「不登校って、何日休んだらそう呼ぶのだろう」「うちの子は不登校にあたるのか」。担任の先生や書類で「不登校」という言葉を目にして、あらためて意味を調べている方もいると思います。
結論から言うと、「不登校」には、文部科学省の調査で使う統計上の見方と、法律(教育機会確保法)での見方があり、目的が違います。調査では欠席日数が目安になっていますが、法律には日数は書かれていません。また、不登校と呼ばれるかどうかで、お子さんが受けられる支援の入口が決まるわけでもありません。この記事では、確認できた公的な資料の範囲で、定義と最近の変更点を整理します。
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調査での「不登校」は、欠席日数と理由の区分で数える
文部科学省は毎年、「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」を行っています。この調査では、まず「長期欠席者」を数えます。令和5年度の調査結果の概要には、長期欠席者を「『児童・生徒指導要録』の『欠席日数』により年度間に30日以上登校しなかった児童生徒」として調査した、と書かれています。
この長期欠席者は、欠席の理由によって「病気」「経済的理由」「不登校」「その他」に分けて集計されています(令和5年度調査)。「不登校」は、その理由区分のひとつです。「30日」は、この集計をするときの目安として使われている数字です。
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調査では、不登校を次のように定義しています。令和5年度調査結果の概要の注に、「何らかの心理的、情緒的、身体的、あるいは社会的要因・背景により、児童生徒が登校しないあるいはしたくともできない状況にある者(ただし、病気や経済的理由によるものを除く。)」と書かれています。理由は1つに決められているわけではなく、さまざまな要因・背景が重なって登校できない状況を指している、という読み方ができます。
ここで大切なのは、30日という数字が「30日休んだから不登校と認定される」という判定の線ではなく、全国の状況を調べるための集計上の基準だという点です。
法律(教育機会確保法)での「不登校児童生徒」
法律では、「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」(平成28年法律第105号、通称は教育機会確保法)が、不登校児童生徒を定めています。第2条第3号の条文は次のとおりです。
相当の期間学校を欠席する児童生徒であって、学校における集団の生活に関する心理的な負担その他の事由のために就学が困難である状況として文部科学大臣が定める状況にあると認められるもの
(出典: 文部科学省掲載の法律全文)
条文には、「何日」という数字は出てきません。「相当の期間」とあるだけです。調査の「30日」とは役割が違うことが、ここから読み取れます。この法律の対象は小・中学校などの義務教育段階の児童生徒(学齢児童・学齢生徒)です。
法律には、不登校の子どもへの支援についても書かれています。国と地方公共団体は、学校以外の場で行う多様で適切な学習活動の重要性に鑑み、個々の不登校児童生徒の「休養の必要性」を踏まえて、本人と保護者に情報提供や助言などの支援をする、と第13条に定められています。休むこと自体が、支援の前提として認められているということです。
「30日」を超えていないと支援を受けられないのか
文部科学省の令和7年4月の資料(教育課程企画特別部会 資料1-2)には、学びの多様化学校(不登校の児童生徒の実態に配慮した特別の教育課程を編成する学校)について、次の趣旨の記載があります。不登校状態であるかどうかは、文部科学省の調査で示された年間30日以上の欠席という定義が一つの参考となり得るが、その判断は学校またはその管理機関が行う。断続的な不登校や不登校の傾向が見られる児童生徒も対象となり得る。
この記載は学びの多様化学校の指定に関する留意事項なので、すべての支援にそのまま当てはまるとは言えません。ただ、国の資料でも、30日は「一つの参考」と位置づけられていることが分かります。
文部科学省の令和6年度調査では、不登校の児童生徒のうち欠席日数が30〜89日の人もいれば、90日以上の人もいます。日数の幅はとても広く、一人ひとりの状況は違います。日数で線を引いて、「まだ早い」「もう遅い」と考える必要はありません。
支援や相談を受けたいときは、日数にかかわらず、学校や教育委員会、後半で紹介する窓口に話してかまいません。
定義は変わったのか 確認できたこと
「最新の定義は?」「変更があったと聞いた」という疑問は、よく出ます。確認できた範囲で整理します。
令和5年度調査で変わったこと(長期欠席の数え方)
令和5年度の調査から、長期欠席の数え方が変わりました。令和2年度から令和4年度の調査は、新型コロナウイルス感染症の影響で、「欠席日数」に「出席停止・忌引き等の日数」を足して30日以上かどうかを見ていました。令和5年度調査では5類感染症への移行を受けて、「出席停止・忌引き等」の日数を長期欠席の対象に含めない形に戻っています(令和5年度調査結果の概要)。
今回の確認で、変更を見つけられなかったこと
– 「年度間に30日以上」という長期欠席の基準は、令和5年度の概要に記載があります。令和6年度の抜粋版も、欠席日数を30〜89日、90日以上などの区分で示しており、30日の基準を変えたという記載は、確認した資料の範囲では見つかりませんでした。
– 教育機会確保法の第2条第3号は、確認した条文(文部科学省掲載)では上記のとおりです。法改正の有無までは、今回は調べきれていません。
支援の考え方についての通知
令和元年10月25日付けの文部科学省の通知「不登校児童生徒への支援の在り方について」は、平成28年9月14日付けの通知を廃止して出されたものです。その中で、支援は「学校に登校する」という結果のみを目標にしないこと、不登校の時期が休養や自分を見つめ直す等の積極的な意味を持つことがあることが示されています。令和6年度の調査結果を踏まえた通知にも、不登校は取り巻く環境によってはどの児童生徒にも起こり得るという趣旨が示されています。
数字の見方 令和6年度の調査から
定義と合わせて、現状の数字も確認しておきます。令和6年度の調査では、小・中学校の不登校児童生徒数は353,970人で、児童生徒1,000人当たり38.6人でした(文部科学省「令和6年度 調査結果の概要(不登校抜粋版)」)。過去最多とされています。
この数字を見て不安になる方もいると思います。ただ、これだけの児童生徒がいるということは、同じ状況の家庭が全国にたくさんあるということでもあります。同じ資料には、学校内外の機関等で専門的な相談・指導等を受けた不登校児童生徒が61.7%と記されています。相談できる場所は、すでに多くのご家庭に利用されています。
日数にとらわれすぎないために
「不登校」という言葉は、お子さんにつける札ではなく、状況を説明するための言葉です。文部科学省の通知でも、不登校は取り巻く環境によってはどの児童生徒にも起こり得るものとして捉え、不登校というだけで問題行動であると受け取られないよう配慮することが求められています。
日数がまだ少ない、あるいは30日を超えたからといって、親御さんがやるべきことが変わるわけではありません。見たいのは、お子さんが安心して過ごせているか、休めているか、そして親御さん自身が一人で抱え込んでいないかです。
今日できる小さな一歩
1つだけで構いません。
- お子さんの欠席日数を数えるのはやめて、今日の様子を評価を入れずに一行だけ書き留める。相談するときの材料になります。
- 「お住まいの市区町村名 教育支援センター」で検索し、連絡先をメモする。連絡は後でも構いません。
- 学校から書類や連絡で「不登校」の言葉が出てきたときは、「この書類での不登校は、どういう意味で使っていますか」と聞いてよいと知っておく。
ひとりで抱え込まず、話してみませんか
- 1回30分・無料
- オンライン・電話
- 入力は2分ほど
不登校支援の専門カウンセラーが、お話を伺います。1回30分まで無料です。
※医師・公認心理師などの資格を持つ専門家ではありません。診断・治療などの医療的な助言は行いません。緊急のときは、記事内の「相談窓口」へご連絡ください。
相談窓口
番号・名称は、いずれも運営機関の公式ページで確認した内容です。受付時間や対応内容は変更されることがあるため、かける前に各公式ページをご確認ください。
- 教育支援センター・教育委員会: お住まいの市区町村の教育委員会に問い合わせてください。電話番号は自治体ごとに異なるため、市区町村の公式サイトで確認します。
- 児童相談所相談専用ダイヤル: 0120-189-783。全国の児童相談所は、こども家庭庁の一覧(https://www.cfa.go.jp/policies/jidougyakutai/jisou-ichiran)で確認できます。
- 児童相談所虐待対応ダイヤル「189」: 虐待かもと思ったとき、すぐ近くの児童相談所につながります。匿名可、通話料無料です(https://www.cfa.go.jp/policies/jidougyakutai/gyakutai-taiou-dial)。
- 24時間子供SOSダイヤル(文部科学省): 0120-0-78310。24時間受付(年中無休)です。
- ひきこもり地域支援センター: 各都道府県・指定都市に設置。住所・連絡先は厚生労働省のページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/hikikomori/index.html)から確認できます。
- よりそいホットライン(一般社団法人社会的包摂サポートセンター): 0120-279-338(フリーダイヤル)。受付時間は公式サイト(https://www.since2011.net/yorisoi/)で確認してください。
お子さんや親御さん自身が「死にたい」と口にしている、自分や他人を傷つけるおそれがある、命や安全に関わる状況だと感じる場合は、上の窓口を待たずに、まず110番または119番に連絡してください。
まとめ
不登校には、調査で使う統計上の見方(年度間30日以上の欠席という集計の目安と、理由の区分)と、法律上の見方(相当の期間の欠席と、学校の集団生活の心理的な負担などによる就学の困難)があります。30日は判定の線ではなく、国の資料でも「一つの参考」とされています。確認できた変更は、令和5年度調査で長期欠席の数え方が元に戻ったことです。日数にかかわらず、お子さんの休養が尊重され、相談できる窓口があります。
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※医師・公認心理師などの資格を持つ専門家ではありません。診断・治療などの医療的な助言は行いません。緊急のときは、記事内の「相談窓口」へご連絡ください。
出典
- 文部科学省「令和5年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」(https://www.mext.go.jp/content/20241031-mxt_jidou02-100002753_2_2.pdf)
- 文部科学省「令和5年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要(注・用語の定義)」(https://www.mext.go.jp/content/20241031-mxt_jidou02-100002753_1_2.pdf)
- 文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要(不登校抜粋版)」(https://www.mext.go.jp/content/20251106-mxt_jidou01-000045738_3.pdf)
- 文部科学省「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律(平成28年法律第105号)」(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1380960.htm)
- 文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」令和元年10月25日(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1422155.htm)
- 文部科学省「令和6年度調査結果及びこれを踏まえた対応の充実について(通知)」(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1422178_00006.htm)
- 文部科学省 教育課程企画特別部会 資料1-2「不登校児童生徒への支援について」令和7年4月10日(https://www.mext.go.jp/content/20250410-mext_kyoiku01-000041658_03.pdf)
- こども家庭庁「児童相談所虐待対応ダイヤル「189」について」「児童相談所一覧」、一般社団法人社会的包摂サポートセンター「よりそいホットライン」
2026年10月2日に確認しました。この記事は公的情報をもとに編集部が作成したもので、専門家の監修は受けていません。



