「不登校って英語でどう言えばいいんだろう」。海外の学校の先生に伝えたいとき、外国につながるお子さんの状況を説明したいとき、あるいは英語の記事や論文を読んでいて、言葉の違いが気になったとき。そんなふうに調べている方もいると思います。

先に結論を書きます。「不登校」に、世界で一つに定まった英語の訳語があるとは、今回確認した公的な資料からは読み取れませんでした。文部科学省の英語版サイトは「non-attendance at school」という言い方を使っています。一方、オーストラリアの州の教育省は「school refusal」を、保護者が欠席を知っている、強い情緒的な苦痛を伴う欠席として説明しています。英国の教育省は、そもそも一つの名前ではなく「出席に影響する社会的・情緒的・心の健康上の課題」という書き方をしています。この記事では、確認できた範囲だけを整理します。確認できなかったことは、確認できなかったと書きます。

どの言い方であっても、お子さんが困っていることや、親御さんの育て方が責められることを示すものではありません。

「同じ意味とは限りません」という見出しの下に、school refusal、non-attendance at school、truancy の3つの英語が並んだ図。英語の言い方はひとつに決まっていないことを表している"“

文部科学省の英語版サイトでは「non-attendance at school」

文部科学省の英語版サイトには、初等中等教育の政策を紹介するページがあります。ページの題名は「Cultivating Richness in Minds, Responding to Problem Behavior and Non-attendance at School, Promoting Career Education」です。この中で「non-attendance at school」という言葉が使われています。

ただし、確認できたのは「この英語版ページでこの表現が使われている」ところまでです。「不登校」の公式の定訳として文科省が定めている、とまでは確認できませんでした。法律(後述)の公的な英訳も、今回の確認では見つけられませんでした。

また、このページには「solve」(解決する)という動詞が使われている箇所があります。これは英語版ページの紹介文の言い回しで、日本語の通知とは別の文書です。日本語の通知は、支援を「学校に登校する」という結果のみを目標にしない、としています。英語の動詞だけで姿勢を判断せず、文章全体や日本語の原文と合わせて見るのが安全です。

日本の法律上の「不登校児童生徒」は、こう定義されている

言葉の意味を日本語の側で確かめておきます。教育機会確保法(平成28年法律第105号)は、第2条で「不登校児童生徒」を、次のようにまとめています。

  • 相当の期間学校を欠席する児童生徒であって、
  • 学校における集団の生活に関する心理的な負担その他の事由のために就学が困難である状況として、文部科学大臣が定める状況にあると認められるもの

つまり日本の法律では、「学校に行かない」ことそのものではなく、心理的な負担などの事由によって「就学が困難な状況」にあることを指しています。本人の意思の弱さを示す言葉としては書かれていません。文部科学省は、令和7年10月の通知でも、不登校はどの児童生徒にも起こり得るものとして捉え、不登校というだけで問題行動と受け取られないような配慮が必要だとしています。

なお、調査で使われる「年間30日以上」といった数え方の原文は、今回の確認では取得できなかったため、この記事では扱いません。

school refusal と truancy。確認できた説明

英語圏で目にする「school refusal」と「truancy」は、日本語の「不登校」とは別の文脈で生まれた言葉です。公的機関の説明で確認できたのは、オーストラリアのニューサウスウェールズ州教育省の教師・学校向けの手引き(School Refusal Support Guide)です。

  • school refusal: 子どもや若者が、学校に行くことへの強い情緒的な苦痛のために、通学に困難を抱えること。
  • truancy(wagging とも言う): school refusal とは違うもの。手引きは「保護者が通常は欠席を知っているかどうか」を違いとして挙げています。

違いは「保護者が知っているか」「情緒的な苦痛があるか」という点で、説明されています。民間の非営利サイト(ReachOut)も、truancy を、保護者に知らせないまま、正当な理由なく休むこととして説明し、school refusal はそれを隠さず、保護者が知っている状態としています。ただしこちらは公的機関ではなく、補足の位置づけです。

ここで気をつけたいのは、truancy を「悪い欠席」と読まないことです。英語圏の学校や制度が、欠席の種類を見分けるために使う言葉だというだけで、お子さん個人にラベルを貼るものではありません。「日本語の『不登校』=英語の『school refusal』」と一対一で置き換えられるとも、今回の資料からは言えません。日本の「不登校」の定義(上記)は、心理的な負担に限らず、さまざまな事由を含む書き方になっているためです。

英国の教育省は、一つの名前をつけていない

英国(イングランド)の教育省が出している文書「Summary of responsibilities where a mental health issue is affecting attendance」(2023年2月)を確認しました。この文書の中には、「school refusal」という言葉は出てきません。代わりに、次のように書かれています。

  • 対象は、出席に影響する社会的・情緒的・心の健康上の課題を抱える子どもの全員で、診断された精神疾患や障害・特別な教育的ニーズがある子どもだけではない。
  • 学校の職員は、精神的な健康の状態を診断することは求められていない。

用語の違いから分かるのは、国や制度によって、一つの現象にどう名前をつけるかが違うということです。なお、この英国の文書は、学校での出席を支える前提で書かれています。日本の通知が「登校という結果のみを目標にしない」としている点とは、考え方の置き方が異なります。海外の文書を読むときは、言葉だけでなく、どんな目標で書かれているかも合わせて見ておくと、混乱しにくくなります。

OECD・WHO・UNESCO などの国際機関が、school refusal と truancy の違いを公式に定義した文書については、今回の確認では見つけられませんでした。そのため、国際機関の統一した定義があるとは書きません。

海外の学校や、英語で状況を伝えたいとき

海外で暮らす家庭が、現地の学校に状況を伝える場合、ラベルより状況の説明のほうが伝わりやすいことがあります。次の2文は、公的な定訳ではなく、編集部が書いた一例です。

  • My child has been absent from school. Going to school is very hard for my child right now.
  • We would like to talk with the school about what kind of support is available.

「school refusal」という言葉を使うかどうかは、現地の学校や相談先が使っている言葉に合わせるのが無理がありません。同じ言葉でも、地域や機関によって意味の幅が違うことが、上の資料からも分かります。現地の公的な相談窓口や、日本の在外教育施設の窓口の具体的な情報は、今回の確認では見つけられませんでした。お住まいの地域の学校や教育行政の公式ページで確認してください。

海外から帰国した子・外国につながる子が、日本の学校で不登校になったとき

日本の学校に通う、海外から帰国したお子さんや、外国につながるお子さんが学校に行きづらくなる場合もあります。確認できた公的な資料の範囲でまとめます。

  • 法律の理念: 教育機会確保法の基本理念には、その年齢又は国籍その他の置かれている事情にかかわりなく、能力に応じた教育を受ける機会が確保されるようにする、と書かれています(第3条第4号)。国籍は支援の対象を分ける条件ではありません。
  • 相談体制: 同じ法律の第20条は、学校生活上の困難を有する児童生徒とその家族からの、教育や福祉に関する相談に総合的に応じられる体制の整備に、国と地方公共団体が努めるものとしています。
  • 就学のガイド: 文部科学省は、外国人児童生徒のための就学ガイドブックを、英語、韓国・朝鮮語、ヴェトナム語、フィリピノ語、中国語、ポルトガル語、スペイン語、ウクライナ語の言語別に用意しています。これは就学の手続に関する案内で、不登校の相談窓口の案内ではありません。
  • 多言語の窓口: 平成31年の通知は、教育委員会に、域内に住む外国人が日常で使う言語に配慮するよう求め、在留外国人向けの一元的な相談窓口で、子供の就学に関する相談を行うことも考えられるとしています。これも就学の手続に関する記述です。

外国につながる子の不登校に特化した公的な相談窓口の名称・番号は、今回確認できませんでした。まず、お住まいの市区町村の教育委員会に、母語での相談ができるか、通訳の手配ができるかを尋ねてみてください。窓口によって対応は異なります。

学校の先生に伝える、教育委員会に聞く、多言語の就学ガイドを見る、の3つの行動を左から順に矢印でつないだ図"“

英語の学習や、フリースクールについて

「英語 勉強方法」や「英語 フリースクール」と調べて、この記事にたどり着いた方もいるかもしれません。個別の施設や学習サービスの紹介・おすすめは、この記事ではしません。

公的な制度として確認できているのは次のことです。文部科学省には、不登校の児童生徒が自宅でICT等を活用した学習活動を行った場合に、校長が指導要録上「出席扱い」にできる取扱いがあります。出席扱いにするかどうかは在籍校の校長が判断し、文部科学省から一律の基準は示されていません。英語も含め、どの科目を学ぶかは、お子さんの状況や関心に合わせて選べます。何をどう学ぶかは、「家庭学習」や「フリースクール」を扱った別の記事で詳しく整理しています。

今日できる小さな一歩

1つで十分です。

  1. 「不登校」を英語にして誰かに伝える必要があるなら、ラベルを探す前に、お子さんの今の様子を一文で書き出してみる。
  2. 外国につながるお子さんの場合は、教育委員会の公式ページで、母語での相談・通訳の案内があるかを確認しておく。
  3. 英語の言葉が気になって不安になったときは、「どの言葉でも、お子さんや親御さんを責めるものではない」と、いったん思い出す。

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相談窓口

番号・名称は、いずれも運営機関の公式ページで確認した内容です。受付時間や対応内容は変更されることがあるため、かける前に各公式ページをご確認ください。

  • 学校・教育委員会・教育支援センター: お住まいの市区町村の教育委員会に問い合わせてください。電話番号は自治体ごとに異なるため、市区町村の公式サイトで確認します。母語での相談が可能かどうかも、あわせて尋ねてみてください。
  • 児童相談所相談専用ダイヤル: 0120-189-783。全国の児童相談所は、こども家庭庁の一覧(https://www.cfa.go.jp/policies/jidougyakutai/jisou-ichiran)で確認できます。
  • 児童相談所虐待対応ダイヤル「189」: 虐待かもと思ったとき、すぐ近くの児童相談所につながります。匿名可、通話料無料です(https://www.cfa.go.jp/policies/jidougyakutai/gyakutai-taiou-dial)。
  • 24時間子供SOSダイヤル(文部科学省): 0120-0-78310。24時間受付(年中無休)です。
  • ひきこもり地域支援センター: 各都道府県・指定都市に設置。住所・連絡先は厚生労働省のページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/hikikomori/index.html)から確認できます。
  • よりそいホットライン(一般社団法人社会的包摂サポートセンター): 0120-279-338(フリーダイヤル)。電話のほか、チャットやSNSでの相談にも対応しています。受付時間は公式サイト(https://www.since2011.net/yorisoi/)で確認してください。

お子さんや親御さん自身が「死にたい」と口にしている、自分や他人を傷つけるおそれがある、命や安全に関わる状況だと感じる場合は、上の窓口を待たずに、まず110番または119番に連絡してください。

まとめ

「不登校」の英語は、一つに決まっているわけではなく、文科省の英語版サイトの「non-attendance at school」、オーストラリアの州教育省が説明する「school refusal」、英国教育省の「出席に影響する課題」という書き方など、機関によってさまざまです。truancy は別の概念として説明され、お子さんにラベルを貼る言葉ではありません。言葉選びに迷ったら、英語の名前より、お子さんの今の状況と、必要な支えを伝えることを優先してみてください。

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出典

  • 文部科学省(英語版)「Cultivating Richness in Minds, Responding to Problem Behavior and Non-attendance at School, Promoting Career Education」(https://www.mext.go.jp/en/policy/education/elsec/title02/detail02/1373864.htm)
  • 文部科学省「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律(平成28年法律第105号)」(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1380960.htm)
  • 文部科学省「令和6年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果及びこれを踏まえた対応の充実について(通知)」(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1422178_00006.htm)
  • 文部科学省「外国人児童生徒のための就学ガイドブック」(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/clarinet/003/1320860.htm)
  • 文部科学省「外国人の子供の就学の促進及び就学状況の把握等について(通知)」平成31年3月15日(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/clarinet/004/1415154.htm)
  • 文部科学省「不登校児童生徒が自宅においてICT等を活用した学習活動を行った場合の指導要録上の出欠の取扱いについて」(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1422155_00005.htm)
  • NSW Department of Education「School Refusal Support Guide for teachers and schools」(https://education.nsw.gov.au/content/dam/main-education/en/home/student-wellbeing/attendance-matters—resources-for-schools/School_Refusal_Support_Guide_for_teachers_and_schools.pdf)
  • Department for Education (UK)「Summary of responsibilities where a mental health issue is affecting attendance」2023年2月(https://assets.publishing.service.gov.uk/media/63ee20a3d3bf7f62e5f76ba4/Summary_of_responsibilities_where_a_mental_health_issue_is_affecting_attendance.pdf)
  • ReachOut Australia(民間の非営利団体。補足)「What happens if my child refuses to attend school in Australia?」(https://parents.au.reachout.com/school-and-education/school-refusal/what-can-happen-if-my-child-refuses-to-attend-school)
  • こども家庭庁「児童相談所虐待対応ダイヤル「189」について」(https://www.cfa.go.jp/policies/jidougyakutai/gyakutai-taiou-dial)
  • こども家庭庁「児童相談所一覧」(https://www.cfa.go.jp/policies/jidougyakutai/jisou-ichiran)
  • 厚生労働省「ひきこもり支援に関する取組」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/hikikomori/index.html)
  • 一般社団法人社会的包摂サポートセンター「よりそいホットライン」(https://www.since2011.net/yorisoi/)

いずれも2026年10月2日に確認しました。この記事は公的情報をもとに編集部が作成したもので、専門家の監修は受けていません。