合会の公式サイトで確認できた範囲だけをまとめます。公式情報で確認できなかった点は、そう明記します。
なお、窓口全体の整理は「ひきこもり支援の種類と相談先」、「社会復帰」という考え方については別の記事で書いています。ここでは家族会・当事者会に絞ります。
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家族会・当事者会は国の資料でどう紹介されているか
厚生労働省の「ひきこもり支援に関する取組」のページには、ひきこもり当事者やそのご家族がより身近なところで相談でき、必要な支援を受けられる環境づくりのために、相談窓口の設置、居場所づくり、関係者間のネットワーク構築、当事者会・家族会の開催などを進めている、と書かれています。これらの経費は「ひきこもり支援推進事業」により、国が自治体に補助しているとあります。
同じページには、自治体が8つのメニューから選んで行う「ひきこもりサポート事業」(令和7年度は164自治体)が紹介されています。8つのメニューのひとつが「当事者会・家族会開催事業」です。ただし、実施するかどうかは自治体が選ぶ仕組みなので、お住まいの市町村で開かれているとは限りません。
また、「ひきこもり支援ハンドブック」(支援者向けに書かれた資料)の第4章には、地域の関係機関の一覧があります。その中で「家族会・当事者会」は、民間の分類に入り、「家族や当事者の交流の場」と説明されています。
つまり、家族会・当事者会は、公的な窓口とは別に、民間の団体などが運営している交流の場として位置づけられていることが分かります。窓口での相談とは役割が違うものとして、並べて考えるとよさそうです。
家族会で得られるものの例
ハンドブックには「家族支援と家族会」というコラムがあります。まず前提として、家族が焦って本人を叱咤激励したり、無理に外へ連れ出そうとしたりしても、状況が改善することはない、と書かれています。一方で、家の中で本人が過ごしやすい、安全・安心な環境を整えることで、本人の気持ちや家族への対応が変わることがある、とも書かれています。
この文章は、親御さんを責めるものではありません。焦りは、お子さんを案じているから生まれます。そのうえで、家族が安心できる場を持つことが、家の中の環境にも関わりうる、という考え方が示されています。
コラムの図には、家族会に参加して得られることの例として、次の3つが挙がっています。
- 安心: 他の家庭での対応を聞いたり、情報を交換したりして、お互いに支え合う
- 学び: 学習会やセミナーを通して、お子さんの気持ちや苦しみを理解する
- 連携: 一緒に考えることで希望が生まれ、理解の促進や偏見の解消、支援機関との連携につながる
これは「得られることの例」であり、参加すればこうなる、と約束する意味ではありません。どう感じるかは、会の雰囲気やご家族の状況によって違います。
同じ章には、本人が家族との関わりを拒否している場合の対応として、家族会への参加をサポートするなど、家族へのアプローチも考えられると書かれています。家族の雰囲気がよくなったり、関わり方が変わったりすることが、本人に好影響を与えることもありうる、という趣旨です。「本人が動かないなら親が会に行っても意味がない」とは限らない、ということです。
KHJ全国ひきこもり家族会連合会の公式サイトで確認できたこと
ハンドブックには、家族会について、KHJ全国ひきこもり家族会連合会(以下、KHJ)が全国の家族会と連携し、家族会の取り組みを支援する活動をしていること、全国の家族会の情報がKHJのホームページに掲載されていることが書かれています。厚生労働省のページで紹介されている団体のひとつ、という事実の範囲で、公式サイトの内容を紹介します。特定の会への参加や入会をおすすめする意図はありません。
KHJの公式サイト(よくある質問のページ)には、次のような記載があります。
- 1999年に設立され、2015年に「親の会」から「家族会」へ名称を変えた
- 2026年8月現在、29都道府県38支部、約3000家族が所属している
- 「ひきこもりは病名ではない。自己責任、家族責任でもありません」という捉え方を掲げている
- ひきこもる本人だけでなく、家族(親やきょうだい)も孤立感を抱えて悩みを抱えている「当事者」として一緒に活動している
「家族会の活動」のページでは、各家族会(支部)が、家族の学習会、月例会(講演会)、相談会、アウトリーチ(訪問)、居場所運営など、それぞれ特色ある活動を行っているとされています。「家族が孤立と不安から脱却し、安心と希望、意欲を取り戻す場に」といった目的も書かれています。
ここで大切なのは、「それぞれ特色ある活動」という書き方です。会によって、集まりの頻度も、話し方も、雰囲気も違う可能性があります。公式サイトで確認できたのは団体としての考え方と活動の例までで、個々の会でどんな進め方をしているかは、各会の案内で確認する必要があります。
当事者会との違いと、オンラインでの開催
ご家族が参加するのが家族会、ひきこもりの経験がある本人が集まるのが当事者会、というのが基本的な分け方です。ハンドブックの関係機関一覧は、両方をまとめて「家族会・当事者会」と記載し、「家族や当事者の交流の場」と説明しています。
KHJの公式サイトによると、KHJでは、ひきこもり状態の家族がいる「兄弟姉妹」を対象にした「兄弟姉妹オンライン支部」の居場所を、オンラインで開催している例があります(2026年9月の開催案内)。ハンドブックにも、「兄弟姉妹の会」がオンラインで開催されているという記載があります。
一方で、親を対象にした家族会のオンライン参加について、公式情報で一律に確認できた記述は見つかりませんでした。オンラインで参加できるかどうかは、会ごとに違うとみて、問い合わせて確認してください。
厚生労働省のポータルサイト「ひきこもりVOICE STATION」には、当事者や家族のインタビューが載っています。その中には、ひきこもりオンライン当事者会に参加した体験や、家族会に参加している家族の話が、動画として紹介されています。どんな場かのイメージをつかみたいときの参考にはなりますが、一人ひとりの体験であり、すべての会に当てはまるわけではありません。
家族会の探し方 3つの入口
家族会・当事者会は、1つの全国共通の窓口で案内されているわけではありません。確認できた範囲では、次の3つの入口があります。
1. ひきこもり地域支援センターに聞く
ひきこもりVOICE STATIONの「全国の相談窓口」には、ひきこもり地域支援センターが、すべての都道府県・指定都市にあることが書かれています。連携先として、居場所づくり、当事者会、家族会が挙がっています。つまり、センターが地域の家族会などの情報を持っている可能性があります。電話での問い合わせでは、「ご家族が参加できる家族会が地域にありますか」と聞いてみてください。
2. 市区町村の窓口に聞く
先に書いたとおり、市区町村が「当事者会・家族会開催事業」を実施している場合があります。実施しているかどうかは、市区町村のウェブサイトで「ひきこもり」を検索するか、福祉の担当課に聞いてください。
3. KHJの公式サイトで、全国の家族会の一覧を見る
KHJの公式サイトに「全国家族会一覧・支部加盟案内」のページがあります。地域ごとの会の名称や、公開されている連絡先が掲載されています。ページには、家族会が自分たちの団体としてKHJに加盟するための案内も含まれています。ご家族が個人で入会するための案内かどうかは、このページだけでは確認できませんでした。気になる会があれば、その会に直接聞いてください。この記事では、個別の会の連絡先は書きません。
ひきこもりVOICE STATIONのリンク集には、「仲間」の分類として「当事者会、家族会などつながる先」というタグがあることも確認できました。リンク集の詳しい中身は、ページを開いて確認してください。
参加の流れと費用は、会ごとに違います
最初の参加の方法(見学できるか、予約が必要か、初回に何をするか)について、国やKHJの公式ページで、すべての会に共通する決まりは確認できませんでした。会によって、月例会に直接参加できるところもあれば、まず個別の相談から始まるところもあるかもしれません。ここは、各会の案内か、問い合わせで確認する必要があります。
費用についても同じです。KHJの公式サイトに会費の記載はありますが、それは家族会の団体がKHJに加盟するときのものでした。ご家族が各会に参加するときの会費や参加費は、公式情報では確認できていません。「無料です」「有料です」とは書けないので、問い合わせの際に次のことを聞いてみてください。
- 初めての人が参加するとき、予約は必要か
- 見学や体験として話を聞くだけの参加ができるか
- 参加費や会費はいくらか。継続して参加する場合はどうなるか
- 開催の日時・場所と、オンライン参加の有無
- 父親だけ、母親だけなど、どちらか一人でも参加できるか
参加するときの考え方
最後に、参加を考えるときの心構えを整理します。ここは公式資料の記述を土台にした、考え方の提案です。
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家族会に入れば解決する、という場ではありません。 ハンドブックが示すのは、家族の安心や学びなど、得られることの「例」です。ひきこもりの状態が変わるかどうかを、家族会の参加によって約束するものではありません。参加できたから親として「できた」、行けなかったから「できなかった」と考える必要もありません。
合わなければ、別の相談先でも構いません。 会の雰囲気、集まる人の年代、扱う話題は様々です。一度行って「ここは違うかもしれない」と感じることは、珍しいことではありません。ひきこもり地域支援センターなど、他の窓口を使うこともできます。窓口は、ご家族だけの相談を受けつけているところがあります。
お子さんに話すかどうかは、ご家庭で決めてよいことです。 家族会に参加することは、親御さんが自分のために使う時間です。話してから行くか、話さずに行くかは、ご家庭の状況によります。公式資料にはこの点の決まりは見当たらなかったので、どちらが正しい、とは書けません。気になる場合は、窓口で聞いてみてください。
会で聞いた他のご家庭のやり方を、そのまま持ち帰らなくて構いません。 他の家庭の対応は、そのご家庭とお子さんに合ったものです。参考にできるところだけ取り入れれば十分です。
話すことがつらいときは、話さなくていいはずです。 無理に話す、無理に続ける必要はありません。こうした「進め方」も、会によって違います。気になる点は、事前に聞いておくと安心です。
今日できる小さな一歩
- 厚生労働省の「ひきこもりVOICE STATION」か、お住まいの都道府県・指定都市の「ひきこもり地域支援センター」のページを開き、連絡先を1つメモする。
- 連絡するときの最初の一言を決めておく。「地域に、ひきこもりの家族が参加できる会はありますか」で十分です。
- 会に行くかどうかは、まだ決めなくて構いません。「情報を知っておく」だけでも、ひとつの一歩です。
ひとりで抱え込まず、話してみませんか
- 1回30分・無料
- オンライン・電話
- 入力は2分ほど
不登校支援の専門カウンセラーが、お話を伺います。1回30分まで無料です。
※医師・公認心理師などの資格を持つ専門家ではありません。診断・治療などの医療的な助言は行いません。緊急のときは、記事内の「相談窓口」へご連絡ください。
相談窓口
電話番号は自治体ごとに異なるため、公式の一覧から探してください。
- ひきこもり地域支援センター(都道府県・指定都市): 厚生労働省「ひきこもり支援に関する取組」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/hikikomori/index.html)から連絡先一覧(PDF)を確認できます。
- ひきこもりVOICE STATION「全国の相談窓口」: https://hikikomori-voice-station.mhlw.go.jp/support/
- 市区町村の窓口: お住まいの市区町村の公式サイトで「ひきこもり 相談」と検索するか、福祉の担当課に聞いてください。
- KHJ全国ひきこもり家族会連合会(家族会の一覧を見る): https://www.khj-h.com/meeting/families-meeting-list/
自傷や「死にたい」といった言葉があるとき、暴力や虐待が疑われるときは、すぐに相談してください。お子さんが18歳未満で虐待が疑われるときは、児童相談所虐待対応ダイヤル189があります(最新の案内は、こども家庭庁・厚生労働省の公式ページで確認してください)。
まとめ
家族会・当事者会は、国の資料でも、家族や当事者が交流する場として、相談窓口とは別に紹介されています。ハンドブックには、家族会で得られることの例として、安心、学び、連携が挙がっています。ただし、会によって活動の内容も、参加の流れも、費用も違います。参加の方法や費用、オンライン参加の有無は、公式情報では一律に確認できなかったため、各会に直接聞いてください。
探し方の入口は、ひきこもり地域支援センター、市区町村の窓口、KHJの公式サイトの一覧です。参加は強制ではなく、合わなければ別の相談先を使っても構いません。まずは「こういう場がある」と知っておくところから始めれば十分です。
ひとりで抱え込まず、話してみませんか
- 1回30分・無料
- オンライン・電話
- 入力は2分ほど
不登校支援の専門カウンセラーが、お話を伺います。1回30分まで無料です。
※医師・公認心理師などの資格を持つ専門家ではありません。診断・治療などの医療的な助言は行いません。緊急のときは、記事内の「相談窓口」へご連絡ください。
出典
- 厚生労働省「ひきこもり支援に関する取組」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/hikikomori/index.html)
- 厚生労働省「ひきこもり支援ハンドブック〜寄り添うための羅針盤〜 第4章 ひきこもり支援のポイント」(https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/001471260.pdf)
- 厚生労働省「ひきこもりVOICE STATION 全国の相談窓口」(https://hikikomori-voice-station.mhlw.go.jp/support/)
- 厚生労働省「ひきこもりVOICE STATION 仲間・相談・支援のヒント」(https://hikikomori-voice-station.mhlw.go.jp/link/)
- 厚生労働省「ひきこもりVOICE STATION」トップページ(https://hikikomori-voice-station.mhlw.go.jp/)
- KHJ全国ひきこもり家族会連合会「家族会の活動」(https://www.khj-h.com/meeting/meeting-action/)
- KHJ全国ひきこもり家族会連合会「よくある質問」(https://www.khj-h.com/questions/)
- KHJ全国ひきこもり家族会連合会「全国家族会一覧・支部加盟案内」(https://www.khj-h.com/meeting/families-meeting-list/)
- KHJ全国ひきこもり家族会連合会 トップページ(https://www.khj-h.com/)
いずれも2026年10月2日に確認しました。この記事は公的情報をもとに編集部が作成したもので、専門家の監修は受けていません。



