「このまま学校に行けていないと、高校には行けないのだろうか」「内申書はどうなるのだろう」。そんな不安で、夜に検索している方も多いと思います。

先に結論を書きます。文部科学省は、不登校の経験がある生徒が、欠席日数だけで不利に扱われないようにしてほしいと、都道府県などに繰り返し通知しています。ただし、入試の仕組みは都道府県と学校ごとに違います。この記事では「不登校だと落ちる」とも「受ければ通る」とも言えません。ここでは、国の資料で確認できる範囲で、入試の考え方と進路の種類を整理します。受験は選択肢のひとつです。通信制や定時制など、ほかの道も並べて書きます。

国は、不登校の生徒の高校入試をどう位置づけているか

文部科学省の2019年(令和元年)10月25日の通知「不登校児童生徒への支援の在り方について」(元文科初第698号)には、中学校卒業後の支援として「高等学校入学者選抜等の改善」が書かれています。内容は、高校入試が多様化する中で、高校で学ぶ意欲や能力を持つ不登校の生徒を適切に評価することが望まれる、というものです。

同じ通知には、不登校の児童生徒への支援は「学校に登校する」という結果のみを目標にしない、という考え方も示されています。進路を本人が主体的に捉え、社会的に自立することを目指すという趣旨です。不登校の時期が、休養や自分を見つめ直す意味を持つことがある、とも書かれています。一方で、学業の遅れや進路選択上の不利益にも留意するよう、同じ文章の中で触れています。

その後の通知も、同じ方向です。2024年(令和6年)2月13日の通知(5文科初第2030号)は、高校入試について次のことを望ましいとしています。

  • 高校で学ぶ意欲や能力を持つ不登校経験のある生徒を、在籍校での出席状況だけで不利に扱わない(例として、欠席日数だけで出願を制限することが挙げられています)
  • 生徒自身の自己申告書や、学校以外の場(家庭でのオンライン学習を含む)での学習状況の資料などを、選抜で適切に考慮する

2026年(令和8年)6月30日の通知(8文科初第882号)にも、同じ趣旨の記載があります。この通知では、教育支援センターなどの公的機関やフリースクールなどの民間施設、自宅で学習を続けている生徒がいること、その日ごろの努力を適切に評価することが望まれることも書かれています。

ここで押さえておきたいのは、これらが「望まれる」という形の通知だという点です。実際の運用は、入試を行う都道府県教育委員会や学校が決めます。国の通知を根拠に「うちの県でもこうなる」とは言い切れません。

公立高校の入試は、都道府県ごとに違う

公立高校の入試は、都道府県(や学校)ごとに実施方法が決まっています。文部科学省は毎年「高等学校入学者選抜の改善等に関する状況調査(公立高等学校)」を行っています。令和7年度の調査を見ると、調査書の記入事項、一般入試での面接・小論文や作文・実技検査の実施状況、不登校経験のある生徒への配慮など、項目が細かく分かれています。つまり、国が一律に決めているのではなく、都道府県ごとに多くの違いがあります。

調査書は、中学校が高校へ提出する書類です。評定や出欠の記録などが載ります。不登校の場合の扱いは、都道府県によってかなり異なるため、別の記事「内申点・調査書の扱い」で詳しく整理します。ここでは、国の調査で確認できた範囲の概要だけ紹介します。

令和7年度の調査(公立高校の令和7年度入試)の「不登校経験のある生徒に対する配慮」の欄には、次のような項目があります。

  • 調査書などに、生徒の状況や学校以外の場での学習状況を反映するよう求めている
  • 中学校長から、副申書など学習状況を記した書類の提出を求めている(提出できることとしている)
  • 本人から、学校以外の場(家庭を含む)での学習状況などを自己申告書として提出してもらう(提出できることとしている)
  • 調査書に出欠の記録を求めない

文部科学省の令和7年度の状況調査(公立高校)の集計表では、自己申告書の提出を求めている(提出できるとしている)都道府県が、全校で実施の26、一部の学校で実施の2という数になっています(年度によって数は変わります)。地域によって、扱いにはっきり差があります。具体的な記載例には、「いずれかの学年の欠席日数がおおむね30日以上ある者は、本人の希望により自己申告書を提出できる」とする県や、「不登校等、欠席が多いことを理由に不合格とすることがないようにしている」とする県などがあります。これらは特定の県の例です。お住まいの県の取り扱いは、その県の教育委員会の資料で確認してください。

不登校経験のある生徒が受検しやすい学科やコースを置いている(チャレンジスクールやクリエイティブスクールなど)と回答した都道府県もあります。名称や内容は地域によって違います。

公立高校入試で確認することを、都道府県の教育委員会、志望校の募集要項、中学校の先生、相談窓口の順に並べた図"“

私立高校の入試は、学校ごとに確認する

私立高校の入試の方式や出願条件、調査書の扱いは、学校ごとに決まっています。この記事で使った国の資料は公立高校の調査が中心なので、私立については確認できた範囲が限られます。私立と公立の違いは別の記事で扱うので、ここでは「学校ごとに確認が要る」とだけ覚えてください。

確認の方法は、志望校の募集要項を見る、学校説明会や個別相談に参加する、学校に問い合わせる、が基本です。欠席日数に条件があるかどうか、自己申告書や面談で事情を説明できるかどうかは、学校によって違うことがあります。

受験のほかにも、高校段階の学びはいろいろある

「受験をしない」「今は受けない」という選択も、ほかの道へ進む選択も、並べて考えて大丈夫です。国の資料で確認できる選択肢を挙げます。

お子さんから、全日制の高校、定時制の高校、通信制の高校、高等専修学校、高卒認定試験の5つへ矢印が伸びている図"“

定時制・通信制の高校: 文部科学省の資料によると、高校には全日制、定時制、通信制の課程を置くことができます。定時制は夜間その他特別の時間または時期に授業を行う課程、通信制は通信による教育を行う課程です。修業年限は、全日制が3年、定時制と通信制が3年以上とされています。通信制では、添削指導、面接指導(スクーリング)、試験のほか、インターネットなどを活用した指導も行えます。

高等専修学校: 文部科学省によると、専修学校のうち中学校卒業者を対象とした課程で、実践的な職業教育を行う学校です。高校と並ぶ正規の後期中等教育機関と説明されています。同じページには、修了者に大学入学資格が認められる専修学校高等課程の一覧へのリンクがあります。大学入学資格が認められるのは文部科学大臣が指定した課程に限られるため、志望する学校の課程が対象かどうかは、その学校に確認してください。

高等学校卒業程度認定試験(高卒認定): 受験する年度の終わりまでに満16歳以上になる人が受けられる試験です。高校等に在籍している人も受験できます。すでに大学入学資格を持っている人は受験できません。

入学後の学び方: 全日制・定時制の高校に入ってから、学校に通いづらくなる場合もあります。2024年の通知は、そうした生徒が自宅などから遠隔授業を受けたり、通信教育で単位を修得したりできるよう、制度が整えられたと説明しています。実施するかどうかは各高校の判断なので、志望校に聞いてみるのがよいでしょう。

中学校を卒業した後の選択肢の詳細は、別の記事「中学卒業後の選択肢」で扱います。

数字で見る、今の状況

令和6年度の文部科学省の調査(不登校抜粋版)では、中学校の不登校の生徒は216,266人です。小学校を含めた不登校の児童生徒の合計は353,970人で、過去最多でした。お子さんと同じ状況の人は、全国にたくさんいます。

迷ったときの考え方

受験するかどうかを決める材料は、「今のお子さんが安心して通える場所はどこか」です。成績や欠席日数だけで決めるものではありません。

  • 今は休むことを優先したい時期なら、受験を急がなくてもかまいません。通信制や高卒認定のように、あとから選べる道もあります。
  • 受験に関心がある場合は、お子さんが「やってみたい」と思えるペースを見ながら、情報だけ先に集めておく方法があります。
  • 志望校が決まっていなくても、都道府県の教育委員会や中学校に「不登校の場合の調査書や自己申告書の扱いはどうなっているか」と聞くことはできます。

受験を急がせる必要も、あきらめる必要もありません。

今日できる小さな一歩

  1. お住まいの都道府県の教育委員会のウェブサイトで、「高校入試」「入学者選抜」のページを探し、不登校の場合の案内(自己申告書など)があるか見てみる。
  2. 中学校の先生に、「調査書や自己申告書の取り扱いについて教えてほしい」と、電話かメールで1行だけ聞いてみる。
  3. お子さんに、進路の話をする前に「今、気になっていることはある?」と聞くだけにしておく。答えが返ってこなくても大丈夫です。

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相談窓口

番号・名称は、いずれも運営機関の公式ページで確認した内容です。受付時間や対応内容は変更されることがあるため、かける前に各公式ページをご確認ください。

  • 学校・教育委員会・教育支援センター: お住まいの市区町村、または都道府県の教育委員会に問い合わせてください。電話番号は自治体ごとに異なるため、公式サイトで確認します。高校入試の取り扱いは、都道府県の教育委員会が窓口です。
  • 児童相談所相談専用ダイヤル: 0120-189-783。全国の児童相談所は、こども家庭庁の一覧(https://www.cfa.go.jp/policies/jidougyakutai/jisou-ichiran)で確認できます。
  • 児童相談所虐待対応ダイヤル「189」: 虐待かもと思ったとき、すぐ近くの児童相談所につながります。匿名可、通話料無料です(https://www.cfa.go.jp/policies/jidougyakutai/gyakutai-taiou-dial)。
  • 24時間子供SOSダイヤル(文部科学省): 0120-0-78310。24時間受付(年中無休)です。
  • ひきこもり地域支援センター: 各都道府県・指定都市に設置。住所・連絡先は厚生労働省のページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/hikikomori/index.html)から確認できます。
  • よりそいホットライン(一般社団法人社会的包摂サポートセンター): 0120-279-338(フリーダイヤル)。電話のほか、チャットやSNSでの相談にも対応しています。受付時間は公式サイト(https://www.since2011.net/yorisoi/)で確認してください。

お子さんや親御さん自身が「死にたい」と口にしている、自分や他人を傷つけるおそれがある、命や安全に関わる状況だと感じる場合は、上の窓口を待たずに、まず110番または119番に連絡してください。

まとめ

国は、不登校の経験がある生徒が、出席日数だけで高校入試で不利に扱われないよう、自己申告書や学校外の学びの資料を考慮することが望ましいと通知しています。ただし、実際の扱いは都道府県と学校ごとに違うので、お住まいの県の教育委員会と志望校の公式情報で確認することが大切です。受験は選択肢のひとつです。定時制・通信制の高校、高等専修学校、高卒認定など、ほかの道もあります。「落ちるかどうか」を今ひとりで考え込まず、分かるところから、少しずつ確かめていきましょう。

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出典

  • 文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」令和元年10月25日 元文科初第698号(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1422155.htm)
  • 文部科学省「高等学校等における多様な学習ニーズに対応した柔軟で質の高い学びの実現について(通知)」令和6年2月13日 5文科初第2030号(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kaikaku/1422988_00003.htm)
  • 文部科学省「高等学校入学者選抜等における配慮事項等について(通知)」令和8年6月30日 8文科初第882号(https://www.mext.go.jp/content/20260630-mxt_koukou01-000026790_01.pdf)
  • 文部科学省「令和7年度 高等学校入学者選抜の改善等に関する状況調査(公立高等学校)」令和8年2月17日更新版(https://www.mext.go.jp/content/20251226-mxt_koukou01-000026790_02.pdf)
  • 文部科学省「高等学校制度の概要」(https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/047/siryo/__icsFiles/afieldfile/2011/12/15/1313846_03.pdf)
  • 文部科学省「高等専修学校とは」(https://www.mext.go.jp/a_menu/shougai/senshuu/kotosensyu00961.html)
  • 文部科学省「高等学校卒業程度認定試験」(https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shiken/)
  • 文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要(不登校抜粋版)」(https://www.mext.go.jp/content/20251106-mxt_jidou01-000045738_3.pdf)
  • こども家庭庁「児童相談所虐待対応ダイヤル「189」について」(https://www.cfa.go.jp/policies/jidougyakutai/gyakutai-taiou-dial)
  • こども家庭庁「児童相談所一覧」(https://www.cfa.go.jp/policies/jidougyakutai/jisou-ichiran)
  • 厚生労働省「ひきこもり支援に関する取組」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/hikikomori/index.html)
  • 一般社団法人社会的包摂サポートセンター「よりそいホットライン」(https://www.since2011.net/yorisoi/)

いずれも2026年10月2日に確認しました。この記事は公的情報をもとに編集部が作成したもので、専門家の監修は受けていません。