「学校に行けない子に、フリースクールという場所があるらしい」。そう知ってから、費用や、通わせて大丈夫なのかが気になって、夜に何度も検索している方は多いと思います。
先に結論を書きます。フリースクールは、学校に代わる唯一の答えではなく、子どもが安心して過ごせる場所を探すときの選択肢のひとつです。運営の形も費用も方針も施設によって大きく違うので、「どこが良いか」を決める前に、「うちの子にとって何が大事か」を整理するほうが近道です。この記事では、文部科学省などの公的資料で確認できたことだけを使って、フリースクールの位置づけ、費用の見方、選ぶときの観点を整理します。
フリースクールとは何か。公的資料で確認できること
「フリースクール」という言葉に、国が定めた統一の定義があるとは、今回確認した資料からは読み取れませんでした。文部科学省の調査では、「フリースクール(フリースペースを含む)」を、不登校の子どもを受け入れることを主な目的とする団体・施設としています。この調査(平成30年12月時点)は、教育委員会などと連携している民間の団体・施設を対象にしたものです。
同じ調査で、連携のある351の団体・施設の運営の形を見ると、次のようにばらばらです。
- 特定非営利活動法人(NPO法人)が約40%
- 営利法人(株式会社など)が約12%
- 個人で運営しているものが約12%
- 法人格のない任意団体が約7%
つまり、NPOもあれば株式会社もあり、個人が運営する場もあります。活動内容も同じ調査で幅があり、個別の学習支援が約85%、相談・カウンセリングが約82%、スポーツが約66%、宿泊体験が約35%でした。「学習カリキュラムを決めている」と答えた施設は約44%で、決めていない施設のほうが多数でした。
なお、フリースクールが学校教育法上の学校にあたるかどうか、設置基準や認可の仕組みがあるかどうかは、今回あたった公的資料の範囲では確認できませんでした。このため、この記事では「公的な基準で一律に質が保証されている場ではない」と断定はしません。ただ、国の「民間施設についてのガイドライン(試案)」は、民間施設の性格・規模・活動内容が様々で、判断の指針を一律に示すことは難しいと述べています。施設ごとに違いが大きいという前提で、一つずつ確かめる姿勢が必要です。
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国は、学校外の学び場をどう位置づけているか
文部科学省は令和元年10月25日に「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」を出しています。この通知の考え方は、親にとって大事な点がいくつかあります。
まず、支援の視点として、「学校に登校する」という結果のみを目標にしないと明記しています。子どもが自分の進路を主体的に捉えて社会的に自立することを目指すもので、不登校の時期は休養や自分を見つめ直す積極的な意味を持つことがある、とも書かれています。一方で、学業の遅れや進路選択上の不利益に留意する、という記述も同じ箇所にあります。
次に、教育支援センター、不登校特例校、ICTを活用した学習支援、フリースクール、夜間中学など、様々な関係機関を活用して、本人の希望を尊重して社会的自立を支援するとしています。そのうえで、フリースクールなどの民間施設やNPOと学校が積極的に連携し、相互に協力・補完する意義は大きいとしています。
令和6年度の調査結果を踏まえた文部科学省の通知にも、都道府県教育委員会が、フリースクールや保護者の会などの民間団体と、相互に協力・補完しながら定期的に協議を行うことが求められる、という趣旨の記述があります。国は、民間の場を学校と対立するものではなく、連携する相手として位置づけています。
ちなみに、令和6年度の調査では、小・中学校の不登校の児童生徒は約35万4千人(過去最多)でした。そのうち、学校外の機関等で相談・指導を受けて指導要録上の出席扱いとなった児童生徒は42,978人です。あなたのお子さんだけの話ではなく、同じ状況の家庭が全国にたくさんあります。
費用の考え方。確認できた数字と、確認できなかったこと
費用は、いちばん気になる点だと思います。全国の施設を対象にした、公的な「相場」の統計は、今回の調査では見つけられませんでした。そのため、全国の平均額は書きません。
確認できたのは、東京都教育委員会が令和6年8月に公表した「フリースクール等に通う不登校児童・生徒支援調査研究事業報告書【概要版】」です。都内の公立小・中学生でフリースクール等に通う子の保護者を対象にしたアンケートで、授業料や施設使用料など、ひと月当たりの費用は次のとおりでした(令和5年度、回答者1,266人)。
- 平均値は約43,000円(43,136円)
- 中央値は38,000円
- 最大値は670,000円
平均と中央値の差、最大値の大きさから、施設による差がとても大きいことが分かります。調査報告書も、施設間で差があったと述べています。同じ調査で、費用が「負担である」「やや負担である」と答えた保護者は、約90%に近い割合でした。
この数字は東京都内の、アンケートに答えた家庭の結果です。地方の施設や、公営・自治体が関わる施設にそのまま当てはめることはできません。「うちの地域ならいくら」という目安としては使えないので、実際の金額は、気になる施設に直接確認してください。
費用を確かめるときは、月額だけでなく、次の点を分けて聞くと比べやすくなります。
- 入会金や登録料があるか
- 月額に含まれるもの(昼食、教材費、体験活動の費用など)
- 週何日通うかで金額が変わるか
- 兄弟の割引や、経済的に難しい場合の減免があるか
- 退会するときの手続きや、返金の扱い
国のガイドライン(試案)も、民間施設について、入会金や授業料(月額・年額など)が明確にされ、保護者に情報提供されていることを目安にしています。聞いたときに丁寧に答えてもらえるかどうかも、ひとつの判断材料になります。
減免や補助については、前述の文部科学省の調査(平成30年12月時点)で、会費を徴収している351箇所のうち、教育委員会などの補助制度があるのは約8%、施設側の減免制度があるのは約14%でした。公的な補助は、ない地域のほうが多いことになります。ただ、これは数年前の調査で、自治体の制度は変わっています。お住まいの市区町村の教育委員会や、子ども・若者の相談窓口に「フリースクールの利用に関する補助や情報はありますか」と聞いてみる価値はあります。
選び方。国のガイドラインの観点と、一般に言われる見学のポイント
選ぶときの観点は二種類に分けて考えると整理しやすくなります。ひとつは国のガイドラインに書かれていること、もうひとつは、支援の現場などで一般に言われている見学のポイントです。後者は公的な基準ではないので、参考として読んでください。
国のガイドライン(試案)に書かれている観点
「民間施設についてのガイドライン(試案)」は、個々の施設の適否を評価するものではなく、保護者や学校、教育委員会が留意すべき点の目安として示されたものです。主な項目は次のとおりです。
- 実施者が不登校の子どもへの相談・指導に深い理解と経験を持っていること
- 営利本位でなく、費用が明確にされ、保護者に情報提供されていること
- 子どもの人命や人格を尊重した、温かい相談・指導が行われていること
- 指導内容や方法、体制があらかじめ示されていること
- 学習支援や進路の状況について、保護者に情報提供があること
- 体罰などの不適切な指導や人権侵害がないこと
- 学校と情報交換するなど、連携・協力の関係が保たれていること
- 施設での様子を保護者に定期的に連絡するなど、家庭との連携があること
- 宿泊を伴う施設では、保護者の面会や退所の自由が確保されていること
「専門的なカウンセリング等を行う場合は、心理学や精神医学などの専門的知識と経験を備えたスタッフが担当していること」という項目もあります。カウンセリングをうたう施設には、誰がどんな資格や経験で担当するのかを聞いておくと安心です。
一般に言われる見学のポイント(公的な基準ではありません)
ここからは、公的資料ではなく、一般的に言われていることです。
- 子ども本人と一緒に見学し、本人が居心地よさそうかを見る。親が良いと思っても、本人が合わないことはよくあります
- 一日の過ごし方を聞く。時間割がある場か、自由に過ごす場かで、合う子は違います
- 通う頻度や時間を、本人のペースで決められるか
- 学習をどう扱うか。学習の遅れが気になる場合は、学習支援の有無や内容を聞く
- 「いつ学校に戻るか」を前提に話を進められないか。学校復帰を急かす場では、本人が安心できないことがあります
- 通いやすさ(距離、交通手段)
- 見学や体験を何回かさせてもらえるか
通ってみてから合わないと感じることもあります。それは親の見る目がなかったということではありません。合わなければ別の場所を探してよいと、最初から決めておくと、気持ちが少し楽になります。
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出席扱い・通学定期・成績評価。確認できた範囲の制度
フリースクールに通うと、在籍している学校でどう扱われるのかも気になる点です。文部科学省の通知で確認できた範囲で整理します。なお、運用は学校や教育委員会によって異なります。実際にあてはまるかどうかは、在籍校に確認してください。
指導要録上の出席扱い
義務教育段階(小学校・中学校)では、学校外の公的機関や民間施設で相談・指導を受けている場合に、校長の判断で、指導要録上出席扱いとすることができる、という仕組みがあります。通知(別記1)に書かれた主な要件は次のとおりです。
- 保護者と学校の間に十分な連携・協力関係があること
- 施設は、教育委員会などが設置する教育支援センターなど公的機関が基本。ただし、公的機関に通うことが難しいなどで、本人や保護者の希望もあり適切と判断される場合は、民間施設も考慮されること
- 施設に通所または入所して相談・指導を受けることが前提であること
- 民間施設の相談・指導が適切かどうかは、校長が教育委員会と十分に連携して判断すること
通知は、この判断の目安として、先ほどの「民間施設についてのガイドライン(試案)」を参考にすることが望ましいとしています。また、通知には、施設の相談・指導が社会的自立を目指すものであり、本人が現時点で登校を希望しているか否かにかかわらず、本人が自ら登校を希望したときに円滑な学校復帰が可能となるよう、個別指導などの適切な支援をしている場合に、出席扱いとできる、という趣旨の記載があります。学校に戻ることを求める文言ではなく、本人が望んだときに選べるようにしておく、という意味合いです。
出席扱いにするかどうかは、校長が判断します。「フリースクールに通えば自動的に出席扱いになる」わけではなく、学校と施設が連絡を取り合うことが前提です。迷ったら、通い始める前に担任や学年主任、教育相談の担当に「出席扱いの対象になるか」を聞いてみてください。
通学定期乗車券
平成5年3月19日付の文部省(当時)の通知に、通学定期乗車券の制度があります。出席扱いとされた義務教育段階の児童生徒が、学校外の公的機関や民間施設に通うために鉄道や乗合バスに乗る場合、通学定期乗車券が発売される、という内容です。手続きは、在籍校の校長が、鉄道会社やバス会社の定めに基づいて行います。この通知は古く、現在の取り扱いは、利用する交通機関によって違うことがあります。通学定期を使いたい場合は、在籍校と、利用する交通機関に確認してください。
学習の成果の成績評価
令和6年8月には、小・中学校で、一定の要件のもと、自宅や学校外の機関等での学習の成果を成績評価できることが、学校教育法施行規則等の改正で法令上明確になりました。令和6年度の調査では、自宅や学校外の機関での学習の成果を指導要録に反映した児童生徒は81,467人でした。フリースクールで学んだことを、学校がどのように評価に反映するかは、学校ごとに対応が異なります。気になる場合は、在籍校に相談してください。
ほかの選択肢との位置づけ(概要)
フリースクールは、選択肢のひとつです。子どもの状態や気持ちによっては、ほかの場のほうが合うこともあります。ここでは名前と役割だけを簡単に挙げます。詳しくは別の記事で扱います。
- 教育支援センター(適応指導教室): 教育委員会などが設置する、公的な学びの場です。
- 学びの多様化学校(不登校特例校): 不登校の子どもに合わせた教育課程を組める学校です。詳細は別記事で扱います。
- 通信制高校・家庭学習: 中学卒業後の進路や、自宅での学び方の選択肢です。詳細は別記事で扱います。
- オンラインでの学習支援: 自宅から授業や支援を受けられる取り組みが進められていると、令和6年度の文部科学省通知に記載があります。
どれが正解ということはありません。家で休む期間が必要な子もいます。通う場所を決めることより先に、本人がほっとできる時間を確保するほうが大切な場合もあります。
今日できる小さな一歩
- お住まいの地域の相談先を一つだけ調べる。 市区町村の教育委員会、または教育支援センターに「フリースクールなど学校外の場についての情報や、利用に関する補助はありますか」と電話かメールで聞いてみてください。
- 子どもに、見学の話を「提案」として出してみる。 決めさせようとせず、「こんな場所があるらしいよ。見てみたい?」と、断ってもよい形で一度だけ聞いてみてください。反応が薄くても、それは今の答えとして受け止めて構いません。
- 在籍校の担任に、出席扱いの対象になるかを聞くメモを作る。 今すぐ聞かなくても、聞きたいことを書き出しておくだけで気持ちが整理されます。
ひとりで抱え込まず、話してみませんか
- 1回30分・無料
- オンライン・電話
- 入力は2分ほど
不登校支援の専門カウンセラーが、お話を伺います。1回30分まで無料です。
※医師・公認心理師などの資格を持つ専門家ではありません。診断・治療などの医療的な助言は行いません。緊急のときは、記事内の「相談窓口」へご連絡ください。
相談窓口
ここに挙げる窓口は、一人で抱えているときの選択肢として載せています。電話番号は、各公式サイトで確認できたものだけを書いています。
- 在籍校・教育委員会・教育支援センター: 出席扱い、通学定期、補助制度、地域の学校外の場の情報について。お住まいの市区町村の教育委員会に問い合わせてください。電話番号は自治体ごとに異なるため、市区町村の公式サイトで確認してください。
- 24時間こどもSOSダイヤル(文部科学省): 0120-0-78310(通話無料、24時間)。文部科学省の「子供のSOSの相談窓口」ページで案内されています。いじめや不登校など、子どもの悩みについて電話で相談できます。
- よりそいホットライン(一般社団法人 社会的包摂サポートセンター): 0120-279-338(フリーダイヤル)。全国どこからでも相談できるとされています。受付時間や対応の詳細は、公式サイトで確認してください。
- 自治体の子ども・若者総合相談窓口、児童相談所、ひきこもり地域支援センター、精神保健福祉センター: 各都道府県・市区町村の公式サイトで、窓口と連絡先を確認してください。
お子さんの「死にたい」という言葉や、自分を傷つける行動、虐待が疑われる状況がある場合は、すぐに上記のSOSダイヤルや、お住まいの地域の児童相談所、警察などの緊急の窓口に連絡してください。
まとめ
フリースクールは、運営主体も費用も方針も施設ごとに大きく異なります。国は、不登校の子どもの支援で「学校に登校する」ことだけを目標にせず、フリースクールなどの民間施設とも連携していく考え方をとっています。費用は、東京都の調査で平均が月約43,000円、最大で670,000円と幅が大きいため、全国の相場を一つの数字で語ることはできません。出席扱いや通学定期は、学校長の判断や運用で異なるので、在籍校と施設の両方に確認してください。見学では、本人が居心地よく過ごせそうか、費用の内訳が明確か、学校や家庭との連絡が丁寧かを見てください。通い始めても、合わなければ別の場を探してよいのです。
ひとりで抱え込まず、話してみませんか
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- 入力は2分ほど
不登校支援の専門カウンセラーが、お話を伺います。1回30分まで無料です。
※医師・公認心理師などの資格を持つ専門家ではありません。診断・治療などの医療的な助言は行いません。緊急のときは、記事内の「相談窓口」へご連絡ください。
出典
- 文部科学省「『不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)』令和元年10月25日」(元文科初第698号) https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1422155.htm
- 文部科学省「義務教育段階の不登校児童生徒が学校外の公的機関や民間施設において相談・指導を受けている場合の指導要録上の出欠の取扱いについて」(別記1) https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1422155_00004.htm
- 文部科学省「民間施設についてのガイドライン(試案)」(別添3) https://www.mext.go.jp/content/1422155_004_2.pdf
- 文部科学省「民間の団体・施設との連携等に関する実態調査」(令和元年5月13日、調査時点は平成30年12月) https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2019/05/20/1416689_001.pdf
- 文部科学省「令和6年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果及びこれを踏まえた対応の充実について(通知)」 https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1422178_00006.htm
- 文部科学省「令和6年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果概要」 https://www.mext.go.jp/content/20260305-mxt_jidou02-100002753_3.pdf
- 文部省「登校拒否児童生徒が学校外の公的機関等に通所する場合の通学定期乗車券制度の適用について(通知)」平成5年3月19日 https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/04121502/020.htm
- 東京都教育庁「フリースクール等に通う不登校児童・生徒支援調査研究事業報告書【概要版】」令和6年8月22日 https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/kyoiku/2024outline
- 文部科学省「子供のSOSの相談窓口」 https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/06112210.htm
- 一般社団法人社会的包摂サポートセンター「よりそいホットライン」 https://www.since2011.net/yorisoi/
いずれも2026年10月2日に確認しました。この記事は公的情報をもとに編集部が作成したもので、専門家の監修は受けていません。



