「学校に行けていないのに、内申点はどうなるのだろう」「欠席が多いと、もう受験できる高校はないのでは」。そんな不安を抱えて、夜に検索している方も多いと思います。

先に結論を書きます。文部科学省の資料から確認できるのは、次の3点です。調査書(一般に「内申点」と呼ばれるものの元になる書類)の記入事項や使い方は、都道府県や学校によって異なること。不登校のお子さんの調査書について、各都道府県が工夫している方法が複数あること。高校入試のほかにも、通信制・定時制など学びの場の選択肢があること。つまり、評定の状況が選抜で不利になるとも、ならないとも、この記事では言えません。結果は、お住まいの地域と志望校の方法しだいだからです。

お子さんが学校を休んでいることも、評定のことで悩んでいることも、親御さんの育て方のせいではありません。受験は進路の選択肢のひとつで、急ぐ必要はありません。この記事は、公式の資料で確認できた範囲だけをまとめます。

調査書の中心に、各教科の学習の記録、出欠の記録、特別活動の記録、行動の記録、部活動・校外活動の記録、総合所見の6つの記入欄が並んだ図"“

「内申点」と「調査書」は、同じものではありません

「内申点」は、公的な資料に出てくる正式な用語ではありません。文部科学省の資料に出てくるのは「調査書」です。調査書は、中学校が高校へ提出する書類で、入学者選抜の資料のひとつとして使われます。

文部科学省が各都道府県に行った調査(令和4年度高等学校入学者選抜の改善等に関する状況調査)には、調査書の記入事項の一覧があります。そこに挙げられている項目は、次のとおりです。

  • 各教科の学習の記録(評定)
  • 観点別学習状況
  • 特別活動の記録
  • 総合的な学習の時間の記録
  • 行動の記録
  • スポーツ・文化・社会活動に関する記録
  • ボランティア活動に関する記録
  • 趣味・特技に関する記録
  • 進路に関する記録
  • 健康状況に関する記録
  • 出欠の記録
  • 総合所見及び指導上参考となる諸事項

この調査では、「各教科の学習の記録」は47都道府県すべてが記入事項としています。一方、観点別学習状況や行動の記録などは、記入する都道府県と、しない都道府県に分かれています。調査書に何が書かれるかも、全国で同じではありません。なお、この調査は令和4年度の入試が対象で、現在は変わっている部分があるかもしれません。

一般に「内申点」と呼ばれるのは、この「各教科の学習の記録」の評定を、点数にしたものを指すことが多いようです。ただし、評定をどう点数にするか、どの学年のものを使うか、ほかの項目をどれだけ重く見るかは、公的な全国共通の決まりを確認できませんでした。

調査書は、合否の判断にどう使われるのか

調査書は、学力検査の点数と並べて使われる資料のひとつです。ただし、どのくらいの重みで使われるかは、一律ではありません。

文部科学省の資料では、平成5年(1993年)の通知に、次の考え方が書かれています。調査書と学力検査の成績の比重を学校や学科ごとに変えたり、調査書の中で重視する部分を変えたりすることが考えられる、というものです。また、調査書の学習成績の記録以外の記録(スポーツ活動、文化活動、ボランティア活動など)を活用することも示されています。これはかなり前の通知なので、今の制度の説明ではなく、選抜方法が学校ごとに多様であってよい、という基本的な考え方の確認として読んでください。

先ほどの令和4年度の調査にも、各都道府県の実際の取り扱いが載っています。たとえば、調査書の特別活動等の記録の評価について「各学校が選抜基準を定めている」と答えている都道府県があります。また、学力検査の成績や面接などと並ぶ資料のひとつとして使う、と答えている都道府県もあります。同じ「調査書」でも、地域によって、そして同じ地域の中でも学校によって、使われ方が違う可能性があります。

ここまでで分かることは、次のとおりです。

  • 調査書は、合否を判断する資料のひとつ。
  • 学力検査・面接などと、どう組み合わせるかは、実施者(都道府県など)と学校が決める。
  • 志望する学校の募集要項や選抜要項を読まないと、具体的な重みは分からない。

欠席が多いとき、調査書はどうなるのか

不登校のお子さんの調査書について、文部科学省の調査(令和4年度)は、都道府県ごとの取り扱いを項目に分けて集めています。調査の選択肢は、次の8つです。

  • 中学校長が、副申書(生徒の状況を書いた書類)を提出する。
  • 自己申告書を提出できる、または提出させる。
  • 学校以外(家庭を含む)での学習状況が分かる資料を提出し、選抜資料として活用できる。
  • 学校以外での学習状況を、何らかの形で調査書に反映できる。
  • 調査書を用いず、学力検査のみで選抜するなど、特別な入学者選抜を行える。
  • 調査書の一部(学習の記録や出欠の記録)を、選抜の資料として用いないことができる。
  • 不登校の者が受検しやすい学科やコースを設置している。
  • その他。

令和4年度の状況調査の集計では、「自己申告書を提出できる」とする都道府県が最も多く、全校で実施が27、一部の学校で実施が2でした(年度によって数は変わります。令和7年度の調査では別の数になっています)。「中学校長が副申書を提出する」は、全校で実施が9、一部の学校で実施が3でした。選択肢のうち、「調査書の一部(学習の記録や出欠の記録)を選抜の資料として用いない」は、全校で実施が6、一部の学校で実施が3です(いずれも令和4年度)。

つまり、不登校の場合の調査書の扱いは、全国で1つの決まりがあるわけではなく、都道府県ごとに用意されている方法が違います。この調査の自由記述には、たとえば次のような例が書かれています。個別の都道府県の取り扱いは、この記事では紹介しません。ここでは、どんな種類の工夫があるのかを知るための例として読んでください。

  • 欠席日数が一定の日数以上のとき、志願者が欠席の理由などを書いた自己申告書を提出できる(日数の基準は、都道府県によって違います)。
  • 評定を記載できない場合に、中学校長が副申書で理由を説明する。評定が記載できないことだけを理由に、選考の対象から外さないよう配慮する、と定めている例がある。
  • 欠席が多い生徒向けの選抜方法を申請でき、その場合は調査書の学習の記録を参考として扱う、または選考の資料として使わない例がある。
  • 不登校等を理由に不合格とすることのないよう、内規に記載して高校に周知している例がある。
  • 不登校経験のある生徒を対象にした募集枠で、調査書を点数化しない例がある。

これらは「どの県でも使える方法」ではありません。お住まいの地域に同じ制度があるかは、この記事では分かりません。確かめる方法は、後の節に書きます。

「出席扱い」と調査書の出欠の記録

学校に行けていなくても、一定の条件を満たすと、学校の記録(指導要録)の上で出席扱いになる制度があります。文部科学省は、自宅でICT等を活用した学習活動を行った場合に、校長が指導要録上出席扱いとし、その成果を評価に反映できるとしています。この制度の要件(保護者と学校の連携、訪問等による対面指導の実施など)と、基準が全国一律ではない点は、別の記事(小学生の不登校の家での過ごし方)で詳しく書きました。

この記事で押さえておきたいのは、次の点です。

  • 出席扱いにするかどうかは、校長が判断する。
  • 文部科学省は、一律の基準を示していない。
  • 出席扱いになった場合に、調査書の出欠の記録がどう書かれ、選抜でどう見られるかは、公的な資料からは分からない。

調査書に何がどう書かれるのか、気になる場合は、中学校の先生に、調査書の書き方について聞いてみてください。「出席扱いの対象になる学習はあるか」「調査書の出欠や評定の欄は、どうなる予定か」。この2つが聞きやすい質問です。

文部科学省は、不登校の生徒の選抜をどう位置づけているか

文部科学省の通知(令和元年10月25日「不登校児童生徒への支援の在り方について」)は、高等学校入学者選抜について、次のように書いています。

高等学校で学ぶ意欲や能力を有する不登校生徒について,これを適切に評価することが望まれること。

また、同じ通知は、中学校卒業程度認定試験について、やむを得ない事情により不登校となっている生徒が在学中に受験できるよう、不登校生徒や保護者に適切な情報提供を行うことが重要だとも示しています。

さらに、通知は、不登校の時期が休養や自分を見つめ直す等の積極的な意味を持つことがある一方で、学業の遅れや進路選択上の不利益が存在することに留意するよう書いています。受験の準備は、休養と並べて、お子さんのペースで考えていくことになります。

もうひとつ、病気や体調不良など、本人の責任ではない身体・健康上の理由で、用意された試験日程で受検できない生徒について、文部科学省は各教育委員会に事務連絡(令和6年12月24日)を出しています。追検査や、調査書等の書類のみによる選考の実施など、受検機会を確保する柔軟な対応に努めるよう求める内容です。これは不登校そのものを対象にした通知ではありません。体調の事情で受検できない場合に、どんな配慮があるか、事前に相談できる可能性がある、という参考として知っておいてください。

都道府県教育委員会と志望校の公式情報で、確かめること

調査書の扱いは全国で同じではないため、実際の取り扱いは次の順に確認します。

都道府県教育委員会の公式情報、志望校の募集要項、中学校の先生や相談窓口の順に確認する流れと、全日制・定時制・通信制・高卒認定試験の選択肢を並べた図"“

  1. お住まいの都道府県教育委員会の公式サイト: 公立高校の入学者選抜の要項や実施細則が載っています。「不登校」「長期欠席」「自己申告書」「副申書」「調査書」といった言葉で探すと、該当する部分が見つかることがあります。見つからない場合は、教育委員会の高校入試の担当窓口に電話やメールで問い合わせる方法があります。
  2. 志望校(または志望の候補校)の募集要項: 学校ごとに、調査書をどう使うか、面接や作文の有無などが書かれています。私立高校は、公立とは別に、学校ごとに方法が違います。
  3. 中学校の先生: 調査書を書くのは中学校です。評定や出欠の欄がどうなる見込みか、副申書や自己申告書が使えるか、早めに聞いてみてください。学校と話しにくいときは、教育委員会の窓口や、教育支援センターなど、学校以外の相談先から始めることもできます。

なお、インターネットには評定の付け方や運用の実際に関する情報も出回っていますが、公的な一次情報で確認できないものは、この記事では扱いません。気になる情報は、先に挙げた公式の窓口で確かめてください。

高校入試だけが選択肢ではありません

受験は、進路の選択肢のひとつです。公立・私立の全日制を受験する以外にも、次のような学びの場があります。

定時制・通信制の高校

文部科学省の資料(定時制・通信制課程について、平成25年)には、定時制・通信制の生徒に、中学校までの不登校経験者など自立に困難を抱える人が多くなっていること、自分のペースで学べる定時制・通信制の教育が、不登校・中途退学経験者等への学び直しの機会の提供の面でも期待されていることが書かれています。この資料は古いため、現在の状況はお住まいの地域の学校に確認が必要です。

通信制高校については、文部科学省の「通信制高等学校情報発信サイト」で、次のように説明されています。

  • 自宅等での自学自習を中心に、レポートの提出(添削指導)、スクーリング(面接指導)への参加、多様なメディアを利用した学習、試験等を通じて学習する高等学校。
  • 卒業すると、全日制や定時制と同じ「高等学校卒業」になる。
  • 学校によっては、サポート施設などで、学習面や生活面の支援を行っている。
  • 費用は学校により異なる。条件を満たせば、高等学校等就学支援金制度の対象になる。

高等学校卒業程度認定試験(高卒認定試験)

文部科学省によると、様々な理由で高等学校を卒業できなかった方等の学習成果を評価し、高校を卒業した者と同等以上の学力があるかを認定する試験です。合格者は大学・短大・専門学校の受験資格が得られます。受験できるのは、受験する年度の終わりまでに満16歳以上になる方で、高校等に在籍している方も受験できます。試験日程や出願方法は、年度ごとに文部科学省のページで確認してください。

そのほかの学びの場

教育支援センター、不登校特例校、フリースクールなど、学校以外の学びの場も、文部科学省の通知で、多様な教育機会として挙げられています。高校進学とは別に、まず居場所を見つけることを優先してよい時期もあります。

どの道が合うかは、お子さんの状態や希望、ご家庭の事情によって違います。「受験するか、しないか」を今決める必要はありません。

今日できる小さな一歩

次の中から、負担の軽いものをひとつだけ選んでみてください。

  1. お住まいの都道府県の教育委員会の公式サイトを開き、「高校入試」のページを探す。 読むのは、「不登校」「長期欠席」という言葉が出てくる部分だけで構いません。見つからなくても、それが分かっただけで十分です。
  2. 中学校の先生に、「調査書はどう書かれる予定か、副申書や自己申告書を使えるか」を聞く質問を、メモに書いておく。 話す日が決まっていなくても、書き出しておくと、いざ聞くときに慌てません。
  3. お子さんには、受験の話を急がず、「いろいろな進み方があるらしいよ」とだけ伝える。 お子さんが話したくなったときに、選択肢を一緒に見ていけます。

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番号・名称は、いずれも運営機関の公式ページで確認した内容です。受付時間や対応内容は変更されることがあるため、かける前に各公式ページをご確認ください。

  • 学校・教育委員会・教育支援センター: お住まいの市区町村・都道府県の教育委員会に問い合わせてください。入試の方法は都道府県教育委員会、中学校の対応や教育支援センターは市区町村教育委員会が窓口になることが多いです。電話番号は自治体ごとに異なるため、各自治体の公式サイトで確認します。
  • 児童相談所相談専用ダイヤル: 0120-189-783。全国の児童相談所は、こども家庭庁の一覧(https://www.cfa.go.jp/policies/jidougyakutai/jisou-ichiran)で確認できます。
  • 児童相談所虐待対応ダイヤル「189」: 虐待かもと思ったとき、すぐ近くの児童相談所につながります(https://www.cfa.go.jp/policies/jidougyakutai/gyakutai-taiou-dial)。
  • 24時間子供SOSダイヤル(文部科学省): 0120-0-78310。24時間受付(年中無休)です。
  • 子どもの人権110番(法務省): 0120-007-110。平日8:30~17:15、土日祝日・年末年始は休みです。
  • ひきこもり地域支援センター: 各都道府県・指定都市に設置。連絡先は厚生労働省のページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/hikikomori/index.html)から確認できます。
  • よりそいホットライン(一般社団法人社会的包摂サポートセンター): 0120-279-338(フリーダイヤル)。受付時間は公式サイト(https://www.since2011.net/yorisoi/)で確認してください。

お子さんや親御さん自身が「死にたい」と口にしている、自分や他人を傷つけるおそれがある、命や安全に関わる状況だと感じる場合は、上の窓口を待たずに、まず110番または119番に連絡してください。

まとめ

調査書(一般に内申点の元になる書類)の記入事項と、選抜での使い方は、都道府県や学校によって異なります。欠席が多い場合の取り扱いについても、自己申告書、副申書、調査書の一部を使わない方法など、都道府県ごとにさまざまな工夫が確認できました。一方で、評定の状況が選抜で有利か不利かは、公的な資料からは言えません。調べるときは、まずお住まいの都道府県教育委員会と志望校の公式情報、そして中学校の先生に確認してください。高校受験は、通信制・定時制、高卒認定試験などと並ぶ選択肢のひとつです。ひとりで抱えているときは、上の相談窓口を使ってください。

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出典

  • 文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」令和元年10月25日 https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1422155.htm
  • 文部科学省「令和4年度 高等学校入学者選抜の改善等に関する状況調査(公立高等学校)」(令和5年3月17日更新版) https://www.mext.go.jp/content/20241107-mxt_koukou01-000026790-1.pdf
  • 文部科学省「令和6年度高等学校入学者選抜の改善等に関する状況調査(公立高等学校)の集計結果及び今後の高等学校入学者選抜等における配慮等について」(事務連絡)令和6年12月24日 https://www.mext.go.jp/content/20241224-mxt_koukou01_000026790_2.pdf
  • 文部省「高等学校の入学者選抜について(通知)」平成5年2月22日 https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kaikaku/04120702/001.htm
  • 文部科学省「不登校児童生徒が自宅においてICT等を活用した学習活動を行った場合の指導要録上の出欠の取扱いについて」 https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1422155_00005.htm
  • 文部科学省「定時制・通信制課程について」(中央教育審議会資料)平成25年 https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/047/siryo/__icsFiles/afieldfile/2013/07/12/1336336_1.pdf
  • 文部科学省「よくある質問」通信制高等学校情報発信サイト https://www.mext.go.jp/tsushinseikoukou/faq/
  • 文部科学省「高等学校卒業程度認定試験(旧大学入学資格検定)」 https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shiken/
  • 文部科学省「高等学校卒業程度認定試験 概要・パンフレット等」 https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shiken/mext_01319.html

この記事は公的情報をもとに編集部が作成したもので、専門家の監修は受けていません。調査結果は令和4年度の入試を対象としており、現在の取り扱いは変わっている場合があります。