「うちの子は欠席が多いけれど、埼玉県の公立高校は受けられるのだろうか」「内申書はどう扱われるのだろう」。そんな不安で、夜に検索している方も多いと思います。
先に整理しておきます。埼玉県教育委員会は、令和9年度(2027年2月実施予定)の公立高校入試に、「不登校の生徒などを対象とした特別な選抜による募集」を設けています。公式の資料に、実施する学校、出願の条件、提出する書類、選抜の資料が書かれています。ただし、これは受験を勧めるための記事ではありません。「埼玉なら有利」「この方法なら通る」とも言えません。受験は選択肢のひとつです。通信制や定時制など、ほかの道も並べて書きます。
全国共通の制度(文部科学省の通知の内容、調査書の一般的な考え方、公立と私立の違い、中学卒業後の選択肢)は、別の記事で書いています。この記事では、埼玉県の公式ページと文部科学省の調査表で確認できた内容だけを書きます。確認できなかったことは書いていません。
令和9年度入試の基本的な流れ(県教委の公式資料から)
ここで書く日程や制度は「令和9年度入試の例」です。毎年変わる可能性があるため、受験する年度の最新情報は、埼玉県教育委員会の公式ページで確認してください。この節の内容は、2026年10月2日に確認したものです。
埼玉県教育委員会の「令和9年度埼玉県公立高等学校入学者選抜の日程」には、次の日程が載っています。
- 出願期間: 令和9年1月26日(火)から2月9日(火)まで(インターネットを使った出願)
- 出願書類等の提出期間: 2月12日(金)、15日(月)、16日(火)(12日は郵送)
- 志願先変更期間: 2月17日(水)、18日(木)
- 学力検査: 2月25日(木)
- 面接: 2月26日(金)(すべての学校)
- 特色検査: 3月1日(月)(一部の学校)
- 追検査: 3月2日(火)(インフルエンザなど、やむを得ない事情で学力検査を受けられなかった人が対象)
- 入学許可候補者の発表: 3月5日(金)
面接は、令和9年度の入試では、すべての受検生に実施されます。県のページによると、面接ではまず、これまでの経験を振り返り、力を注いだことや将来取り組んでみたいことを、自分の言葉で伝える「My Voice」の時間があります。そのあと、自己評価資料に書いた内容などをもとにした質疑応答があります。同じページには、「My Voice」に正解はなく、話し方の上手さではなく、自分なりに考えて伝えることが大切だと書かれています。
一般の出願書類は「調査書」と「自己評価資料」です。調査書は中学校が作る書類で、評定や出欠の記録などが載ります。次の節で書く特別な選抜では、この調査書を選抜の資料にしない形が取られています。
「不登校の生徒などを対象とした特別な選抜」とは
埼玉県教育委員会の「令和9年度埼玉県公立高等学校入学者選抜実施要項」には、「第7 不登校の生徒などを対象とした特別な選抜による募集」が定められています。県の「不登校の子供たちとその保護者を支援するためのサイト」にも、説明動画と資料が載っています。内容は次のとおりです。
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実施する学校: 原則として、全日制の課程と定時制の課程のすべての学校、学科等で実施されます。
募集人員: 一般募集とあわせて実施され、この選抜だけの募集人員は定められていません。選抜要領に従って各学校の実情に応じて選抜し、入学許可候補者を決める、とされています。この選抜による入学許可候補者数は、一般募集の募集人員に含まれます。
出願の条件: 令和9年3月31日までに中学校を卒業する見込みで、「中学校在学中に一過性のつまずきなどにより不本意な中学校生活を送った者」のうち、在学中の中学校長が、この特別な選抜による出願に該当すると認めた人です。県の説明資料には「早めに中学校の先生に相談を」と書かれています。出願できるかどうかには中学校長の判断が入るため、まず中学校に相談することになります。「一過性のつまずき」という書き方は県の資料の表現で、お子さんの状況をこう決めつける意味ではありません。該当するかどうか迷う場合も、中学校や県の窓口に聞いてみてください。
出願の方法: 電子出願システムの案内に従って「不登校特別選抜による募集」を選びます。「自己申告書」(様式7)を、中学校長を経て志願先の高校長に提出します。県の説明資料に載っている様式7には、特別な選抜を希望する理由や、学校・学科等を志願する理由などを書く欄があります。文部科学省の調査表には、特別な選抜を希望する理由、学校・学科等志願の理由、高校生活への抱負、高等学校に理解してほしい事柄などを記入する、という記載があります(後述します)。
学力検査: 一般募集と同じ時刻に、同じ問題で行われます。県の説明資料には、5教科を受検すると書かれています。
面接: この特別な選抜では個人面接です。選抜要領では、1人あたり15分程度が原則とされ、面接の際は「志願者の中学校での生活及び学習状況等について十分配慮する」と書かれています。
特色検査: 特色検査を行う学科やコースを志願する場合は、ほかの志願者と同じように受検します。
選抜の資料: 自己申告書を提出した人を対象に、調査書を資料とせず、学力検査の得点の合計、面接の得点、特色検査(実施する場合)の得点、自己申告書の内容を資料とします。自己評価資料は面接の参考にされます。そのうえで、各学校が、その学校・学科の教育を受けるのに足りる能力や適性などを判定します。
第2志望と志願先変更: 第2志望を認めている学科等で、この特別な選抜に志願した人が第2志望を申告した場合、第2志望の学科等では、この選抜の対象になりません。志願先変更は1回できます。ほかの学校の特別な選抜に変更するときは、新しい志願先に自己申告書などを提出します。先に志願した学校に自己申告書を出していなかった場合は、変更先に自己申告書を提出することはできません。
公式資料に書かれているのは、ここまでです。この選抜で、どのくらいの人が入学許可候補者になるかは、県の「実施状況」の資料に年度ごとの数字が出ています。ただ、数字だけを見ると、受験する・しないの判断を急がせる材料になりかねません。この記事では、数字の紹介は省きます。知りたい場合は、県の令和8年度入学者選抜の実施状況を、公式ページで確認してください。
文部科学省の調査表に、埼玉県はどう載っているか
文部科学省は毎年、都道府県の公立高校入試について「高等学校入学者選抜の改善等に関する状況調査(公立高等学校)」をまとめています。令和7年度版(令和8年2月17日更新版)には、「不登校経験のある生徒に対する配慮」の項目があり、埼玉県の欄に次の記載があります。
- 調査書等の提出: 「特別な選抜を希望する理由、学校・学科等志願の理由、高校生活への抱負、高等学校に理解してほしい事柄などの内容を記入する自己申告書を提出する」(「その他」の欄での記載)
- 選抜における調査書等の取扱い: 「第1次選抜において、自己申告書を提出した者を対象に、調査書の学習の記録及び出欠の記録を資料とせず」、学力検査の得点の合計、そのほかの得点、自己申告書の内容を資料とする特別な選抜を行う、という趣旨の記載
県の令和9年度の資料に書かれた内容と、おおむね重なっています。ここで補足しておきます。
別の記事では、自己申告書を「提出できる」「提出を求めている」とする都道府県の数を紹介しています。この数は、調査表のうち「本人から、学校以外の場での学習状況等を自己申告書として提出」の欄を集計したものです。埼玉県の自己申告書は、この欄ではなく「その他」の欄に具体的な内容が書かれています。つまり、埼玉県に自己申告書の仕組みがないということではなく、調査表の分類が違うだけです。県の実施要項では、特別な選抜に出願する場合に自己申告書が必要とされています。
調査表は令和7年度入試についての調査で、制度は年度ごとに変わります。令和9年度入試の取り扱いは、県が公表している令和9年度の実施要項で確認してください。また、この調査表の分類だけで「埼玉県は他県より配慮が手厚い」あるいは「手薄い」とは言えません。比べられるのは、各県がどんな仕組みを用意しているか、という点までです。
通信制・定時制など、受験以外の道も県の窓口で確認できる
埼玉県の公式ページには、公立高校の全日制のほかにも、県立の通信制高校、多部制(昼・夜)の定時制高校、夜間定時制高校があることが載っています。下の図は、中学卒業後の主な選択肢を並べたものです。どれが合うかは、お子さんの状況や希望によって違います。
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埼玉県教育委員会は、「高校生活に関する相談会」を開催しています。令和8年度の第1回は8月9日(日)に行われ、2026年10月2日の時点では終了しています。県の資料では、対象は次の人たちです。
- 高校生活に不安や悩みがあり、中途退学を考えている高校生と保護者
- 中途退学をした人
- 進路に不安を感じている不登校傾向の中学生と保護者(ページによって、保護者の記載がない箇所もあります。詳しくは公式ページを確認してください)
相談の分野は、県立の通信制高校、多部制定時制高校、夜間定時制高校(転学・入学・学校生活)、県立学校人事課(転学・編入学。高卒認定試験を含む)、高校教育指導課(高校入学者選抜・進路・進級)、地域若者サポートステーション(就労)です。同じ日に、「不登校の子供を支えるためのセミナー」も行われました。保護者の会やフリースクールなどの民間団体、県立学校がブースを出す内容で、事前申し込み不要、無料と書かれています。
次回以降の開催日は、確認した時点では公式ページに載っていませんでした。「不登校の子供たちとその保護者を支援するためのサイト」を、折に触れて見てみてください。
また、定時制・通信制高校の「令和9年度入学案内」は、2026年10月2日時点のページで「更新準備中」でした。入学案内が出たら、県の同じページで確認できます。
私立高校については、国の資料から個別の入試方式は書けません。県の公式情報で個別の方式を確認できなかったため、この記事では取り上げません。出願の条件、事前相談の有無、不登校の場合の取り扱いは、志望校の募集要項と学校への問い合わせで確認してください。通信制や高等専修学校、高卒認定試験の一般的な説明は、別の記事「中学卒業後の選択肢」にまとめています。
埼玉県には、受験以外にも相談先や居場所の情報がある
県のサイトには、受験に関する情報のほかに、次のような情報が載っています。進路を決める前に、お子さんや保護者が一息つく場所としても使えます。
- 不登校の子供とその保護者を支援する、県内の民間団体・施設の一覧(地域別。活動内容や対象は各団体へ直接問い合わせます)
- 親の会(保護者の会)の一覧
- 市町村の相談窓口の一覧(子供用と保護者用。さいたま市・南部、西部、北部、東部に分けて掲載)
- 市町村の教育支援センター(適応指導教室)の一覧
- メタバース空間を活用した不登校児童生徒等支援事業(埼玉県教育メタバース)。参加している市町村は公式ページの一覧で確認できます
県の「困ったときの相談窓口」のページには、県教育委員会の電話相談(子供用・保護者用)、LINE相談、面接相談(予約制・無料)などが載っています。電話番号や受付時間は変わることがあるため、この記事には書いていません。公式ページで確認してから連絡してください。
今日できる小さな一歩
- 埼玉県教育委員会の「不登校の子供たちとその保護者を支援するためのサイト」を開き、「不登校の生徒などを対象とした特別な選抜」の説明動画と資料を見てみる。 受験すると決めていなくても、仕組みを知っておくだけで、見通しが少し持てます。
- 中学校の先生に、「特別な選抜の対象になるかどうかを相談したい」と伝える時間をお願いする。 話しにくいときは、市町村の教育委員会や教育支援センターなど、学校以外の窓口から始めることもできます。
- 通信制・定時制などの資料も、並べて見てみる。 受験するかどうかの前に、選択肢を広げておくという使い方です。
ひとりで抱え込まず、話してみませんか
- 1回30分・無料
- オンライン・電話
- 入力は2分ほど
不登校支援の専門カウンセラーが、お話を伺います。1回30分まで無料です。
※医師・公認心理師などの資格を持つ専門家ではありません。診断・治療などの医療的な助言は行いません。緊急のときは、記事内の「相談窓口」へご連絡ください。
相談窓口
番号・名称は、いずれも運営機関の公式ページで確認した内容です。受付時間や対応内容は変更されることがあるため、かける前に各公式ページをご確認ください。
- 埼玉県の窓口: 入試については、埼玉県立総合教育センターの「入試相談窓口」と、県教育局の高校教育指導課が案内しています(令和9年度入試情報のページ https://www.pref.saitama.lg.jp/f2208/nyushi/r9nyushijyoho.html)。教育の悩み全般(いじめ、不登校、学校生活など)は「困ったときの相談窓口」のページに、電話・メール・LINE・面接の相談先が整理されています(https://www.pref.saitama.lg.jp/e2201/kyouikusoudan.html)。電話番号は、各ページで確認してください。
- お住まいの市町村: 教育委員会、教育支援センター、子ども・若者の相談窓口があります。県の「不登校の子供たちとその保護者を支援するためのサイト」に、市町村の相談窓口の一覧があります(https://www.pref.saitama.lg.jp/f2209/futoukoshien/index.html)。
- 在籍している中学校: 調査書や自己申告書、特別な選抜の対象かどうかは、中学校長の判断が関わります。担任、学年の先生、スクールカウンセラーなどに相談します。
- 24時間子供SOSダイヤル(文部科学省): 0120-0-78310。受付時間は公式ページで確認してください(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/06112210.htm)。
- 児童相談所虐待対応ダイヤル「189」: 虐待かもと思ったとき、お近くの児童相談所につながります。匿名でも相談できます(https://www.cfa.go.jp/policies/jidougyakutai/gyakutai-taiou-dial)。
- よりそいホットライン(一般社団法人社会的包摂サポートセンター): 0120-279-338(フリーダイヤル)。受付時間などは公式サイトで確認してください(https://www.since2011.net/yorisoi/)。
お子さんや親御さん自身が「死にたい」と口にしている、自分や他人を傷つけるおそれがある、命や安全に関わる状況だと感じる場合は、上の窓口を待たずに、まず110番または119番に連絡してください。
まとめ
埼玉県の令和9年度の公立高校入試には、不登校の生徒などを対象とした特別な選抜が、原則として全日制・定時制のすべての学校で設けられています。出願には中学校長の認定と自己申告書が必要で、選抜では調査書を使わず、学力検査、面接、自己申告書などが資料になります。ただし、年度ごとに制度は変わり、私立高校の取り扱いは学校ごとに違います。この記事で書いたのは、2026年10月2日時点で県の公式ページから確認できた範囲です。受験するかどうかは急いで決めることではなく、通信制・定時制、高等専修学校、高卒認定試験などと並ぶ選択肢のひとつです。ひとりで抱えているときは、上の窓口や、下のボタンから相談を使ってください。
ひとりで抱え込まず、話してみませんか
- 1回30分・無料
- オンライン・電話
- 入力は2分ほど
不登校支援の専門カウンセラーが、お話を伺います。1回30分まで無料です。
※医師・公認心理師などの資格を持つ専門家ではありません。診断・治療などの医療的な助言は行いません。緊急のときは、記事内の「相談窓口」へご連絡ください。
出典
- 埼玉県教育委員会「不登校の子供たちとその保護者を支援するためのサイト」(掲載日2026年7月31日)(https://www.pref.saitama.lg.jp/f2209/futoukoshien/index.html)
- 埼玉県「令和9年度埼玉県公立高等学校入学者選抜実施要項・入学者選抜要領 より『第7 不登校の生徒などを対象とした特別な選抜による募集』『面接』『不登校の生徒などを対象とした特別な選抜要領』」(https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/180350/s01_r9futoukousenbatsu.pdf)
- 埼玉県教育委員会 高校教育指導課「令和9年度 『不登校の生徒などを対象とした特別な選抜』について(説明動画資料)」(https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/180350/s02-1_r9futoukoudouga_shiryou.pdf)
- 埼玉県「令和9年度埼玉県公立高等学校入学者選抜に関する情報」(掲載日2026年10月1日)および「令和9年度埼玉県公立高等学校入学者選抜の日程」(https://www.pref.saitama.lg.jp/f2208/nyushi/r9nyushijyoho.html)(https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/257619/r9nyuusiniltutei.pdf)
- 埼玉県「令和9年度埼玉県公立高等学校入学者選抜における面接について」(掲載日2026年6月8日)(https://www.pref.saitama.lg.jp/f2208/r9nyuushi_mensetsu_shikoujirei.html)
- 埼玉県「中途退学防止に関すること」(令和8年度第1回高校生活に関する相談会)(https://www.pref.saitama.lg.jp/f2209/chutai-boushi/index.html)
- 埼玉県「困ったときの相談窓口」(https://www.pref.saitama.lg.jp/e2201/kyouikusoudan.html)
- 文部科学省「令和7年度 高等学校入学者選抜の改善等に関する状況調査(公立高等学校)」令和8年2月17日更新版(https://www.mext.go.jp/content/20251226-mxt_koukou01-000026790_02.pdf)
- 文部科学省「子供のSOSの相談窓口」(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/06112210.htm)
- こども家庭庁「児童相談所虐待対応ダイヤル「189」について」(https://www.cfa.go.jp/policies/jidougyakutai/gyakutai-taiou-dial)
- 一般社団法人社会的包摂サポートセンター「よりそいホットライン」(https://www.since2011.net/yorisoi/)
いずれも2026年10月2日に確認しました。この記事は公的情報をもとに編集部が作成したもので、専門家の監修は受けていません。



