お子さんが家で過ごす時間が長くなると、「この先のお金はどうなるのだろう」「親の自分が働けなくなったら」と、夜になって考え込んでしまうことがあると思います。誰にも言えずに一人で計算している方も少なくありません。
先に結論を書きます。厚生労働省の「生活困窮者自立支援制度」には、仕事、住まい、家計のことを相談できる窓口があります。令和元年6月14日付の厚生労働省の通知は、経済的な困窮がはっきりしていなくても、ひきこもりの状態にある方やそのご家族からの相談を、この窓口がしっかり受けとめるよう求めています。「まだ困窮というほどではないのに」と遠慮する必要はありません。
この記事は、厚生労働省の公式ページで確認できた範囲で、制度の名前と概要、相談の入口を整理したものです。個々の制度を使えるかどうか、いくら受け取れるかといった個別の判断は、この記事ではできません。要件や金額も載せていません。それらは窓口で確認していただくことになります。また、制度は変更されることがあります。この記事は2026年10月2日(令和8年度)時点で確認した内容です。
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「困窮」と言えるほどでなくても、相談してよい
生活困窮者自立支援制度という名前から、「うちは対象ではないのでは」と思う方は多いでしょう。
厚生労働省のページでは、対象者を「仕事や生活など、様々な困難により生活に困窮しているかた」としています。例として、仕事が見つからない、働きたくても働けない、家賃を払えない、住むところがない、社会に出るのに不安を感じる、といった状態が挙げられています。
ここで見てほしいのは、例のなかに「社会に出るのに不安を感じる」があることです。収入や貯金の額だけで線を引いているわけではありません。
さらに、厚生労働省社会・援護局地域福祉課長名の令和元年6月14日付通知(社援地発0614第2号)には、次の趣旨が書かれています。
- 経済的な困窮の状態が明らかでない場合であっても、身近な相談窓口である自立相談支援機関が、ひきこもりの状態にある方とそのご家族などからの相談をしっかり受けとめる
- ひきこもりの状態の背景にあるさまざまな事情や、それぞれの心情に寄り添い、本人やご家族を中心とした支援を続ける
つまり、公式の通知で、ひきこもりの本人やご家族の相談が窓口の役割として示されています。お金の不安を話す場としても、そうでない悩みを話す場としても、使ってよい窓口です。
なお、窓口がどのように対応するかは自治体ごとに違います。通知は自治体への指示であり、すべての窓口で同じ対応が受けられると約束するものではありません。
入口になるのは「自立相談支援事業」
生活困窮者自立支援制度の相談の入口が、自立相談支援事業です。厚生労働省のページには、生活に困りごとや不安を抱えているときは、まず地域の相談窓口に相談してください、とあります。支援員が相談を受け、どんな支援が必要かを相談者と一緒に考え、具体的な支援プランを作り、寄り添いながら支援を行う、という説明です。
公式ページの書き方は、まず地域の相談窓口に相談し、必要な支援を一緒に考える、という順番です。「何という制度を使えばいいか」が分からない段階でも、相談先として案内されています。
窓口の名称や運営の形は自治体によって異なります。厚生労働省のページには、令和7年度の自立相談支援機関の窓口情報の一覧(https://minna-tunagaru.jp/ichiran/)へのリンクがあります。お住まいの地域の窓口は、ここから探せます。
生活困窮者自立支援制度のほかの支援メニュー
厚生労働省のページでは、自立相談支援事業のほかに、次の支援が紹介されています。概要だけを書きます。対象や条件、期間、金額は、ページに書かれている範囲を超えて確認できていないため、記載しません。
| 支援の名前 | 厚生労働省のページでの説明(要約) |
|---|---|
| 住居確保給付金 | 離職などにより住居を失った方、または失うおそれの高い方に、就職に向けた活動をするなどを条件に、一定期間、家賃相当額を支給する。一定の資産・収入などの要件がある |
| 就労準備支援事業 | 社会との関わりに不安がある、人とのコミュニケーションがうまくとれないなど、すぐに就労が難しい方に、原則1年の間、プログラムに沿って基礎的な力を養う支援や就労の機会の提供を行う |
| 家計改善支援事業 | 家計の状況を「見える化」し、相談者が自分で家計を管理できるよう、支援計画の作成や相談支援、関係機関へのつなぎ、必要に応じた貸付のあっせんなどを行う |
| 就労訓練事業 | すぐに一般の就労をすることが難しい方に、合った作業の機会を提供しながら、中・長期的に支援する。いわゆる「中間的就労」 |
| 子どもの学習・生活支援事業 | 子どもの学習支援、生活習慣、居場所づくり、進学に関する支援など、子どもと保護者の双方に必要な支援を行う |
| 居住支援事業 | 住居をもたない方や、ネットカフェ等の不安定な住居にいる方に、一定期間、宿泊場所や衣食を提供する |
表の言葉は、厚生労働省のページに沿っています。制度の正式名称や位置づけは、別の資料では異なる呼び方がされていることがあります。
ここで大切なのは、これらは「全部使うもの」でも「順番に進むもの」でもないことです。たとえば就労準備支援事業や就労訓練事業は、働くことに関わる支援です。お子さんが今、働くことを考えられる状態でなければ、利用を考える必要はありません。家計の相談だけ、住まいの相談だけ、という使い方もあるでしょう。どの支援が合うか、そもそも必要かどうかは、窓口の支援員と話しながら決めるものです。
「この制度を使えば安心」と言い切れるものではなく、使えるかどうかは個々の状況と、お住まいの自治体の運用によって変わります。
窓口で話すと、どんな流れになるのか
公式ページが示している範囲では、次のような流れになります。
- 支援員が状況を聞く(自立相談支援事業)
- どんな支援が必要かを、相談者と一緒に考える
- 必要に応じて支援プランを作る
- 寄り添いながら支援を行う(上の表のような事業の説明は、公式ページに載っています)
実際の窓口の動きは自治体によって違うため、これ以上の細かい流れはここでは書けません。費用がかかるかどうかについても、このページで記載を確認できなかったため、窓口で確認してください。
相談に行くときの持ち物や予約の要否は、このページでは確認できませんでした。電話で最初に「相談に行く前に準備するものはありますか」と尋ねてみてください。
ご家族だけで相談してもよいのか
お子さんが外に出られない状態のときは、ご家族だけで窓口に行くことになります。令和元年の通知には、ひきこもりの状態にある方「及びその家族等」からの相談を受けとめる、と明記されています。ご家族からの相談を想定した窓口だと読めます。
ただし、実際に家族だけの相談で何ができるかは窓口によって違います。電話での最初の問い合わせのときに、「本人は今、相談に出向ける状態ではないのですが、家族だけで相談できますか」と聞いてみてください。
また、お子さんに黙って相談に行くことに、後ろめたさを感じる方もいます。ご家族が自分の状況を整理するために話をすることに、後ろめたさを覚えなくてよいと思います。
社会福祉協議会と福祉事務所
お金の相談で、よく名前が挙がる窓口がほかに2つあります。それぞれ、公式ページで確認できた範囲だけを書きます。
社会福祉協議会(社協): 全国社会福祉協議会のサイトには、都道府県・指定都市の社協のホームページのリンク集と、市区町村社協のホームページの検索方法が案内されています。お住まいの市区町村の社協のページを探すときの入口になります。社協の窓口でどんな相談ができるかは、市区町村の社協のページで案内を確認してください。
福祉事務所: 厚生労働省の生活保護制度のページには、生活保護の相談・申請の窓口は、現在お住まいの地域を所管する福祉事務所の生活保護担当である、とあります。福祉事務所は、市(区)部では市(区)が、町村部では都道府県が設置しています。福祉事務所を設置していない町村にお住まいの方は、町村役場でも申請の手続きができる、という注記もあります。
この記事では、生活保護を受けられるか、受けられないかといった判断には触れません。要件や手続きは個別の事情で変わるため、お住まいの地域の福祉事務所の窓口でご確認ください。
年金や医療費の助成などについて
お子さんの状況によっては、年金に関する制度や、医療費の助成制度などを調べたいという方もいると思います。これらは、お子さんの状態や、医療に関わる判断、手続きの条件が絡みます。この記事で、使えるか使えないかを判断することはできません。
調べるときは、お住まいの市区町村の窓口、年金事務所、通院している医療機関の相談窓口など、実際の状況を聞いてくれる場所に確認してください。どこに聞けばよいか分からないときは、先に挙げた自立相談支援機関やひきこもり地域支援センターに、「年金や医療費のことも気になっている」と伝えて、どこに聞けばよいかを尋ねてみる方法もあります(対応は窓口によって異なります)。
親の側が、将来のお金で自分を責めなくてもよい
お金の不安は、親の責任のように感じやすい話題です。「もっと早く準備しておけば」と考える方もいます。
けれども、ひきこもりの状態になる背景は、ご家庭ごとにさまざまです。親御さんの責任と決めつける必要はありません。厚生労働省の通知も、背景にある多様な事情に寄り添うことを求めています。
将来のお金は、一人で試算して抱え込むと、実際以上に重く感じられることがあります。数字が出せなくても、「まだ何も分からない」という状態で相談して大丈夫です。窓口は、整理するところから一緒に考える場所です。
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今日できる小さな一歩
- 厚生労働省のページから、お住まいの地域の自立相談支援機関を1つ探して、連絡先をメモする。連絡はまだしなくて大丈夫です。
- 電話するときの最初の一言を決めておく。「家族のことで相談したいのですが、本人は来られない状態です。家族だけで相談できますか」で十分です。
- 気になっていることを、思いつく順にメモに書いておく。整理されていなくてよく、金額が分からなくても構いません。
ひとりで抱え込まず、話してみませんか
- 1回30分・無料
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- 入力は2分ほど
不登校支援の専門カウンセラーが、お話を伺います。1回30分まで無料です。
※医師・公認心理師などの資格を持つ専門家ではありません。診断・治療などの医療的な助言は行いません。緊急のときは、記事内の「相談窓口」へご連絡ください。
相談窓口
電話番号は自治体ごとに異なるため、個別の番号は載せていません。次の公式ページから、お住まいの地域の窓口を探してください。受付時間や対応内容は変更されることがあります。
- 自立相談支援機関: 令和7年度の窓口情報の一覧(https://minna-tunagaru.jp/ichiran/)。厚生労働省「生活困窮者自立支援制度」のページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000059425.html)からも案内されています。
- 福祉事務所(生活保護の相談・申請): お住まいの市区町村、または都道府県の公式サイトで、福祉事務所の窓口を確認してください。説明は厚生労働省「生活保護制度」のページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/seikatuhogo/index.html)にあります。
- 社会福祉協議会: 全国社会福祉協議会のサイト(https://www.shakyo.or.jp/guide/)に、市区町村社協のホームページの検索方法が案内されています。
- ひきこもり地域支援センター: 厚生労働省「ひきこもり支援に関する取組」のページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/hikikomori/index.html)から、各都道府県・指定都市の連絡先を確認できます。
- よりそいホットライン(一般社団法人社会的包摂サポートセンター): 0120-279-338(フリーダイヤル)。受付時間は公式サイト(https://www.since2011.net/yorisoi/)で確認してください。
お子さんや親御さん自身が「死にたい」と口にしている、自分や他人を傷つけるおそれがある、命や安全に関わる状況だと感じる場合は、上の窓口を待たずに、まず110番または119番に連絡してください。
まとめ
生活困窮者自立支援制度には、自立相談支援事業を入口として、仕事、住まい、家計などの相談や支援が用意されています。令和元年の厚生労働省の通知は、経済的な困窮が明らかでなくても、ひきこもりの本人やご家族の相談を受けとめるよう求めています。どの支援が合うか、使えるかどうかは窓口で個別に確認することになり、この記事では判断できません。まずは地域の窓口を1つ見つけて、分かっていることだけを話してみてください。ご家族が一人で数字を抱え込む必要はありません。
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出典
- 厚生労働省「生活困窮者自立支援制度」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000059425.html)
- 厚生労働省「ひきこもり地域支援センターによる生活困窮者自立支援制度の自立相談支援機関への積極的な支援について(令和元年6月14日 社援地発0614第2号)」(https://www.mhlw.go.jp/content/000518570.pdf)
- 厚生労働省「生活保護制度」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/seikatuhogo/index.html)
- 厚生労働省「ひきこもり支援に関する取組」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/hikikomori/index.html)
- 全国社会福祉協議会「福祉のガイド」(https://www.shakyo.or.jp/guide/)
- 一般社団法人社会的包摂サポートセンター「よりそいホットライン」(https://www.since2011.net/yorisoi/)
いずれも2026年10月2日に確認しました。制度の内容や窓口は変更されることがあります。この記事は公的情報をもとに編集部が作成したもので、専門家の監修は受けていません。



