「神奈川にも不登校特例校はあるのか。あるとして、うちの子は通えるのか」。そう思って調べ始めると、学校によって「通える人」の条件がまったく違うことに気づき、戸惑った方も多いと思います。

結論から言うと、神奈川県内には、文部科学省の一覧に載っている学校があります。その中には、市の教育委員会が設置した公立の学校と、学校法人が管理する私立の学校があります。公立の学校は、設置した市に住んでいることが条件になっている場合があります。この記事は、特定の学校をすすめるものではありません。文部科学省の一覧に書かれている事実と、市や学校の公式ページで確認できた範囲を、確認日つきで整理しました。確認できなかったことは「学校・教育委員会に確認」と書いています。

制度そのものは「不登校特例校(学びの多様化学校)とは何か」、全国の一覧の見方は「全国一覧の見方」の記事で説明しています。この記事では、神奈川県内に絞ります。

神奈川県内で一覧に載っているもの(2026年10月2日確認)

出典は、文部科学省の「学びの多様化学校(いわゆる不登校特例校)の設置者一覧」(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1387004.htm)です。「不登校特例校」は旧称で、現在は「学びの多様化学校」という名称が使われています。一覧は随時更新されるため、最新の内容は公式ページで確認してください。

編集部が2026年10月2日に、一覧の表の「設置場所」が神奈川県になっている行を数えたところ、5行ありました。

この5は「一覧の行数」であって、「校数」ではありません。 1つの行に、小学校と中学校など複数の学校がまとめて書かれている場合があります。また、文部科学省が公表した校数でもありません。一覧が更新されると、数は変わります。

形態別の行数は、本校型3行、分校型1行、分教室型1行、コース指定型0行でした。この日の一覧には、川崎市や相模原市、県が設置したことを示す行は見当たりませんでした。ほかの市区町村で検討が進んでいる可能性はありますが、今回の確認では公式情報を見つけられなかったため、書いていません。

本校型、分教室型、分校型など、形態の違う校舎が神奈川県の地図の上に並んでいる図(建物の位置は実際の所在地とは関係ありません)"“

形態の意味は、全国一覧の記事と同じです。

  • 本校型: 学校全体が指定を受けている形態(手引きでは「学校型」)。
  • 分教室型: 一般の小・中学校を母体の本校として、一部の学級だけを指定する形態。
  • 分校型: 本校と分離して設けられる形態。
  • コース指定型: 高等学校などで、一部のコースを指定する形態。

一覧の内容を、そのまま書き写します

次の表は、一覧の記載をもとに、校名・設置場所・形態・指定年・管理機関を整理したものです。校名と指定年は一覧の表記どおりです。並び順は一覧の番号順で、優劣や推奨を示すものではありません。

No. 形態 学校名(一覧の表記) 設置場所 指定年 学校の管理機関
3 本校型 星槎中学校 横浜市 平成17年 学校法人国際学園
10 本校型 星槎高等学校 横浜市 令和2年 学校法人国際学園
23 本校型 横浜きりん学園 横浜市 令和7年 学校法人森学園
35 分校型 鎌倉市立御成中学校【分校名】鎌倉市立由比ガ浜中学校 鎌倉市 令和7年 神奈川県鎌倉市教育委員会
48 分教室型 大和市立引地台中学校 大和市 令和4年 神奈川県大和市教育委員会

一覧の「設置場所」は「神奈川県横浜市」のように都道府県名から始まっています。上の表では、神奈川県を省いて市名だけを書きました。管理機関の欄を見ると、市の教育委員会が管理する公立の学校と、学校法人が管理する学校があることが分かります。

「対象学年」は、一覧に専用の列がありません。校名から小学校・中学校・高等学校の別は分かりますが、何年生から何年生までかは、一覧の「特別の教育課程の主な内容」の欄からは分かりません。確認できた範囲は、あとの「入学の条件」の節に書きます。

特別の教育課程の主な内容(一覧の記載から)

一覧の最後の列には、各学校が特別の教育課程としてどのような工夫をしているかが書かれています。長い文章なので、ここでは要点だけを書きます。詳しくは一覧の原文を読んでください。

  • 星槎中学校: 個別指導計画を作成し、習熟度別のクラス編成や体験学習などを取り入れ、授業時数を増やして指導を行う。
  • 星槎高等学校: 「個別の指導計画」を作成し、学校設定教科「星槎の時間」「SST」「労作」を設定する。
  • 横浜きりん学園: 総合的な学習の時間の時数を増やし、学校法人が所有する農園での栽培や調理などの「食育」を軸にした体験的な学習を行う。授業の1単位時間を5分短縮する(前期課程45分から40分、後期課程50分から45分)。
  • 鎌倉市立由比ガ浜中学校: 総合的な学習の時間を、鎌倉の地域特性を生かした探究プログラムの要素を取り入れた「ULTLA」として再設定し、授業時数を増やす。「音楽」「美術」「技術・家庭」は新教科「CTime」の中で基礎・基本を学び、自分の興味関心に合わせて学びたい教科を選ぶ。
  • 大和市立引地台中学校: 「教養科」を教科として新設し、各教科等を横断的に扱った学習や体験的な学習を多く取り入れる。

この欄の文章だけで、お子さんに合うかどうかは判断できません。どの学校がよいという順位もありません。気になる学校があれば、学校の説明を直接聞いてください。

入学の条件は、市と学校ごとに違います

「通える範囲かどうか」「どんな手続きか」は、一覧には書かれていません。ここでは、公式ページで確認できたものだけを書きます。

鎌倉市立由比ガ浜中学校(確認できたこと)

鎌倉市教育委員会の「令和9年度転入学用 転入学のてびき」(PDF)によると、次のとおりです。

  • 鎌倉市立御成中学校の分校として設置され、定員は30名(各学年10名)程度、学区は市内全域と書かれています。
  • 対象は、次の3つすべてに当てはまる児童生徒のうち、教育委員会が認めた人です。(1) 鎌倉市内に在住していること、(2) 不登校状態または不登校傾向にあること、(3) 由比ガ浜中学校で学びたいという思いがあること。「不登校傾向」は、別室登校や登校しぶりなどを指すと説明されています。
  • 市外に住んでいる場合は、そのまま転入学して通うことはできないとされています。転入学する年度の4月に鎌倉市へ転入する予定の場合は、転入学の手続きを経た児童生徒が対象で、定員を超えるときは市内在住の児童生徒が優先される、とあります。
  • 手続きは、学校説明会、在籍校での面談、教育委員会との面談、2日間の学校体験、教育相談、転入学検討委員会を経て、結果が通知されます。令和9年度用の資料では、説明会が令和8年7月から8月、結果の通知が令和9年2月上旬と書かれています。
  • 年度の途中の転入学は認めていない、と書かれています。
  • 定員を超えたときは、「前向きに頑張りたいという姿勢」「学ぶ意欲」「毎日通う意欲」「欠席の状況」「常時支援の必要性」などの観点から総合的に判断する、とあります。
  • 毎日の登校が基本で、登校のペースは状況に合わせて相談する、と書かれています。原則として卒業まで由比ガ浜中学校で学ぶことを前提に転入学する、ともあります。

募集の時期や人数は年度で変わります。これらは令和9年度用の資料の内容です。最新の案内は、鎌倉市教育委員会の公式ページで確認してください。

大和市立引地台中学校分教室(確認できたこと)

大和市の公式ページ(2025年10月24日更新と表示されていました)には、次のように書かれています。

  • 対象は、大和市に住んでいて、地域の学校に長期間登校していない中学1〜3年生で、教育委員会が入室を認めた人です。
  • 分教室は1学年10名程度を想定しています。
  • 場所は、大和市立柳橋小学校の敷地内の建物(旧理科センター)です。

手続きの流れ(面談や見学の有無など)は、このページでは確認できませんでした。問い合わせ先として、教育部青少年相談室の青少年相談係が記載されています。

横浜きりん学園(確認できたこと)

学校の公式サイトには、次の内容が書かれています(2026年10月2日に確認)。

  • 私立の義務教育学校で、前期課程が1〜6年生、後期課程が7〜9年生です。2026年1月開校と書かれています(一覧の指定年は令和7年です)。
  • 入学できる人は、義務教育課程に就学(または就学予定)で、不登校等の教育上特別な配慮が必要と校長が認めた人、とされています。
  • 入学を希望する場合は、案内された手順(説明会や体験会などの1〜3)のすべてに参加すること、とあります。
  • 令和8年度9月・1月の転入学の案内には、対象が1〜7年生、募集人数は若干名と書かれています。

通学区域の条件や費用は、募集要項や学費のページで確認してください。

星槎中学校・星槎高等学校(確認できたこと)

学校法人国際学園の学校です。公式サイトで確認できたのは次の点です。

  • 星槎中学校: 受験案内のページに、学校説明会への参加(保護者のみ。受験する年度の説明会への参加が必須と書かれています)、面談、体験入学、個別相談、願書の受け取り、出願、入試という流れが載っています。体験入学は、教育課程やプログラムを体験して入学の意思を決める材料のひとつとして必要だと書かれています。
  • 星槎高等学校: ページには、全日制と通信制の説明会・体験入学の案内が分かれて載っています。一覧の指定がどの課程に当たるかは、今回の確認では読み取れませんでした。学校に確認してください。学校見学は電話で相談できる、との記載があります。

費用や通学区域の条件は、募集要項や学校への問い合わせで確認してください。

問い合わせ先の探し方

この記事には、学校や教育委員会の個別の電話番号は書きません。番号は変わることがあるため、公式ページで確認してください。探し方は次のとおりです。

  1. 文部科学省の一覧で、気になる学校の「学校の管理機関」を見る(市の教育委員会か、学校法人か)。
  2. 市の教育委員会なら、市の公式サイトで「学びの多様化学校」または「不登校 相談」を検索する。鎌倉市は児童生徒支援課、大和市は青少年相談室のように、窓口は自治体ごとに違います。
  3. 学校法人の学校なら、学校の公式サイトの「入学案内」や「お問い合わせ」を見る。
  4. 在籍している学校の担任や管理職、スクールカウンセラーに「学びの多様化学校について知りたい」と伝える。

聞くときは、次のように言うと伝わりやすくなります。

  • 「学びの多様化学校(不登校特例校)について知りたい」
  • 「うちの市から通えるか」
  • 「いまの学校に在籍したまま、相談や見学ができるか」

文部科学省の一覧を見る、設置した市の教育委員会に聞く、説明会や体験に参加する、家族で話し合うという4つの手順が矢印でつながった図"“

費用や通学について、聞いておきたい点

一覧には費用が書かれていません。次の点を、学校や教育委員会にたずねてください。

  • 対象の学年と、募集の時期(年度初めだけか、年度の途中でも転入学できるか)
  • 通学区域や住所の条件(住んでいる市以外から通えるか)
  • 授業料などの費用(学校法人立の学校は、公立と違う場合があります)と、通学の交通費
  • 見学や体験入学ができるか、申し込みの方法
  • 定員を超えたときの扱い
  • いまの学校との手続き(転入学や在籍の扱い)と、あとから別の学びの場に移りたくなったときの扱い

神奈川県内のほかの選択肢(概要)

学びの多様化学校は、学びの場の選択肢のひとつです。通うかどうかは、お子さんと家族が決めることです。ほかにも、次のような場があります。

  • 教育支援センター(教育支援教室): 市町村の教育委員会が設ける場です。鎌倉市の資料には、在籍校に籍を置いたまま通う「教育支援教室ひだまり」があり、転入学する由比ガ浜中学校とは違うと説明されています。運営は自治体ごとに違います。
  • フリースクールなどの民間の場: 学校ではなく、通う場所の選択肢のひとつです。費用や運営は施設ごとに違います。
  • いまの学校での配慮や、家庭での過ごし方: 校内の別室、スクールカウンセラーとの面談、家で休む時間なども、お子さんの安心を支える選択肢です。

どの選択肢が上ということはありません。お子さんが安心して過ごせるか、通う負担が大きすぎないか、本人が興味を持てるか。この3つを、お子さんの様子を見ながら家族で話し合う材料にしてください。見学して「合わない」と感じたら、ほかを探して構いません。

今日できる小さな一歩

  • 文部科学省の一覧(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1387004.htm)を開き、ページ内検索で「神奈川県」を探して、お住まいの市があるか見てみる。
  • 気になる学校の「学校の管理機関」だけ読む。内容の欄は、あとで読み返せばよい。
  • お子さんには、まだ話さなくて構いません。親が先に情報を集めておくだけで十分です。

ひとりで抱え込まず、話してみませんか

  • 1回30分・無料
  • オンライン・電話
  • 入力は2分ほど

不登校支援の専門カウンセラーが、お話を伺います。1回30分まで無料です。

無料で相談する

※医師・公認心理師などの資格を持つ専門家ではありません。診断・治療などの医療的な助言は行いません。緊急のときは、記事内の「相談窓口」へご連絡ください。

相談窓口

番号・URLは、いずれも公式ページで確認した内容です。受付時間や対応内容は変更されることがあるため、かける前に各公式ページをご確認ください。

  • お住まいの市区町村の教育委員会、神奈川県教育委員会: 学びの多様化学校や教育支援センターの情報、入学の条件は、教育委員会に問い合わせてください。電話番号は自治体ごとに異なるため、各自治体の公式サイトで確認します。
  • 鎌倉市教育委員会 児童生徒支援課: 鎌倉市立由比ガ浜中学校の転入学のてびきに、問い合わせ先として記載されています。電話番号はてびきの最終ページで確認できます。
  • 大和市 教育部 青少年相談室: 引地台中学校分教室のページに、問い合わせ先として記載されています。電話番号は同ページで確認できます。
  • 文部科学省 初等中等教育局児童生徒課生徒指導室: 設置者一覧ページに、お問合せ先として記載されている部署です。
  • 文部科学省「子供のSOSの相談窓口」: 電話やSNSで相談できる窓口の一覧が、次のページにまとまっています。https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/06112210.htm
  • 24時間子供SOSダイヤル(文部科学省): 0120-0-78310(通話無料)。https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/06112210.htm
  • 児童相談所・自治体の子ども・若者の総合相談窓口、ひきこもり地域支援センター: 各自治体の公式サイトで確認できます。
  • よりそいホットライン(一般社団法人社会的包摂サポートセンター): 0120-279-338(フリーダイヤル)。電話のほか、チャットやSNSでの相談にも対応しています。受付時間は公式サイト(https://www.since2011.net/yorisoi/)で確認してください。

お子さんが「死にたい」と口にしている、自分や他人を傷つけるおそれがある、命や安全に関わる状況だと感じる場合は、上の窓口を待たずに、まず110番または119番に連絡してください。

まとめ

神奈川県内では、2026年10月2日に編集部が確認した文部科学省の一覧に、神奈川県が設置場所の行が5行ありました(行数であって校数ではありません)。形態は本校型、分校型、分教室型に分かれ、鎌倉市・大和市の教育委員会が管理する学校と、学校法人が管理する学校があります。入学の条件は学校ごとに違い、鎌倉市や大和市のように、市内に住んでいることを対象にしている学校が確認できました。確認できなかった学校は、教育委員会や学校に直接たずねてください。通うかどうかは、お子さんの安心を中心に、家族で決めることです。ひとりで抱えて疲れたときは、相談窓口を使ってください。

ひとりで抱え込まず、話してみませんか

  • 1回30分・無料
  • オンライン・電話
  • 入力は2分ほど

不登校支援の専門カウンセラーが、お話を伺います。1回30分まで無料です。

無料で相談する

※医師・公認心理師などの資格を持つ専門家ではありません。診断・治療などの医療的な助言は行いません。緊急のときは、記事内の「相談窓口」へご連絡ください。

出典

  • 文部科学省「学びの多様化学校(いわゆる不登校特例校)の設置者一覧」(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1387004.htm)
  • 鎌倉市教育委員会「令和9年度転入学用 鎌倉市立由比ガ浜中学校 転入学のてびき」(https://www.city.kamakura.kanagawa.jp/jidouseito/documents/r9tennyuugakunotebiki.pdf)
  • 大和市「不登校特例校『引地台中学校分教室』」(https://www.city.yamato.lg.jp/gyosei/soshik/67/18127.html)
  • 横浜きりん学園 公式サイト(https://kirin.mori.ac.jp/aboutkirin、https://kirin.mori.ac.jp/admission)
  • 星槎中学校 公式サイト「受験案内」(https://www.seisahighschool.ed.jp/jrh/information/)
  • 星槎高等学校 公式サイト(https://www.seisahighschool.ed.jp/)
  • 文部科学省「子供のSOSの相談窓口」(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/06112210.htm)

いずれも2026年10月2日に確認しました。この記事は公的情報をもとに編集部が作成したもので、専門家の監修は受けていません。