「中学を出たあと、うちの子はどこへ行けるのだろう」。そう考えると、夜になっても落ち着かない方は多いと思います。

先に書いておきます。中学卒業後の進路は、全日制の高校だけではありません。定時制、通信制、高等専修学校、高卒認定試験を目指す道、働くための支援機関など、国の資料で確認できる道がいくつもあります。この記事では、それらを優劣をつけずに並べます。どれが良いかは、お子さんの状況と気持ちで変わります。中学卒業までに急いで決める必要がある、という書き方もしません。

入試や出願の方法、必要な書類は、都道府県や学校ごとに違います。この記事は制度の大まかな種類を知るためのもので、お住まいの地域の細かい条件は、教育委員会や各学校の公式情報で確認してください。

中学校を出た子どもの前に、全日制、定時制、通信制、高等専修学校、高卒認定試験、働く・サポート機関の6つの道が同じ幅で並んでいる図"“

全日制・定時制・通信制の高校は、学び方がちがう

文部科学省の資料「高等学校制度の概要」によると、高校には全日制、定時制、通信制の課程を置くことができます。定時制は夜間その他特別の時間または時期に授業を行う課程、通信制は通信による教育を行う課程です。修業年限(卒業までの最低年数)は、全日制が3年、定時制と通信制は3年以上とされています。

卒業に必要な単位数は、全学科共通で74単位以上と書かれています(ただし各学校が定めます)。この点は、文部科学省の「通信制高等学校情報発信サイト」にも同じ記載があります。なお、「高等学校制度の概要」の資料は2011年(平成23年)に公開されたものです。最新の運用は、学校や教育委員会に確認してください。

全日制と定時制

全日制は、通常の時間帯に授業を行う課程です。定時制は、夜間などの時間帯に授業を行う課程です。同じ資料には、定時制の課程で、1日のうちに時間帯の異なる授業を複数組み合わせた「多部制」が置かれている、という説明もあります。どの学校がどの形をとっているかは地域によって違うので、お住まいの地域の学校案内で確認します。

通信制

通信制高校は、教室での授業が中心の全日制・定時制とは違い、次の4つの方法で学びます(文部科学省「通信制高校とは?」)。

  • レポート(添削指導): 提出したレポートに先生がコメントをつけて返します。
  • スクーリング(面接指導): 学校などに行って、先生や他の生徒と対面で学びます。
  • 試験: レポートやスクーリングで学んだ内容について受けます。
  • 多様なメディアを利用した指導: テレビやインターネットの動画などを見て、報告課題を出します。これを行うと、スクーリングの時間数の一部が免除されます(10分の6以内。必要がある場合は複数のメディアで10分の8以内)。

同じサイトの「よくある質問」では、毎日学校に通う必要があるかという問いに、スクーリングや試験の日以外は自宅などでの自学自習が中心、と答えています。また、通信制高校を卒業すると、全日制や定時制と同じ「高等学校卒業」になる、とも書かれています。

学校の中には、「サテライト施設」と呼ばれる連携施設を持つところもあります。進路選択や心身の健康などの相談、学習の支援をする施設です。学費は学校によって異なり、連携施設が独自に行う活動に別の費用がかかる場合もあります。金額は公的な資料では確認できなかったので、この記事では書きません。気になる学校の費用は、学校に直接問い合わせてください。同サイトでは、条件を満たせば高等学校等就学支援金制度の対象になる、とも案内されています。

学校ごとの基本情報は、「通信制高等学校情報発信サイト」の学校検索で調べられます。特定の学校をこの記事で勧めることはしません。

高等専修学校という道もある

文部科学省の「高等専修学校とは」によると、高等専修学校は、専修学校のうち中学卒業者を対象とした課程です。社会に出てすぐに役立つ実践的な職業教育を行い、高校と並ぶ正規の後期中等教育機関として、多様な教育を行っていると説明されています。

大学入学資格が認められるかどうかは、課程ごとに決まります。同じページには、修了者に大学入学資格が認められる専修学校高等課程が、文部科学大臣の指定による一覧として載っています。気になる学校の課程が一覧に入っているかどうかは、学校に確認するか、文部科学省の一覧で調べてください。

高卒認定試験を目指す道

高等学校卒業程度認定試験(高卒認定試験)は、文部科学省が実施する試験です。同省のページによると、受験する年度の終わりまでに満16歳以上になる人が受けられます。高校などに在籍している人も受験できます。高校卒業者など、すでに大学入学資格を持っている人は受験できません。

令和8年度(2026年度)は、第1回が8月6日・7日、第2回が11月7日・8日の日程でした。年に2回の機会があり、出願期間は回ごとに決まっています。日程は年度ごとに変わるため、この日程は一例です。出願期間以外は受け付けないとページに書かれているので、受験を考える年は、早めに最新の受験案内を確認してください。出願は、受験案内に付いている封筒で郵送します。

科目や合格要件、合格後の扱いは、文部科学省のページ「試験科目・合格要件・出題範囲」で確認できます。問い合わせ先は、文部科学省総合教育政策局生涯学習推進課(認定試験)で、電話は03-5253-4111です。

働くことを考えるときの支援機関

「進学しない時期があってもよい」と考える場合や、卒業後に働くことを考え始めた場合に、相談できる機関があります。厚生労働省の「地域若者サポートステーション(サポステ)」です。

厚生労働省のページによると、サポステは、働くことに悩みを抱えている15歳から49歳までの人を対象に、就労に向けた支援を行う機関です。国が委託した民間団体などが運営し、全ての都道府県に設置されています(令和7年4月現在、全国179か所)。サポステのサイトでは、コミュニケーション講座、ジョブトレ(就業体験)、ビジネスマナー講座などの支援を挙げています。相談は、まず最寄りのサポステに電話かメールで予約する流れで、専門スタッフとの個別相談は無料とあります。サポステのサイトには、本人や家族だけでは解決が難しい「働き出す力」を引き出す、とも書かれています。

サポステのサイトでは、対象を「15歳〜49歳までの、現在お仕事をされていない方や就学中でない方」と説明しています。中学校に在籍している間の利用が可能かどうかは、資料からは確認できませんでした。利用できるかどうかは、最寄りのサポステに確認してください。「働く」ことが気になり始めたときの相談先のひとつとして、知っておくと役に立ちます。

あとから選べる道は、ある?

「いま決めないと間に合わなくなるのでは」と心配になりますが、公的な資料で確認できる範囲では、次のことが言えます。

  • 高卒認定試験は、年度末までに16歳になる人なら、年に複数回ある機会の中で出願できます。高校に在籍していても受けられます。
  • サポステの対象は15歳から49歳までと、幅があります(就学中でない方が対象、との説明があります)。
  • 通信制高校は、自分のペースで学習時間や方法を選べる特長があると、文部科学省のサイトで紹介されています。

ただし、入学や編入の時期、年齢の条件、それまでの学習の扱いなどは、学校や都道府県によって違います。こうした細かい条件は、この記事では確認できませんでした。選び直しを考える場合は、希望する学校に直接聞くのが確かです。

迷ったときの考え方

進路のどれかが優れている、という順位はありません。目安にできるのは、お子さんが安心して過ごせそうか、通う負担が今の状態に合っているか、という点です。

  • 今は休むことを優先したい時期なら、決めるのを急がなくてもかまいません。情報だけ集めておく、という方法もあります。
  • お子さんが話せるようなら、「どんな学び方なら楽そうかな」と、学校名ではなく学び方から聞いてみる方法があります。
  • 進路の話題がしんどそうなときは、無理に進めずに親だけで資料を見ておき、お子さんの様子を見て話します。

都道府県の教育委員会、学校の募集要項、学校の説明会・個別相談、中学校の先生・相談窓口の順に確認していく流れを、4つの丸で示した図"“

入試・出願・必要書類は、都道府県と学校ごとに違います。確認する先は、お住まいの都道府県の教育委員会、気になる学校の募集要項、学校説明会や個別相談、中学校の先生や相談窓口です。合格や卒業は、この記事から約束できることではありません。

今日できる小さな一歩

  1. 通信制高等学校情報発信サイトの「通信制高校とは?」を、親だけで読んでみる。
  2. お住まいの都道府県の教育委員会のサイトで、高校入試や定時制・通信制の案内ページを探してみる。
  3. お子さんには「今、気になっていることはある?」と聞くだけにする。答えが返ってこなくても大丈夫です。

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相談窓口

番号・名称は、運営機関の公式ページで確認した内容です。受付時間や対応内容は変わることがあるので、かける前に公式ページをご確認ください。

  • 学校・教育委員会・教育支援センター: お住まいの市区町村、または都道府県の教育委員会に問い合わせてください。電話番号は自治体ごとに異なるため、公式サイトで確認します。高校入試の取り扱いは、都道府県の教育委員会が窓口です。
  • 地域若者サポートステーション(サポステ): 厚生労働省委託の就労支援機関です。最寄りの拠点は、サポステのサイト(https://saposute-net.mhlw.go.jp/)で検索できます。
  • 高等学校卒業程度認定試験(文部科学省 生涯学習推進課 認定試験): 03-5253-4111(文部科学省ページに記載のお問合せ先)。
  • 児童相談所相談専用ダイヤル: 0120-189-783。全国の児童相談所は、こども家庭庁の一覧(https://www.cfa.go.jp/policies/jidougyakutai/jisou-ichiran)で確認できます。
  • 24時間子供SOSダイヤル(文部科学省): 0120-0-78310。24時間受付(年中無休)です。
  • ひきこもり地域支援センター: 各都道府県・指定都市に設置。連絡先は厚生労働省のページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/hikikomori/index.html)から確認できます。
  • よりそいホットライン(一般社団法人社会的包摂サポートセンター): 0120-279-338(フリーダイヤル)。受付時間は公式サイト(https://www.since2011.net/yorisoi/)で確認してください。

お子さんや親御さん自身が「死にたい」と口にしている、自分や他人を傷つけるおそれがある、命や安全に関わる状況だと感じる場合は、上の窓口を待たずに、まず110番または119番に連絡してください。

まとめ

中学卒業後の進路には、全日制・定時制・通信制の高校、高等専修学校、高卒認定試験を目指す道、サポステなどの働くための支援機関があります。どれが先、どれが上という順序はありません。入試や出願の条件は都道府県と学校ごとに違うので、公式情報で確かめながら、お子さんのペースに合う道を一緒に探せば十分です。急いで決めなくてもかまいません。

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出典

  • 文部科学省「高等学校制度の概要」(https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/047/siryo/__icsFiles/afieldfile/2011/12/15/1313846_03.pdf)
  • 文部科学省「通信制高校とは?」通信制高等学校情報発信サイト(https://www.mext.go.jp/tsushinseikoukou/about/)
  • 文部科学省「よくある質問」通信制高等学校情報発信サイト(https://www.mext.go.jp/tsushinseikoukou/faq/)
  • 文部科学省「高等専修学校とは」(https://www.mext.go.jp/a_menu/shougai/senshuu/kotosensyu00961.html)
  • 文部科学省「高等学校卒業程度認定試験」(https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shiken/)
  • 厚生労働省「地域若者サポートステーション」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/saposute.html)
  • サポステ(厚生労働省委託)「サポステとは」(https://saposute-net.mhlw.go.jp/about.html)
  • こども家庭庁「児童相談所虐待対応ダイヤル「189」について」(https://www.cfa.go.jp/policies/jidougyakutai/gyakutai-taiou-dial)
  • こども家庭庁「児童相談所一覧」(https://www.cfa.go.jp/policies/jidougyakutai/jisou-ichiran)
  • 厚生労働省「ひきこもり支援に関する取組」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/hikikomori/index.html)
  • 一般社団法人社会的包摂サポートセンター「よりそいホットライン」(https://www.since2011.net/yorisoi/)

いずれも2026年10月2日に確認しました。この記事は公的情報をもとに編集部が作成したもので、専門家の監修は受けていません。