「学校を休んでいる間、家でどう過ごさせればいいのか分からない」「ゲームや動画ばかりで、勉強が止まっているのが心配」。そんな気持ちで、夜にスマホで調べている方も多いと思います。

先に結論を書きます。公的な資料が示しているのは、家で過ごす時間に「正解の時間割」があるということではありません。不登校の時期が休養や自分を見つめ直す積極的な意味を持つことがあること、同時に学業の遅れや進路選択への影響にも目を向けること、そして学びの方法は家のICT学習や教育支援センター、フリースクールなど複数あること、の3点です。この記事では、この3点を文部科学省の通知で確認できる範囲で書き、出典のない部分は「一般に言われること」と分けて書きます。お子さんが家で過ごしていることも、親御さんの育て方も、責められるものではありません。

家で過ごす時間を、休む、居場所、遊び・体験、学び(選べる)の4つの要素で捉えた図。中央に家、周りに4つのカードを配置している"“

公的な資料が示している「家で過ごす時間」の考え方

文部科学省は、不登校の支援について通知で次のように示しています。

  • 支援は「学校に登校する」という結果のみを目標にするのではなく、児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて、社会的に自立することを目指す必要がある。
  • 児童生徒によっては、不登校の時期が休養や自分を見つめ直す等の積極的な意味を持つことがある。一方で、学業の遅れや進路選択上の不利益、社会的自立へのリスクが存在することに留意する。

(令和元年10月25日「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」、令和7年10月29日の令和6年度調査結果を踏まえた通知でも同じ内容が示されています。)

この2つは、どちらか一方だけを読むと偏ります。「休養が大事」だけを読むと、勉強の心配に答えられません。「遅れが心配」だけを読むと、休むことへの罪悪感が強まります。通知は両方を並べて書いています。つまり、家で過ごす時間は、休むことを大事にしながら、学びや進路の選択肢を少しずつ手元に置いておく時間として考えられます。

令和7年10月の通知は、支援にあたって不登校児童生徒やその保護者の意思を十分に尊重することも求めています。家での過ごし方は、親が決めて当てはめるものではなく、お子さんの様子を見ながら一緒に決めていくもの、という前提で読んでください。

まず整えたいのは「安心して休める状態」

不登校の初期、お子さんは緊張や疲れを抱えていることがあります。「休養に積極的な意味を持つことがある」という文科省の記述を踏まえると、最初の目標は、勉強の再開でも生活の立て直しでもなく、家が安心して休める場所になることだと考えられます。

以下は公的資料に具体例が書かれているわけではなく、一般に言われている関わり方です。

  • 朝、起きられない日があっても、叱らずに受け止める。
  • 「学校に行かないなら何をするの」と聞かず、「今日はどんな感じ?」と体調や気分を聞く。
  • 食事と睡眠を、家族が用意できる範囲で保つ。
  • 家族以外に会いたくない時期は、無理に外へ連れ出さない。

ここで大切にしたいのは、「ちゃんと休めているか」を親が採点しないことです。ゲームや動画で過ごす時間も、疲れた心を休ませている時間である場合があります。ただし、昼夜が逆転して体調が崩れている、食事がとれない、強い不安や落ち込みが続く、といった様子があるときは、学校や医療機関、後述の相談窓口に相談してください。診断や治療の判断は、この記事ではできません。

生活リズムは「整える」より「選べる目安を置く」

「生活リズムを戻さないと」と焦る方は多いと思います。生活リズムについて、文科省の通知に家庭での具体的な時間割は書かれていません。COCOLOプランには、1人1台端末を使って、心の不安や生活リズムの乱れに教師が気付けるようにする、という学校側の取組が書かれています。これは学校が気付くための取組であり、家庭に生活リズムを整えるよう求めるものではありません。

そのうえで、一般に言われることとして、次のような目安を家に置く方法があります。

  • 起きる時間は決めず、朝のカーテンを開けるだけ、といった小さな合図を置く。
  • 食事の時間をゆるやかにそろえる。
  • 1日のうち、本人が「これならできる」と思えることを1つだけ一緒に決める。

「起きなさい」ではなく、「朝ごはんは8時ごろに用意しておくね」のように、お子さんが自分のタイミングで合流できる形にしておくと、親子の衝突を減らしやすいと言われます。ただし、これも個人差が大きく、どの家庭にも当てはまる方法ではありません。

居場所と、遊び・体験を家での過ごし方に含める

家が安心できる場所になってきたら、家の外にも居場所の選択肢があります。文科省の通知は、不登校児童生徒の一人一人の状況に応じて、教育支援センター、不登校特例校、フリースクールなどの民間施設、ICTを活用した学習支援など、多様な教育機会を確保する必要があると示しています。

教育支援センターについては、通所を希望する子どもへの支援だけでなく、通所を希望しない子どもへの訪問型支援を担うことも通知で期待されています。「通うのは難しいが、相談はしたい」という場合は、お住まいの市区町村の教育委員会に、教育支援センターの案内や訪問型の支援があるかを聞いてみる方法があります。内容は自治体によって異なります。

COCOLOプラン(令和5年3月)では、学校や家庭以外の多様な居場所づくりを広げること、公民館や図書館などの社会教育施設を多様な居場所として活用することが示されています。具体的に、どの地域のどの施設が使えるかは、自治体によって違います。

フリースクールなどの民間施設は、通知で「積極的に連携し、相互に協力・補完する意義は大きい」と書かれています。一方で、民間施設の性格や規模、活動内容はさまざまです。文科省は「民間施設についてのガイドライン(試案)」で、入会金や授業料などが明確で保護者に情報提供されていること、体罰などの不適切な指導や人権侵害行為が行われていないことなど、保護者や学校が目安にできる点を示しています。個々の施設の適否を評価するものではない、とも書かれています。見学や体験をして、お子さんと親御さんが納得できるかを確かめることが大切です。

遊びや体験も、過ごし方の一部にする

2019年の通知には、体験活動について「児童生徒の積極的態度の醸成や自己肯定感の向上等が期待される」ため、青少年教育施設等の体験活動プログラムを積極的に活用することが有効だと書かれています。

家で過ごす時間の中に、遊びや体験を入れることも、同じ考え方の延長として捉えられます。公的資料に家庭での具体例はありません。一般に言われる例を挙げます。

  • 料理や簡単な手伝いを一緒にする。
  • 散歩や公園など、人が少ない時間帯に外へ出る。
  • 工作、絵、音楽、読書、飼っている生き物の世話など、本人が好きなことの時間をとる。
  • 図書館や科学館など、本人が行ってみたいと思う場所に出かける。

大切なのは、これらを「勉強の代わりに何かやらせる」ものにしないことです。本人が「やってみたい」と言ったときに、すぐ用意できるようにしておく、という関わり方のほうが、お子さんの負担を増やしにくいと考えられます。

ゲームや動画については、「やめさせる」より、時間や内容の約束をお子さんと一緒に話し合って決める、という関わり方が一般に紹介されます。ただし、ゲームや動画の使用が長時間続いて生活が大きく崩れている場合や、お子さんが強く荒れる場合は、家族だけで抱えず、学校や下記の相談窓口に相談してください。

勉強は「やらせる」ものでなく「選べる・用意できる」もの

「勉強が遅れる」という不安は、とても自然なものです。通知も、学業の遅れや進路選択上の不利益に留意するよう書いています。ただし、通知が挙げているのは、学校や教育委員会が子どもの状況に応じて多様な学びの機会を確保するという方向で、親が家で勉強を教え込むことを求める内容ではありません。

学びの選択肢として、家で(教材・オンライン)、教育支援センター、フリースクールなど、学校のプリントの4つを並べた図"“

文科省の通知とCOCOLOプランから確認できる、学びの選択肢は次のとおりです。

  • 教育支援センターを活用した学習支援: 令和7年10月の通知は、学校に登校できない児童生徒には教育支援センターを活用した学習支援等に取り組むよう求めています。
  • ICTを活用した学習支援: 2019年の通知は、多様な教育機会の一つとして挙げています。COCOLOプランは「学校に来られなくてもオンライン等で授業や支援につながることができる」姿を目指すとしています。
  • フリースクールなどの民間施設: 令和7年10月の通知は、民間施設等との連携が必要となった場合も、在籍する学校と設置者が心身の健康状況や学習状況を把握し、必要な支援をすることが重要だとしています。
  • 学校のプリントや通信教育: 下記の出席扱いの資料で、ICT等を活用した学習活動の例として挙げられています。

ここから言えるのは、「勉強するか、しないか」という二択ではない、ということです。お子さんが今できそうな学び方を、いくつかの中から選べる状態をつくることが、親が用意できることの中心になります。

「選べる」といっても、最初から選択肢を並べる必要はありません。たとえば、次のように進めることができます。

  1. 担任の先生に、学校のプリントや教材の受け取り方を聞く(受け取らない、という選択もある)。
  2. お子さんに「見るだけでいいから置いておくね」と伝え、反応を見る。
  3. 興味を示したら、ICT教材や教育支援センターの案内を一緒に見る。

一般に言われることとして、学習の再開は、お子さんの気持ちが安定してから、好きなことや得意なことから始めるほうが続きやすいと紹介されます。出典のある根拠ではないため、お子さんの様子に合わせて判断してください。

自宅でのICT学習が出席扱いになる制度

文科省には、不登校の児童生徒が自宅でICT等を活用した学習活動を行った場合に、校長が指導要録上「出席扱い」にできる取扱いがあります(「不登校児童生徒が自宅においてICT等を活用した学習活動を行った場合の指導要録上の出欠の取扱いについて」)。通知で確認できる範囲を整理します。

対象になりうる学習活動の例(文科省の資料が挙げているもの)

  • 民間業者が提供するICT教材を活用した学習
  • パソコンで個別学習できるシステムを活用した学習
  • 教育支援センター作成のICT教材を活用した学習
  • 学校のプリントや通信教育を活用した学習
  • 在籍校の授業を自宅に配信して行う学習

要件として書かれていること(一部)

  • 保護者と学校との間に十分な連携・協力関係が保たれていること。
  • 訪問等による対面指導が適切に行われることを前提とすること。対面指導は、学習支援や将来の自立に向けた支援などが定期的かつ継続的に行われるものであること。
  • 学習活動が、児童生徒の学習の理解の程度を踏まえた計画的な学習プログラムであること。
  • 校長が、対面指導や学習活動の状況を十分に把握すること。
  • ICT等を活用した学習活動を出席扱いとするのは、基本的に、学校外の公的機関や民間施設で相談・指導を受けられないような場合であること。
  • 出席扱いとするかどうかは、校長が、その学習活動が児童生徒の自立を助けるうえで有効・適切かを判断すること。

注意したいのは、「ICT教材を使えば自動的に出席になる」わけではない点です。出席扱いにするかは在籍校の校長が判断します。文科省の資料は、判断の基準について、一人一人の状況や学校・地域の実態が違うため、文部科学省から一律の基準は示していないとしています。出席扱いと判断されなかった事例として、家庭の協力が得られず状況が確認できなかったケースや、学習のねらいや内容が明確でなかったケースも紹介されています。

また、この資料では、出席扱いとすることで不登校が必要な程度を超えて長期にわたることを助長しないよう留意する、とも書かれています。実際の要件・手続き・必要な書類は、自治体や学校によって異なります。利用を考える場合は、まず担任の先生や学校に「自宅での学習を出席扱いにする取扱いについて教えてください」と聞いてみてください。

また、出席扱いは、成績や進路上の評価に関わる制度です。この制度を使わなくても、お子さんが安心して過ごせていることに変わりはありません。使うかどうかは、お子さんと親御さんの状況に合わせて選べるものです。

今日できる小さな一歩

  1. 今日のお子さんの「できたこと」を1つ、心の中で数えてみる。 起きた、ご飯を食べた、笑った、など小さなことで構いません。評価ではなく、家が休める場所になっているかを確かめるためです。
  2. 学校に、プリントの受け取り方と、自宅での学習の取扱いについて聞く予定をメモする。 今日聞かなくて大丈夫です。担任の先生か、学校の窓口に聞けば足ります。
  3. お住まいの市区町村の教育支援センターについて、名称だけ調べる。 通うかどうかは決めなくて構いません。

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番号・名称は、いずれも運営機関の公式ページで確認した内容です。受付時間や対応内容は変更されることがあるため、かける前に各公式ページをご確認ください。

  • 学校・教育委員会・教育支援センター: お住まいの市区町村の教育委員会に問い合わせてください。電話番号は自治体ごとに異なるため、市区町村の公式サイトで確認します。
  • 児童相談所相談専用ダイヤル: 0120-189-783。全国の児童相談所は、こども家庭庁の一覧(https://www.cfa.go.jp/policies/jidougyakutai/jisou-ichiran)で確認できます。
  • 児童相談所虐待対応ダイヤル「189」: 虐待かもと思ったとき、すぐ近くの児童相談所につながります(https://www.cfa.go.jp/policies/jidougyakutai/gyakutai-taiou-dial)。
  • 24時間子供SOSダイヤル(文部科学省): 0120-0-78310。24時間受付(年中無休)です。
  • 子どもの人権110番(法務省): 0120-007-110。平日8:30~17:15、土日祝日・年末年始は休みです。
  • ひきこもり地域支援センター: 各都道府県・指定都市に設置。連絡先は厚生労働省のページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/hikikomori/index.html)から確認できます。
  • よりそいホットライン(一般社団法人社会的包摂サポートセンター): 0120-279-338(フリーダイヤル)。受付時間は公式サイト(https://www.since2011.net/yorisoi/)で確認してください。

お子さんや親御さん自身が「死にたい」と口にしている、自分や他人を傷つけるおそれがある、命や安全に関わる状況だと感じる場合は、上の窓口を待たずに、まず110番または119番に連絡してください。

まとめ

家で過ごす時間について、文部科学省の通知が示しているのは、休養や自分を見つめ直す時間に積極的な意味があること、学業の遅れや進路選択への影響にも留意すること、学びの方法には教育支援センター、ICT、フリースクールなど複数の選択肢があること、です。1日の過ごし方の具体例は公的資料にはなく、この記事で挙げたものは一般に言われる関わり方で、お子さんによって合う、合わないがあります。勉強は「やらせる」ものではなく、お子さんが選べるように用意しておくもの、と考えると、親御さんの肩の力も少し抜けるかもしれません。

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出典

  • 文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」令和元年10月25日(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1422155.htm)
  • 文部科学省「不登校児童生徒が自宅においてICT等を活用した学習活動を行った場合の指導要録上の出欠の取扱いについて」(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1422155_00005.htm)
  • 文部科学省「民間施設についてのガイドライン(試案)」(https://www.mext.go.jp/content/1422155_004_2.pdf)
  • 文部科学省「令和6年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果及びこれを踏まえた対応の充実について(通知)」令和7年10月29日(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1422178_00006.htm)
  • 文部科学省「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策(COCOLOプラン)」令和5年3月(https://www.mext.go.jp/content/20230418-mxt_jidou02-000028870-cc.pdf)
  • こども家庭庁「児童相談所虐待対応ダイヤル「189」について」(https://www.cfa.go.jp/policies/jidougyakutai/gyakutai-taiou-dial)
  • こども家庭庁「児童相談所一覧」(https://www.cfa.go.jp/policies/jidougyakutai/jisou-ichiran)
  • 厚生労働省「ひきこもり支援に関する取組」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/hikikomori/index.html)
  • 一般社団法人社会的包摂サポートセンター「よりそいホットライン」(https://www.since2011.net/yorisoi/)

いずれも2026年10月2日に確認しました。この記事は公的情報をもとに編集部が作成したもので、専門家の監修は受けていません。