「これは反抗期なのか、それとも不登校なのか」。口数が減り、言葉がきつくなり、朝になると部屋から出てこない。どちらなのか分からないまま、夜にスマホで調べている方は少なくないと思います。
結論から言うと、2つを正確に見分ける公的な基準は、今回調べた範囲では確認できませんでした。文部科学省の資料には、思春期の心の動きと不調を区別することは専門家でも難しい場合がある、という趣旨の記述があります。この記事では、見分けることを目的にしません。公的な資料で確認できる範囲で、思春期の心の状態と、どちらであっても役に立つ関わり方、頼れる窓口を整理します。
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「見分ける基準」は、公的には確認できませんでした
反抗期と不登校の線引きについて、文部科学省・厚生労働省・こども家庭庁の資料を調べました。しかし、「こういう場合は反抗期、こういう場合は不登校」と分ける基準は見つかりませんでした。ネット上には見分け方を書いた記事が多くありますが、出典のない断定はここでは書きません。
見つかったのは、むしろ見分けることの難しさを示す記述です。文部科学省の「生徒指導提要(令和4年12月)」には、健康な悩みや不安と、病的な精神症状を区別するのは容易ではなく、思春期にありがちな心の動きなのかどうかは、専門家が見ても難しい場合がある、と書かれています。同じ箇所では、大切なのは日頃からその人らしさをよく知っておき、いつもと違うことが出てきたときに注意することだとされています。
親御さんが毎日の様子の中で「どっちだろう」と迷うのは、自然なことです。迷っていること自体が、お子さんをよく見ている証拠でもあります。
なお、反抗期は親や大人への反発的な言動を指す言い方で、不登校は学校に行かない・行けない状態を指す言葉です。もともと見ている軸が違うので、「どちらか一方」とは限りません。両方が同時にあることもあります。これは編集部の整理で、公的な基準ではありません。
思春期の心と体で、何が起きているのか
公的な資料で確認できる範囲で、思春期の説明を見てみます。
一般に、思春期は体の変化や環境の変化が重なり、気持ちが揺れやすい時期だと言われます。これは編集部の一般的な説明で、特定の公的資料の記述を引いたものではありません。
厚生労働省の「健康日本21(総論)」には、青年期の前期から中期は思春期といわれ、成長とともに家族の影響が薄れ、学校教育の影響や、友人関係・メディアの影響が強く表れるようになる、という説明があります。同じ文で、この時期は反抗期でもある、と述べられています。
つまり、親への反発は、成長の途中でよく見られる動きとして国の資料にも出てきます。一方で、この文は「反抗期だから様子を見ていれば大丈夫」という趣旨ではなく、同じ文には生活習慣が乱れやすいという記述も続きます。反抗的であること自体を問題だと断じる書き方でもありません。
編集部の一般的な助言として、お子さんが口をきいてくれないときも、関わりを細くしすぎないことを心がけてみてください。これは出典のある記述ではなく、断定するものでもありません。
反抗的な言動も、不登校も「サイン」として読める
「生徒指導提要」では、教職員が気付くべき変化のひとつとして、急に反抗的になる、遅刻・早退が多くなる、つき合う友達が変わる、といった言動の変化が挙げられています。そうしたサインに気付いた場合には、背後に何らかの問題が隠れている可能性を想定して対応する、とされています。同じ箇所に、頭痛や原因不明の熱といった体の変化も並んでいます。
不登校についても、文部科学省は、不登校は取り巻く環境によっては、どの児童生徒にも起こり得るものであり、不登校というだけで問題行動と受け取られないよう配慮が必要だとしています(令和6年度調査結果を踏まえた対応の通知)。
反抗的な言動も、学校に行かないことも、お子さんが何かを伝えている姿として受け止める。そのように考えると、「どちらか」を決めるより、「いま何に困っていそうか」を静かに見るほうが、次の一歩につながりやすくなります。
「生徒指導提要」には、家族との衝突が学校での反抗的な態度につながったり、家庭でのトラブルがもとで気持ちが沈んだりと、心身の不調の背景に家庭の要因が関係していることも少なくない、という記述があります。これは親御さんの責任を問う記述ではなく、同じ資料は、学校と保護者が信頼関係に基づいて情報を共有することが不可欠だと述べています。
見分けなくてもできる、3つの関わり方
どちらなのか分からなくても、できることがあります。
- 問い詰めずに、今の様子を聞く。 「どうして」より、「今日はどんな感じ?」「しんどい?」のように、今の状態に絞って聞く。答えなくてもよい形にしておきます。
- 眠れているか、休めているかを見る。 「生徒指導提要」は、精神疾患の発症には睡眠などの生活習慣が影響するとしています。不安や気分の落ち込み、不眠は思春期にも大人にもよくある症状だが、そのまま対処せずにいると症状が進む恐れもあるため、生活リズムや生活環境に配慮することが望まれる、という内容です。朝起きられない日が続いていないか、夜眠れているかを、責めずに見ておきます。
- 関わりを細くしすぎない(編集部の一般的な助言)。 話してくれなくても、食事を用意する、「ここにいるよ」と伝える、といった小さなやりとりを続けます。
休むことについては、文部科学省の通知に、不登校の時期が休養や自分を見つめ直す等の積極的な意味を持つことがある、と書かれています。通知は同じ文で、学業の遅れや進路選択上の不利益といったリスクにも留意するよう述べているので、休むことを手放しで勧めているわけではありません。ただ、いまの時期を休養として受け止めてよい場合がある、と国の文書が示しているのは確かです。
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心配なときは、学校や地域の窓口を使えます
迷いが続いたり、体や気持ちの不調が気になったりするときは、親御さんだけで判断しなくて構いません。
- 学校に、見えている様子を尋ねる。 家での様子と学校での様子を並べると、手がかりが増えます。担任の先生に話しにくいときは、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーへの相談を学校に頼む方法もあります。
- 教育支援センターに、保護者として相談する。 文部科学省の通知では、教育支援センターに、家から出ることができない児童生徒へのアウトリーチ支援や、保護者への相談支援の機能が望まれるとされています。設置の有無は地域で異なるため、市区町村の教育委員会に確認してください。
- 体調や気分が心配なときは、医療機関や保健の窓口へ。 「生徒指導提要」には、思春期の心性に配慮した診療を得意とする精神科医の所在は、保健所、保健センターなどに情報がある、と書かれています。この記事は、診断や治療の判断には踏み込みません。
親御さん自身のことも、大切にしてください
「生徒指導提要」には、保護者の話をよく聴き、保護者を元気づけ、心理的に安定させることが、児童生徒への有効な支援につながることも少なくない、という記述があります。親御さんが休めていること、ひとりで抱えていないことは、お子さんのためにも意味があるということです。
「自分の接し方が悪かったのでは」と考え込む夜もあるかもしれません。親御さんの接し方だけが原因だと決められる資料は、今回確認した範囲にありません。
今日できる小さな一歩
1つだけで構いません。
- お子さんに「理由は言わなくていいよ。今日はどんな感じ?」と一言だけ声をかける。返事がなくてもそのままにします。
- お子さんの今日の様子を、評価を入れずに一行だけ書き留める(「朝は起きた」「夕方まで部屋にいた」など)。学校や相談先に話すときの材料になります。
- 親御さん自身のために、相談先の連絡先を1つだけスマホに登録する。かけるのは後でも構いません。
ひとりで抱え込まず、話してみませんか
- 1回30分・無料
- オンライン・電話
- 入力は2分ほど
不登校支援の専門カウンセラーが、お話を伺います。1回30分まで無料です。
※医師・公認心理師などの資格を持つ専門家ではありません。診断・治療などの医療的な助言は行いません。緊急のときは、記事内の「相談窓口」へご連絡ください。
相談窓口
番号・名称は、いずれも運営機関の公式ページで確認した内容です。受付時間や対応内容は変更されることがあるため、かける前に各公式ページをご確認ください。
- 教育支援センター・教育委員会: お住まいの市区町村の教育委員会に問い合わせてください。電話番号は自治体ごとに異なるため、市区町村の公式サイトで確認します。
- 児童相談所相談専用ダイヤル: 0120-189-783。全国の児童相談所は、こども家庭庁の一覧(https://www.cfa.go.jp/policies/jidougyakutai/jisou-ichiran)で確認できます。
- 児童相談所虐待対応ダイヤル「189」: 虐待かもと思ったとき、すぐ近くの児童相談所につながります。匿名可、通話料無料です(https://www.cfa.go.jp/policies/jidougyakutai/gyakutai-taiou-dial)。
- 24時間子供SOSダイヤル(文部科学省): 0120-0-78310。24時間受付(年中無休)です。
- ひきこもり地域支援センター: 各都道府県・指定都市に設置。住所・連絡先は厚生労働省のページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/hikikomori/index.html)から確認できます。
- よりそいホットライン(一般社団法人社会的包摂サポートセンター): 0120-279-338(フリーダイヤル)。電話のほか、チャットやSNSでの相談にも対応しています。受付時間は公式サイト(https://www.since2011.net/yorisoi/)で確認してください。
お子さんや親御さん自身が「死にたい」と口にしている、自分や他人を傷つけるおそれがある、お子さんが暴力を受けているなど、命や安全に関わる状況だと感じる場合は、上の窓口を待たずに、まず110番または119番に連絡してください。
まとめ
反抗期か不登校かを正確に見分ける公的な基準は、確認できませんでした。思春期は一般に気持ちが揺れやすい時期と言われ、思春期の心の動きと不調を区別するのは専門家でも難しい場合がある、と文部科学省の資料は述べています。見分けることより、問い詰めずに様子を聞くこと、眠れているか休めているかを見ること、親御さんがひとりで抱えないことを、今日の目安にしてみてください。
ひとりで抱え込まず、話してみませんか
- 1回30分・無料
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- 入力は2分ほど
不登校支援の専門カウンセラーが、お話を伺います。1回30分まで無料です。
※医師・公認心理師などの資格を持つ専門家ではありません。診断・治療などの医療的な助言は行いません。緊急のときは、記事内の「相談窓口」へご連絡ください。
出典
- 文部科学省「生徒指導提要(令和4年12月)」(https://www.mext.go.jp/content/20230220-mxt_jidou01-000024699-201-1.pdf)
- 厚生労働省「健康日本21(総論)」第3節 重点対象となる時期(https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/s0.html)
- 文部科学省「令和6年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果及びこれを踏まえた対応の充実について(通知)」(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1422178_00006.htm)
- こども家庭庁「児童相談所虐待対応ダイヤル「189」について」(https://www.cfa.go.jp/policies/jidougyakutai/gyakutai-taiou-dial)
- こども家庭庁「児童相談所一覧」(https://www.cfa.go.jp/policies/jidougyakutai/jisou-ichiran)
- 厚生労働省「ひきこもり支援に関する取組」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/hikikomori/index.html)
- 一般社団法人社会的包摂サポートセンター「よりそいホットライン」(https://www.since2011.net/yorisoi/)
いずれも2026年10月2日に確認しました。この記事は公的情報をもとに編集部が作成したもので、専門家の監修は受けていません。



